【猫間障子-ねこましょうじ-】和室のある猫好き必見!!特徴や構造・張り替え方法まで詳しく解説!雪見障子との違いも解説

『猫間障子ってよくわからないけど、どんな障子だろう?』

『 家に猫がいるので、猫用の障子なら詳細を知りたい!』

『猫間障子は自分で張り替えできる?』

『猫間障子の張り替え方を知りたい!』

っといった方に向けての記事になります。

また、猫間障子の特徴や名前の由来、張り替え・メンテナンス方法だけでなく、他の障子の種類の紹介や張り替えはなぜ専門店をお勧めするのかをわかりやすくまとめた記事になります。

現代の日本家屋は洋室化が進んでいることから、和室が全くないお家もあり、障子を見る機会が今までより減っていると思います。

障子とは平安時代から使われてきた伝統の建具で、枠組の中に桟を組んで障子紙を張った戸のことを指します。また障子は、和室全体の特徴である湿度調整以外にも視線を遮ると同時に断熱の役割も果たし、外の光を柔らかく取り込むことができます。

障子のある和室は、古くから日本に伝わる伝統や日本人の知恵がたくさん詰まった快適に過ごせる空間です。

これからマイホームを購入し、和室を作ろうと考えている方にもおすすめです。

また障子は実は1種類だけでなく、いくつか種類があります。
今回はその中の「猫間障子」について、特徴や魅力・張り替え方なども詳しく解説していきます。他の障子の種類も簡単にご紹介していますので、参考にしてみて下さい。

目次

猫間障子(ねこましょうじ)とは?

猫間障子とは、障子の下半分に上下または左右に開閉できる小障子が取り付けられており、小障子を開けておくと猫が自由に部屋を出入りでき、ガラスははめ込まれていないもののことを指します。

しかし、時代が進むにつれガラスがないと家の性能が悪くなるため、現代の猫間障子にはガラスがはめ込まれたものが主流となっています

猫間障子の名前の由来

猫間障子は「猫のいる間(部屋)の障子」という意味でつけられています。猫間障子の伝統は江戸時代にまで遡ります。

猫は障子が閉め切ってあると障子紙を破って外に出ていこうとします。なのでこれを防ぐために、障子の一部に小窓をつけて左右もしくは上下に開閉できるようにし、猫の出入りを自由にしていました。

そのため、本来は小障子にはガラスははめ込まれていなかったと言われています。しかしながら、現代の家屋ではガラスがついていない障子は冬はとても寒く、家の気密性などを考えると差支えがあるので名前だけが残ったと考えられています。

猫間障子の特徴

ここからは、猫間障子の特徴について解説していきます。

猫間障子のメリット・デメリット

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メリット・ガラス部分から柔らかに外の光を取り入れられる
・障子を開けなくてもガラス部分から外の景色が見える
・障子紙が外からの視線を遮断してくれる
・直射日光を和らげる
・断熱性が高まり冷暖房の効きが良くなる
・和紙が空気中の異物をろ過してくれる(湿度調整)
・和の空間ならではの癒しを感じられる
デメリット ・ガラスが割れたときに危険
・ガラス部分は断熱性が弱くなる
・桟にほこりがたまりやすい
・DIYでの張り替えは難しい
・障子紙が破れやすい
素材・ガラス
・障子紙
・木(ヒノキ)が使用されることが多い
張り替え年数・一般的に5年〜10年(ただし、汚れや劣化が目立つ場合はそれよりも早く交換する)

猫間障子と雪見障子との違い

『猫間障子』と『雪見障子』は見た目が似ていて分かりにくいというお声もよく頂きます。現在の『猫間障子』と『雪見障子』の大きな違いは「ガラスの部分に開閉できる小さな障子があるかないか」という部分です。

