最近は30℃以上の夏日の日も増えてきて暑くなりかけているので、網戸を度々使うタイミングも増えてきています。そこで網戸が傷んでいるのに気づき、張り替えを考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、
- どのようなタイミングで張り替えたらいいのか?
- どんな素材の網戸を選べばいいのか?
- 張り替えは自分でできるのか?
など、張り替えに関しての疑問がいろいろあり、悩んでしまう方もいらっしゃると思います。
網戸の素材はいくつかありますが、今回はその中の「サランネット」について特徴やほかの素材との違い、商品・張り替えはDIYがいいのか専門店に依頼するのがいいのかなど、詳しく解説していきます。
網戸の素材:『 サランネット 』とは?
サランネットとは、高分子化合物である「サラン」で作られている網のことを指します。
サランといえば旭化成の「サランラップ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。サランとは「旭化成の塩化ビニリデン素材」による、商品の名前です。
サランは、塩化ビニリデン(80〜90%)と塩化ビニル(10〜20%)程度の共重合体を溶融紡糸によって単繊維・多条繊維・スフ(ステープル・ファイバー)などにしたもの。1937年にアメリカにて開発され、ゴムに類似し弾力性が高く耐水性や耐薬品製にも優れています。
【溶融紡糸とは】
ナイロンやポリエステルなどの合成繊維は高温で加熱すると溶け、低温に戻すと固まるという性質があります。このような熱可塑性のポリマーを加熱溶解したあと、ノズルから空気中や水中に押し出して、冷却固化させ繊維状にする手法のことを指します。
サランネットについてのさらに詳しい特徴は次で解説していきます。
サランネットの特徴
サランネットは、耐薬品性を持っているほか、燃えにくく水もほとんど吸収することがないため、通常の網戸やエアコンの室内機フィルターにも多く使われています。入手しやすいことから一般的な網戸用として浸透しました。
また、目にしたことがある方も多いのが、スピーカーではないでしょうか。スピーカーについている網はサランネットで、スピーカーの温質管理と保護という主に2つの役割を果たしています。
サランネットはネットの形状として2種類あり、平織のものは「サランスクリーン」、立体状のものが「サランハニカム」として販売されています。以下の画像より違いをご覧ください。
サランネットの形状 ①:【サランスクリーン】
サランネットの形状 ②:【サランハニカム】
サランの特徴は?
そして、サラン自体は非常に高い難燃性・耐薬品性を持っているため、ドールヘア(人形の髪の毛)・フィルター材・ブラインド・日用雑貨・人工芝用糸・感温変色糸・沈降ロープ・漁網など幅広い分野で使用されています。
サランの特徴は
- 難燃性が高い
- 耐薬品性に優れている
- 水をほとんど吸収しない
- ナイロンやポリエステルと比べると柔らかい
- 光沢や色彩がキレイ
- 弾力性と回復性が高くポリプロピレンよりへたりにくい
- 合成繊維の中でも比重が高い
などになります。
網戸が劣化する原因とは?
網戸の寿命は、網戸の設置されている環境や素材により大きく異なりますが、約5〜10年と言われています。
日差しの強い場所に設置されていたり、ベランダやバルコニーに設置されていてよく網戸の開け閉めをする網戸など使用頻度により劣化が早まります。
こちらでは網戸が劣化したり汚れたりして、ダメになる原因をそれぞれ解説していきます。
網戸の劣化原因 ①:紫外線
網戸が劣化する主な原因は「紫外線」だと言われています。
紫外線は人体に影響を及ぼすことはご存じの方も多いですが、実は網戸が劣化する原因のひとつでもあります。特に日が当たりやすい南と西に設置されている網戸は、より劣化が早くなります。
網戸の劣化原因 ②:雨や風
いつも窓の外に置かれている網戸は、風雨などの自然災害の影響を受けやすい環境にあります。
中でも台風は家の一部が破壊するほどの威力があるので、網戸に当たって壊れてしまう可能性も。
もし壊れてしまったら、網戸を交換する以外に方法はありません。また、雨は酸性のためアルミサッシを腐食させてしまいます。
網戸の劣化原因 ③:排気ガス
車から出る排気ガスも網戸がダメになる原因のひとつです。
排気ガスも、環境や人の体に悪いものという認識が強いですが、網戸も排気ガスの影響を受け続けると劣化が早まります。
車の交通量がそれほど多くないところであれば、そこまで排気ガスの影響を受けません。
しかし、交通量が多い道路に面して設置されている網戸は、毎日大量の排気ガスを浴びてしまうので、汚れがつき劣化が進んでしまいます。
網戸の劣化原因 ④:ペットの引っかき
ペットが爪で網戸を引っかいてしまうのも劣化の原因になります。
また、お子様が誤って網戸にぶつかったりすると穴やたるみができる要因です。
そこまで知られてはいないかもしれませんが、網戸はあまり衝撃に強く作られていません。
少しの衝撃でも傷むことがあるので注意が必要です。
網戸の劣化原因 ⑤:経年劣化
網戸の耐用年数は一般的に5~10年くらいと言われており、この年数を過ぎても問題なく使えているご家庭もあるとは思いますが、ひょっとしたら壊れやすくなっているかもしれません。
経年劣化した網戸は本来の役割を果たせなくなっていることもあるので、もし耐用年数を過ぎていたら一度網戸の状態をチェックしてみることをおすすめします。
網戸の張り替えに適したタイミングはいつ?
