
ふすま(襖)は和室の間仕切りとして機能する建具であり、和室の全体の印象を左右する重要な存在です。
そのふすまの開け閉めする際に欠かせないのが、『引手(ひきて)』になります。
引手の主とする役割は、スムーズにふすまの開閉を行うための部品になります。
しかし、それだけではなく、襖紙との組み合わせによって、伝統的な和の雰囲気からモダンな空間まで演出できる装飾的な役割も担っています。
そのため、ふすまの張替えとあわせて交換することで、部屋の印象を手軽に変えることができます。
本記事では、ふすまの引手デザインについて、種類・形状・素材ごとに詳しくご紹介します。
ふすまは古いイメージを持たれがちですが、近年では機能性の高さや和室のモダン化ニーズの高まりから、再び注目されています。
和室にこだわりたい方や、伝統と現代性を兼ね備えたおしゃれな空間にリフォームしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
和の住まいの魅力

和の住まいの魅力は、畳・障子・襖による調湿効果や断熱性など、快適な住環境を実現できる点にあります。
また、四季を感じられる開放的な空間や、軒(のき)・縁側(えんがわ)が生み出す機能性と美しさも大きな特徴です。
さらに、日本人の感性になじむ落ち着きや安らぎと、現代技術によって向上した住み心地が両立している点も魅力といえるでしょう。
こうした和の住まいの価値は、国土交通省が公開している「和の住まいの推進・和の住まいのすすめ」においても紹介されています。
参考:和の住まいの推進:日本語版、英語版(English Ver.)
ふすまの魅力とは?

ふすまが再注目されている理由は、機能性とデザイン性を兼ね備えている点にあります。
ここでは、ふすまの代表的な魅力をわかりやすく解説します。
【断熱性】
ふすまは木枠に和紙を重ねて張る構造のため、内部に空気の層が生まれます。
この空気層が断熱材のように働き、熱を伝わりにくくします。
その結果、夏は冷房の涼しい空気を逃しにくく、冬は暖房の暖かさを保ちやすくなるため、省エネや光熱費の節約にもつながります。
【調湿性】
ふすまに使われる和紙や木材には、湿度に応じて水分を吸収・放出する性質があります。
湿気が多い時期には水分を吸収し、乾燥しているときは蓄えた水分を放出することで、室内の湿度を自然に調整します。
そのため、年間を通して快適な空間を保つ効果が期待できます。
【可動性】
ふすまは横にスライドして開閉するため、ドアのような開閉スペースが不要になります。
そのため、限られた空間でも効率的に使えるほか、取り外しも容易なため、部屋を仕切ったり広げたりと柔軟なレイアウト変更が可能です。
【デザイン性】
ふすまは、襖紙・引手・縁(ふち)の組み合わせによって、和風からモダンまで幅広い空間演出が可能です。
山水画・松竹梅・扇などの伝統的な柄だけでなく、北欧風や幾何学模様など多彩なデザインがあり、張替えによって部屋の印象を大きく変えることができます。
また、引手のデザインによっても雰囲気は大きく変わります。
おしゃれな引手デザインについて詳しく知りたい方は、「ふすまの引手デザインの種類と選び方」をご覧ください。

※断熱性・調湿性は主に「本襖(ほんぶすま)」に備わる機能になります。襖の種類や選び方について詳しく知りたい方は、以下記事をご覧ください。

このように、ふすまは機能性だけでなくデザイン性にも優れており、現代のマンションや洋風住宅にも和モダンなアクセントとして取り入れられています。国土交通省は「和の住まいの推進」において、伝統的な住まいの要素を現代の暮らしに活かす取り組みを進めています。
また、文化庁では、文化財の保存や活用を通じて、日本の歴史や文化を継承する取り組みが進められています。
こうした背景から、日本の伝統的な住まいの価値が見直されており、ふすまも年代や国を問わず再び注目されてきています。
ふすまの『引手』の魅力とは?