猫間障子

猫間障子は雪見障子のガラスの部分に、小さな障子がはめ込んであるのが特徴です。

猫間障子の名前の由来は猫のいる間(部屋)という意味があります。猫が部屋を自由に出入りすることを目的として作られたため、本来はガラスははめ込まれていませんでした。

しかしながら、何もついていないことで気密性が悪くなり、部屋の温度が適温に保たれなくなることで猫が通る役割が薄れてきたため、ガラスがはめ込まれたと言われています。

雪見障子

雪見障子は通常の障子の下部分にガラスがはめ込まれており、障子を開け閉めしなくてもガラス部分から外の景色を見られるのが特徴です。

下半分にガラスがはめ込まれ、上げ下げできる小障子がついていないものが一般的ですが、地方によってはガラス部分に上下に開閉できる小障子を取り付けたタイプのものを雪見障子と呼ぶこともあるそうです。

雪見障子は冬に庭に積もる雪を、障子を開けなくてもガラス部分から部屋の中からでも見られるようにする目的で作られました。そのため、「雪見障子」という名前がつけられています。

また、本来「猫間障子」と「雪見障子」の用途やデザインは全然違うものになりますが、時代が進んでいくにつれて、区別なく似たように使用されている場合が多くなってきたようです。

猫間障子の種類

猫間障子には、組み込まれた小障子の開閉の仕方で呼び名が異なり、3つの種類があるのでそれぞれ解説していきます。

摺上猫間障子(すりあげねこましょうじ)

引用元:大東建託リーシング株式会社様

摺上猫間障子とは、障子の下の部分にはめ込まれた小障子を上下に可動することができ、向こう側が見えるように作られたもののことを指します。

「大阪猫間障子(おおさかねこましょうじ)」・「上げ下げ障子(あげさげしょうじ)」とも呼ばれ、現在はガラスが入っているものが一般的です。

小障子を上下に摺り上げると外の景色を見ることができ、摺り上げた小障子がずり落ちてこないように縦桟にバネが仕込んであります。

片引猫間障子(かたびきねこましょうじ)

引用元:ひでしな商店様

片引猫間障子は、障子の建具内の片側に小障子が取り付けてあり、片側に引くことで開けられるタイプの猫間障子になります。

「関東猫間障子(かんとうねこましょうじ)」とも言われ、ガラスがなければまさに猫の通り道としてぴったりです。

通常は家の通気性を良くするためには障子を開けますが、この猫間障子は小障子を開けるだけで通気性が確保でき、外からの視線をシャットアウトすることができるのでプライバシー確保の面でも魅力的な障子になります。

引分猫間障子(ひきわけねこましょうじ)

引用元:アンティーク家具 ラフジュ工房様

引分猫間障子とは、ガラスの上に取り付けられている小障子を左右に移動させて引き開けられるタイプの猫間障子になります。

こちらも、片引猫間障子と同様、「関東猫間障子(かんとうねこましょうじ)」とも呼ばれます。

小障子を開けられる大きさは、障子の半分程度から猫が通れるほどの小さなすき間分だけ開くものなど、さまざまです。

なお、近年では摺り上げ式の大阪猫間障子が猫間障子の中心となったことから、関東猫間障子は見る機会が少なくなってきているようです。

猫間障子以外の障子の種類と特徴を簡単に解説

引用元:株式会社福井様

ここからは、猫間障子・雪見障子以外の障子の種類(荒組障子・縦繁障子・横繁障子・腰付障子)についてご紹介いたします。

荒組障子(あらぐみしょうじ)

荒組障子とは、横組障子を基本として組子の数を少なくした障子のこと。

「荒間障子(あらましょうじ)」「大荒組障子(おおあらぐみしょうじ)」と呼ばれることもあります。

木造住宅などの一般的な家庭で使用されていることが多い障子です。和洋どちらの部屋でも使えるシンプルなデザインが特徴的です。

縦繁障子(たてしげしょうじ)

縦繁障子は横組障子を基本として、縦方向の桟が多く組まれた障子のことを指します。繁(しげ)とは細かいものが横に規則的に連続して並んでいることを呼びます。

主に関西地方で見られる障子で、組子が細長いのでスマートに見えるのも特徴のひとつで、玄関の引戸などでもよく使われています。

横繁障子(よこしげしょうじ)

横繁障子とは横組障子を基本として、組子を横に細かい間隔で組み込んだ障子になります。

特に関東地方で好まれ良く使用され、茶室や床の間の書院などでも使われています。

横の組子が多いことで横への流れが強く感じられ、奥行きを広く見せることができるのが特徴。

腰付障子(こしつきしょうじ)