こちらでは、網戸の張り替えにベストなタイミングをご紹介します。
網戸の張り替えは通常4~5年が目安と言われていますが、以下のような状態であれば早めに張り替えを検討することをおすすめします。
- 網戸をしているのに部屋に虫が侵入してくる
- 穴・破れ・たるみがある
- モヘアが劣化している(毛が抜けるなど)
- 戸車が破損している
- 建付けが悪くなっていたり、骨組みがグラグラする
上記のような状態がひとつでもあれば、網戸本来の役目を果たしていない可能性があります。
穴や破れなどはDIYで応急処置ができますが、その場しのぎにしかならないことも。
破損している場合などは、網戸をまるごと取り替えないといけないこともあります。
そういった場合は、網戸の張り替え専門店に依頼をしていただくことが確実です。
網戸の『 素材 』を比較表でわかりやすくご紹介
網戸の素材はサランネット以外にもいくつかあります。
こちらではサランネットとそのほかの素材を比較しご紹介していきます。
素材 | 特徴 | メリット | デメリット | 費用 | DIY |
グラスファイバー | ガラスを溶かして引き伸ばし繊維状にしたもの | ・タバコの火がついても穴が開かない ・紫外線に強い ・ほつれ、たるみ、巻き癖が出にくい ・海外で人気NO.1 ・簡単に張り替えができる ・デザイン性が高い ・耐久性が高い ・熱に強い | ・ポリエステルの2倍の強度がある・流通量が少なく入手しにく ・摩擦したときガラス樹脂のバリが出やすい ・バリが手指に刺さると痛い | ・価格が高い900円~60,000円程度 | △DIY可能 よりキレイな仕上がりは専門店へ 巻き癖がないので張り替えしやすい | △
ポリエステル | 石油などの化学的に合成された原料のみで作られている合成繊維 | ・紫外線に強い ・手に入れやすい価格 ・弾力性が高い ・耐久性が高い ・吸水性、吸湿性が低い | ・ペットの引っかきに強い・ポリプロピレンより値段が高い | 500円~60,000円弱程度 | △DIY可能 よりキレイな仕上がりは専門店へ | 〇
サランネット | 高分子化合物であるサランで作られている網 | ・耐薬品性に優れている ・水をほとんど吸収しない ・ポリエステルと比べると柔らかい ・光沢や色彩がキレイ ・弾力性、回復性が高い(ポリプロピレンよりへたりにくい) ・摩擦に強い | ・燃えにくい・耐候性が悪い(風雨・温度変化・太陽光などによる) | 250円~50,000円程度 | 〇DIY可能 よりキレイな仕上がりは専門店へ | 〇
ステンレス | 鉄・ニッケル・クロムなどで作られた合金 | ・15~20年ほど持つ ・強度と耐久性が高い ・お手入れが最小限で済む ・防犯におすすめ(簡単には破れないので) | ・汚れがつきにくくサビにくい・この中で一番値段が高い ・入手しにくい ・重量がある | ・DIYでの張り替えには適していない(網が固いため)1,000円~90,000円弱程度 | ×専門店へ依頼が必須 | ×
ポリプロピレン | 網戸の素材の中では最もポピュラーな合成樹脂 | ・DIYに適している(カッターなどで切りやすいため) ・値段が安い ・弾力性が高い ・軽量 | ・加工が簡単・耐久性が低い ・張り替え時期が早い | ・紫外線で劣化しやすい400円~53,000円程度 | ◎簡単に切れるのでDIYに最適 | ◎
網戸の『 メッシュ 』の種類と特徴
網戸の網目の大きさは「メッシュ」と呼ばれており、ほかの素材と同じようにサランネット製の網戸にもメッシュ数があります。
サイズによってメリットやデメリットがあるので表にしてわかりやすく比較しました。