引手には主に次のような役割があります。
- 襖紙に直接触れずに開閉できるため、汚れや破れを防ぐ
- くぼみに指をかけることで、軽い力でスムーズに開閉できる
しかし、引手はこのように機能面での役割だけでなく、和室の印象を左右する意匠性も兼ね備えており、引手はシンプルな和室空間において視線を引きつけるアクセントとしての役割も果たします。
一般的には黒色で丸型の伝統的なデザインを思い浮かべる方が多いと思いますが、実は角型・楕円形・花型・動物型など、デザインのバリエーションが非常に豊富です。
そのため、引手を交換するだけでも、和室の印象を「伝統的」「モダン」「かわいい」「個性的」などに大きく変えることができます。
また、素材も金属・木材・陶器・プラスチックなど多岐にわたり、それぞれ異なる質感や経年変化を楽しめる点も魅力です。
引手の各素材ごとの特徴やメリデメ、選び方をご紹介

ふすまの引手は、素材によって見た目の印象や使い心地が大きく変わります。
主に木製と金属製に分類されますが、近年ではプラスチックや陶器など、デザイン性に優れた素材も増えています。
この章では、引手の素材ごとの特徴や選び方について詳しくご紹介します。
木製の引き手

木製の引手は、自然素材ならではの温かみと、手に触れたときに冷たさを感じにくく柔らかく優しい手触りと風合いから、和室だけでなく和モダンな空間にもよく合います。
また、経年変化によって色合いや質感が深まるため、長く使うほど味わいが増す点も魅力です。
木製の引手の種類は以下のように様々な種類があり、種類によって風合いや特徴が異なるため、部屋の雰囲気や用途に合わせて選ぶことが重要になります。
この章では、以下それぞれの木材の引手の特徴やメリット/デメリット、選び方のポイントを詳しくご紹介します。
- チーク
- 欅(けやき)
- 四手(しで)
- 黒檀(こくたん)
- 黄楊(つげ)
- 桑(くわ)
- 桜
- 楓(かえで):メープル
- 黒柿(くろがき)
- タモ
- オーク
- 集成材(しゅうせいざい)
- 積層強化木(せきそうきょうかぼく)
チーク

世界三大銘木のひとつである「チーク材(Teak)」を使用した木製の引手です。
高級感があり、天然の油分を豊富に含んでいるため、耐水性・耐久性・防虫性に優れているのが特徴です。
また、金属製に比べて冷たさを感じにくく、和の空間に落ち着いた印象を与えます。
経年変化によって色味が深まり、次第に美しい金褐色へと変化していく点も魅力のひとつです。
高級感と耐久性を重視したい方や、長く使いながら経年変化を楽しみたい方におすすめです。
欅(けやき)

欅(けやき)は、日本の伝統的な高級木材として知られる素材です。
硬く丈夫で耐久性に優れており、長く安心して使用できるのが特徴です。
また、欅特有のはっきりとした力強い木目が美しく、存在感のあるデザインを演出します。
天然木ならではの個体差があり、一つひとつ異なる表情を楽しめる点も魅力です。
木目の美しさを活かした和室らしい空間にしたい方や、伝統的で落ち着いた雰囲気を大切にしたい方におすすめです。
四手(しで)
四手(しで)は、カバノキ科クマシデ属に分類される樹木で、イヌシデ・アカシデ・クマシデなどの総称です。日本の雑木林を代表する木として知られています。
「シデ」という名前は、春から初夏にかけて垂れ下がる実の形が、神社のしめ縄などに付けられる「四手(しで)」に似ていることに由来しています。
木材は白っぽく淡い色合いで、きめ細かい木目が特徴です。清潔感があり、上品でやさしい印象を与えてくれます。
明るい色味のため和室全体をすっきりと見せ、襖紙ともなじみやすい素材です。
軽く扱いやすい引手を選びたい方や、シンプルで主張しすぎないデザインを好む方におすすめです。
黒檀(こくたん)
黒檀(こくたん)は、カキノキ科カキノキ属に分類される常緑高木で、主に南アジアからアフリカにかけて分布しています。
重量があり非常に硬く、きめ細やかな質感と深みのある黒色が特徴で、世界でも希少な高級銘木として知られています。
また、耐久性や耐腐食性に優れており、長期間使用しても劣化しにくい点も大きな魅力で、磨くほどに美しい光沢が増し、上品で重厚感のある仕上がりになります。
和室に高級感と落ち着いた雰囲気をもたらし、空間全体を引き締めてくれる素材です。
高級感や存在感を重視したい方や、格式のある和室に仕上げたい方におすすめです。
黄楊(つげ)