腰付障子は、障子の下の部分が板張りになっている障子のことを指し、「腰障子(こししょうじ)」とも呼ばれます。この板の部分を腰板と呼び、高さは現在では30㎝程度が一般的。

以前は風雨を避けるために60〜70㎝程度が主流でしたが、部屋での仕切りとしての役割が主要になったため、高い腰板は不要になったと考えられています。

猫間障子の構造

引用元:楽天市場-株式会社 インドラ様-

猫間障子は一般的な障子と比較すると、小障子があるため小障子がずり落ちるのを防ぐために「バネ」が組み込まれているため作りが複雑になります。

引用元:株式会社 ヨドバシカメラ様

そして、猫間障子の小障子は「孫障子(まごしょうじ)」とも呼ばれ、これをつけることによりガラス面と2重構造になるので断熱性が高まり、夏は冷たい空気を冬は暖かい空気を逃さない特徴を持っています。

引用元:楽天市場-株式会社 インドラ様-

猫間障子の構造の各名称について解説していきますので、上の画像を参考にご覧ください。

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名称各部分の詳細
上桟(かみざん)障子枠の一番上にある桟のこと
組子(くみこ)障子の内枠に組まれる縦横の格子のこと
框(かまち)両側にある縦の太い桟のこと、縦ざん(たてざん)とも呼ぶ
中桟(なかざん)上桟と下桟との間にある桟のこと
下桟(しもざん)障子枠の一番下にある桟のこと
小障子(こしょうじ)障子の下のガラス部分にはめ込んである小さな障子のこと 孫障子(まごしょうじ)とも呼ばれる

猫間障子のメンテナンス方法

猫間障子のお手入れは、ガラス部分や小障子があるので通常の障子とは少し違ってきます。

普段のお手入れは一般的な障子と同じように、桟にたまった埃(ほこり)をはたきなどで使ってこまめに取るだけで問題ありません。

また、障子紙は水分を吸収しやすいので、カビが繁殖しやすくなったり冬は結露が発生することが多くあります。一般的な障子紙の場合は、紙のため拭き掃除は乾いた布で必ず行い、拭き掃除をした後はこまめに換気をするようにしてください。(※障子紙は込みの素材以外にもプラスチックなどでできた素材の障子紙もございます。)

そして、ガラス部分を掃除するときはクリーナーを使うのがおすすめです。

クリーナーを使用する際は、ガラスに直接吹き付けずに布に付けてから拭くようにしてください。直接ガラスにクリーナーを吹き付けると、桟や障子紙についてしまいシミができてしまうことがあります。

また、実際猫がいるご自宅の場合は猫が障子紙を破いてしまうこともあるので、プラスチック障子紙に変えることをおすすめします。プラスチック障子紙は、水拭きもできるので日々のお手入れが非常に楽になります。その他、ガラスの代わりにアクリル板をはめ込んでおくと、万が一小障子が破損してしまった際の危険もなくなります。

プラスチック障子やアクリル板などは価格や扱いやすさを比べ、自分の生活様式に合わせたものを選ぶようにするのがオススメです。ご自身で何の障子紙が合うのか判断が難しい場合は、ぜひお近くの張り替え専門店や建具屋さんにご相談・お問い合わせください。
※お問い合わせする際は、事前にそのお店の口コミや電話番号からお店の評判を確認し、営業電話がしつこくないかもぜひ一度お調べいただいてからお問い合わせすることオススメいたします。

猫間障子の張り替えについて

猫間障子(※今回は摺上猫間障子)の張り替え方について簡単に説明していきます。

猫間障子の小障子にはずり落ち防止のためのバネがついています。このバネがついていることで、小障子を外すときは意外と手間がかかってしまいます。

まず、小障子の外す方法から説明していきます。

  • 小障子の左右の溝を見てどちらが深いか確認(深い方にバネが入っています)
  • 溝が深い方に小障子を押し付ける
  • 溝が浅い方の小障子が浮いたら取り外し

続いて、障子紙を貼っていきます。(※のりで貼り付ける障子紙の場合)