また、おすすめのメッシュサイズもご紹介します。
メッシュ | 特徴 | 網目の大きさ | 通気性 | 虫の侵入 |
18メッシュ | 一般的な網目の大きさ | 1.15㎜ | ◎ | △ |
20メッシュ | 一般的な網目の大きさ | 1.03㎜ | ◎ | △ |
24メッシュ | 5種類の中で最もバランスの取れた網目の大きさ | 0.84㎜ | ◎ | ◎ |
30メッシュ | 網目の大きさがとても細かい | 0.67㎜ | △ | ◎ |
40メッシュ | 網目の大きさがとても細かい | 0.64㎜ | △ | ◎ |
上記のように網戸のメッシュサイズはさまざまですが、
18メッシュや20メッシュの場合、通気性は良いけれどコバエなどの小さな虫が侵入してくる可能性も少なくありません。
また、30メッシュ・40メッシュは網目はとても細かく虫の侵入は防げますが、その分通気性が悪くなるというデメリットがあります。
よって、一番のおすすめは「24メッシュ」の網戸。24メッシュは18メッシュの2倍の細かさで、風通しのよさがいいのと防虫効果のバランスが取れているからです。
サランネット網戸の商品紹介
こちらでは、サランネット網戸の商品をご紹介します。
商品紹介 ①:網戸ネット – サラン 18メッシュ
こちらはサランネット製の網戸張り替え用ネット。メッシュ数は18なので通気性がとても良いタイプ。
幅は1.2mと広めで30mあるので業務用としてもおすすめです。色はグレーとブラックの2色から選べます。
商品紹介 ②:サンエス 網戸張替用ネット防虫網 サランネット
こちらもDIY用のサランネット製の網戸張り替え用ネットです。
幅91㎝なので自宅の網戸の張り替えおすすめです。
長さは30mで家中の網戸の張り替えに使え、コスパも抜群。用途に合わせてブラックとグレーの2色から選ぶことができます。
サランネット網戸の張り替えは専門店に依頼がおすすめ
サランネット製の網戸は、自分でも張り替えすることができます。しかし、作業のトータル的なことを考えると張り替え専門店に依頼するほうが確実です。
その理由として、
- 作業に手間や時間がかからない
- 専用の道具やスペースを確保する必要がない
- プロならではの美しい仕上がり
- 失敗のリスクがない
- 作業の際にケガをしないで済む
- アフターサポートの充実
- 網戸のサイズに悩まなくていい
- 張り替えに関する悩みを解決してくれる
などのメリットがあります。
まとめ
今回は、サランネット製の網戸について、特徴やほかの素材との違い・商品の紹介などを詳しく解説しました。
サランネットは、高分子化合物である「サラン」で作られている網のこと。ポリ塩化ビニリデンに塩化ビニルを少し加えて作る合成繊維を網状にしています。高い難燃性と優れた耐薬品性・水をほとんど吸収しないなどの特性があり、網戸だけでなくさまざまな用途で使用されています。
サランネットはグラスファイバーやポリエステルに比べると、安価で入手しやすいので網戸の張り替えをしたいけれどあまり予算はかけられない方におすすめです。また、燃えにくいという性質を持っているのでキッチンなどの火を使う場所の張り替えにも適しています。
網戸の張り替えはDIYでもできますが、専門店に依頼することで自分の家に適した網戸を選んでもらうことで長く使うことができ、コスパも良くなります。
ただし、専門店でも悪徳業者はいますので、事前に利用する予定のお店の口コミを確認しておくと確実です。その際、返品保証や無料点検・無料見積などがしっかりしているのかなどをしっかりと見極めるようにしてください。
この夏はサランネットの網戸に張り替え、快適にお過ごしください。