黄楊(つげ)は、ツゲ科に分類される常緑低木で、その硬さと美しさから「木の真珠」とも称される高級木材です。古くから印鑑や櫛などの素材として用いられてきました。
木質は非常に緻密でなめらかであり、優れた耐久性を持っているのが特徴です。
また、「黄」の名の通り、黄色から黄褐色のやさしい色合いをしており、上品で落ち着いた印象を与えてくれます。
使い込むほどに色味が深まり、美しい艶が増していく経年変化も魅力のひとつです。
上品で落ち着いた雰囲気の和室にしたい方や、なめらかで繊細な質感を重視したい方におすすめです。
桑(くわ)
桑(くわ)は、クワ科に分類される落葉高木で、木肌が緻密で強靭なうえ、耐久性に優れているのが特徴の木材です。
日本産の「山桑(やまぐわ)」や中国産の「真桑(まぐわ)」があり、葉はカイコの食料として知られています。
桑材の引手は、独特の美しい木目と落ち着いた色合いが魅力で、上品で温かみのある印象を与えます。
和の空間になじみやすく、自然な風合いを活かしたコーディネートに適した素材です。
また、使い込むほどに色味が深まり、味わいが増していく経年変化も楽しめます。
経年変化による色合いの変化を楽しみたい方や、味わいのある和の雰囲気を大切にしたい方におすすめです。
桜

桜は日本を代表する銘木のひとつで、表面が緻密で非常になめらかであり、心地よい手触りが特徴の木材です。
芯材は淡い赤褐色からピンク色を帯びており、均一で美しい木目が上品でやさしい印象を与えてくれます。
また、使い込むほどに艶が増し、深みのある色へと変化していく経年変化も魅力のひとつです。
ナチュラルでやわらかな雰囲気を持つため、和室に違和感なくなじみ、明るく落ち着いた空間を演出してくれます。
やさしく上品な雰囲気の和室にしたい方や、明るくナチュラルな印象を重視したい方におすすめです。
楓(かえで):メープル

楓(かえで)は、美しい紅葉で知られる落葉高木で、「メープル」とも呼ばれる木材です。
乳白色のような明るい色合いと、きめ細やかでなめらかな木肌が特徴で、清潔感のあるやさしい印象を与えてくれます。
また、硬く耐久性に優れており、衝撃や摩耗に強く傷が付きにくい点も魅力です。
明るくナチュラルな雰囲気を演出できるため、和室はもちろん洋風インテリアにもなじみやすく、空間全体を軽やかに見せてくれます。
明るくナチュラルな空間にしたい方や、和室/洋室のどちらにも合うデザインを求める方におすすめの素材です。
黒柿(くろがき)

黒柿(くろがき)は、樹齢数百年以上の柿の木の中でも、ごくまれに内部が黒く変色したものを指し、その発生確率は数万本に1本とも言われている非常に希少価値の高い木材です。
木目は、墨を流したような模様や孔雀の羽のような独特の美しい表情が現れることがあり、その個性的な模様は空間のアクセントとなり、和室に高級感や特別感を与えてくれます。
個性的で希少性の高いデザインを取り入れたい方や、他にはない特別な空間を演出したい方におすすめの素材です。
タモ
タモはモクセイ科に分類される落葉広葉樹で、はっきりとした美しい木目を持つ、白から淡い黄褐色の木材です。
まっすぐに伸びる力強い木目が特徴的で、自然な温かみのある表情を演出してくれます。和室はもちろん、モダンなインテリアにもなじみやすい点も魅力です。
また、強度と耐久性に優れており、日常的に手に触れる引手としても安心して長く使用できます。
木目の存在感を活かしたデザインにしたい方や、ナチュラルで力強い印象の空間に仕上げたい方におすすめの素材です。
オーク