  1. 障子の枠に沿って水を霧吹きなどでかけたら少し時間を置く(5分ほど)
  2. のりがふやけたら障子紙を端から丁寧に剥がしていく
  3. 障子紙を剥がしたら枠を水で洗いキレイにする
  4. 障子枠を風通しがいいところに置き乾かす
  5. 溶かしたのりを枠につける
  6. 障子紙をゆっくり広げ枠に沿って貼り付ける
  7. たるみをなくすため指を使いなぞる
  8. 枠からはみ出した障子紙をカットする

最後は外した小障子を取り付ける手順を簡単いご説明します。

  • 左右の枠の溝が深い方を把握しておく 小障子を持ち、溝が深いほうにしっかりと押し付ける
  • 小障子を持ち、溝が深いほうにしっかりと押し付ける
  • 反対側の溝に小障子をはめ込む
  • 上下の開閉がスムーズにできるか確認する

猫間障子の張り替えの手順は上記の通りになります。小障子は取り外しが難しいだけでなく、バネの種類もさまざまなので最適なものを選ぶのも困難です。また、障子紙の貼り替えの工程もたくさんあることから、自分での貼り替えは手間がかかってしまうかもしれません。

そのようなことを考えると、やはり貼り替えは専門店にお任せするのがベストだと言えます。

猫間障子の張り替えは専門店に依頼するのが確実

コストの面などで、猫間障子をDIYで張り替えようと考えている人もいるかもしれません。

しかし、実は作業の準備や手間/時間、綺麗に張り替えできるのかをトータル面で考慮すると、張り替えはプロの張り替え専門店に依頼するのがベストだと言えます。

特に、猫間障子(※今回は摺上猫間障子)の張り替えは、一般的な障子とは構造も異なるためご自身で綺麗に張り替えを行う事は以下のような理由から難易度がかなり高いのでオススメいたしません。

  • 小障子の取り外しが自分では難しい
  • 障子紙の張り替えの工程が多い
  • 小障子に適したバネを選ぶのが難しい
  • ガラスが割れたときにケガをする恐れがある
  • 枠のサイズを測るのが難しい

また、なぜ障子の張り替え専門店をおすすめする理由として以下となります。
是非、お近くの張り替え専門店にお問い合わせ・ご相談ください。

  • 専門的な道具を用意しなくてもいい(張り替えは一生のうち数回のため、道具まで費用をかけて揃える必要があるのか?)
  • 専門店ならではのキレイな仕上がりにしてもらえる(張れたとしても、仕上がりが甘くヨレや剥がれが発生し和室の見た目が悪くなる)
  • 自分での張り替えより手間や時間がかからない(道具や張り替え方を調べる時間、実際に障子紙を剥がし枠を乾かして張り替えるをする時間)
  • 障子についての疑問に的確に答えてくれる(自分の求めている適した障子紙の選定や猫間障子のようにバネのパーツの選定に不安がでてくる)
  • トラブルが起きたらすぐに解決できる(多くの専門店では無料の保証期間があり、万が一不具合が出ても無料で張り替え可能)

まとめ

今回は猫間障子について、特徴や雪見障子との違い・種類・構造・張り替えについてなど詳しくご紹介しました。

現代の『猫間障子』と『雪見障子』の大きな違いは「小障子部分にガラスがあるかないか?」ですが、現在は部屋の気密性を考慮しガラスがはめ込んであり雪見障子とほとんど同じものになっています。また、名前の由来にもそれぞれ違いがあることがわかりました。なので、猫間障子を専門店でオーダーする際は、雪見障子と間違えないようにすることが大切です。

猫間障子の張り替えはご自身でも可能です。

しかしながれ、小障子部分についているバネがあり外すのにコツがいることや、溝の深さによりバネの大きさなどを考慮してパーツを購入する必要があります。また、ガラス部分が割れたりするとケガをしてしまう恐れがあります。障子紙の張り替えにもたくさんの工程をがあることから色々な部分を考慮すると、猫間障子の張り替えは張り替え専門店に依頼し張り替えてもらうのがベストな判断だと言えます。

これからマイホームに和室を作る予定の方や猫を飼われていらっしゃる方は、この記事をお読み頂き興味があれば是非お近くの張り替え専門店にご相談してみてください。


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