タモはモクセイ科に分類される落葉広葉樹で、はっきりとした美しい木目を持つ、白から淡い黄褐色の木材です。
まっすぐに伸びる力強い木目が特徴的で、自然な温かみのある表情を演出してくれます。和室はもちろん、モダンなインテリアにもなじみやすい点も魅力です。
木材の色味もナチュラルカラーから落ち着いた色合いまでオーク特有の風合いを長く楽しむことができます。
また、強度と耐久性に優れており、日常的に手に触れる引手としても安心して長く使用できます。
木目の存在感を活かしたデザインにしたい方や、ナチュラルで力強い印象の空間に仕上げたい方におすすめの素材です。
オーク

集成材(しゅうせいざい)は、小さな木片を接着剤で貼り合わせて作られる「エンジニアリングウッド」と呼ばれる人工木材です。
天然木に比べてコストを抑えやすく、品質が均一で安定しているため、大量生産にも適しています。
また、小さな木片が規則的に並ぶ独特の模様が特徴で、シンプルでモダンな印象を与えてくれます。
和室だけでなく、洋風インテリアにもなじみやすい素材です。
コストを抑えつつ品質の安定した引手を選びたい方や、シンプルでモダンなデザインを求める方におすすめの素材です。
※建具部材である襖の引き手は、小型部材であることから素材の詳細表記が省略されることが多く、「木製」「天然木」「ウッド調」「木目」などの表現で販売されるのが一般的です。見た目では素材の違いが分かりにくいため、気になる方は専門店に相談するのがおすすめです。
オーク

積層強化木(せきそうきょうかぼく)は、薄い木材に樹脂を含浸させて何層にも重ね、高圧でプレスして作られる木目調の人工素材です。
非常に硬く、金属に近い強度を持つのが特徴で、耐久性や耐摩耗性に優れています。
また、樹脂が内部まで浸透しているため吸水性がほとんどなく、水に強く腐食しにくい点も魅力です。
積層構造によって表面には美しい層状の木目が現れ、デザイン性にも優れています。和室だけでなく、モダンな建具やインテリアにもよくなじみます。
高い耐久性や変形しにくさを重視したい方や、長期間安心して使える実用性を求める方におすすめの素材です。
引手の素材によって、見た目や使い心地は大きく異なります。
木材の引き手をお探しの方は、以下の表を参考にご自身に合った素材を選んでみてください。
| 木材 | 特徴 | 性能 | 見た目・手触り | 経年変化 | おすすめな人 |
|---|---|---|---|---|---|
| チーク | 高級銘木 | 耐水・耐久 | しっとり | 金褐色 | 高級感重視 |
| 欅 | 伝統銘木 | 高耐久 | 木目強い | 味わい増す | 和室重視 |
| 四手 | 軽い木 | 扱いやすい | 淡色 | やや変化 | シンプル派 |
| 黒檀 | 希少高級 | 非常に硬い | 黒・重厚 | 光沢増す | 格式重視 |
| 黄楊 | 緻密木材 | 摩耗に強い | なめらか | 艶増す | 上品重視 |
| 桑 | 強靭木材 | 耐久高い | 落ち着き | 深まる | 経年変化好き |
| 桜 | 国産銘木 | 適度な硬さ | 明るい | 艶増す | やさしい空間 |
| メープル | 明るい木 | 傷に強い | 白系 | 飴色 | ナチュラル |
| 黒柿 | 希少木 | 耐久あり | 模様個性 | 味出る | 個性重視 |
| タモ | 木目美しい | 高耐久 | はっきり木目 | 深み | 存在感 |
| オーク | 万能木 | 高耐久 | 虎斑 | 落ち着く | バランス派 |
| 集成材 | 人工木 | 安定 | 均一 | 少ない | コスパ重視 |
| 積層強化木 | 人工素材 | 超耐久 | 層模様 | 変化なし | 実用重視 |
金属製の引手

金属製のふすまの引手は、和室に高級感や重厚感を与え、風格のある空間を演出してくれます。
木製にはない光沢や質感が特徴で、モダンな和室や高級感のあるインテリアにもよく合います。
また、耐久性に優れており、長期間使用しても劣化しにくい点も魅力のひとつです。
金属製の引手には、素材ごとに色味や質感、経年変化の違いがあります。
この章では、以下それぞれの金属製の引手の特徴やメリット/デメリット、選び方のポイントを詳しくご紹介します。
- 鉄
- 銅
- 真鍮(しんちゅう)
- 銀
- アンチモニー
- ステンレス
鉄
鉄は高い強度や加工のしやすさが特徴で、安価で大量生産ができる最も身近な金属です。
金属のなかでも強度が高く、長期間使用しても変形や破損がしにくい素材です。
鉄製の引手は、鉄特有の重厚感がある黒・鉄錆色(てつさびいろ:鉄が錆びたような暗い赤褐色)・古美色(こびしょく:古いびた色合い)が主流になります。
その独特の風合いは伝統的な和室から和モダンな和室まで幅広く使われています。
銅
銅は赤褐色の美しい光沢を持つ金属で、やわらかく加工しやすい性質を持っています。
空気に触れることで徐々に酸化し、赤みのある色合いから深みのある褐色や渋みのある色へと変化していくのが特徴です。
このような経年変化を楽しめる点が、銅素材の大きな魅力といえます。
塗装とは異なり、素材そのものが変化していくため、長年使用しても風合いが損なわれにくく、上品で味わいのある表情を保ちます。
経年変化を楽しみたい方や、落ち着いた雰囲気の和室にしたい方におすすめの素材です。
真鍮(しんちゅう)
真鍮(しんちゅう)は、銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金で、「黄銅(おうどう)」とも呼ばれる金属です
5円玉や金管楽器などにも使用されており、比較的錆びにくく、美しい状態を保ちやすいのが特徴です。
新品時は、黄色がかった金色の輝きを持ち、和室に華やかさや高級感を与えてくれます。
また、空気に触れることで徐々に酸化し、使い込むほどに色味が深まり、アンティーク調の落ち着いた風合いへと変化していきます。この経年変化も真鍮ならではの魅力です。
高級感や華やかさを演出したい方や、経年変化を楽しみたい方におすすめの素材です。
銀
銀は古くから利用されている白く美しい輝きを持つ貴金属で、上品で洗練された印象を与えてくれる素材です。
銀製の引手は、やわらかな白色の光沢が特徴で、和室にさりげない華やかさと高級感を添えてくれます。
また、空気に触れることで徐々に変色し、使い込むほどに落ち着いた風合いへと変化していく点も魅力です。
上品で高級感のある和室にしたい方や、落ち着いた華やかさを取り入れたい方におすすめの素材です。
アンチモニー

アンチモニー(アンチモン合金)は、主に鉛(なまり)や錫(すず)を加えて作られる合金で、銀白色の重厚感ある質感が特徴の金属素材です。
鉄やアルミなどの軽い金属と異なり、適度な重量感があり、手に取ったときにしっかりとした高級感を感じられます。
また、鋳造性(ちゅうぞうせい)に優れているため、細かい装飾やデザインを美しく表現できるのも大きな特徴です。金・銀・黒・古代色などのメッキとも相性が良く、上品で華やかな仕上がりになります。
装飾性の高い引手を選びたい方や、デザインにこだわった和室にしたい方におすすめの素材です。
※鋳造性とは…溶かした金属を型に流し込んで製品を作る際、「どれだけ簡単に、きれいに欠陥なく作れるか」という流し込みのしやすさや、固まりやすさの性質のことを指します。
銀

ステンレスは、「錆びにくい」という意味を持つ、鉄にクロムを加えて作られる合金です。表面に薄い保護膜が形成されることで錆びにくく、耐久性や耐熱性に優れているのが特徴です。
表面がなめらかで汚れが付きにくく、付着した汚れも簡単に拭き取れるため、清潔な状態を保ちやすい素材です。
金属特有のシャープで洗練された質感を持ち、和室だけでなく洋室やモダンなインテリアにも自然になじみます。
お手入れのしやすさや耐久性を重視したい方や、シンプルでモダンな空間に仕上げたい方におすすめの素材です。
引手の素材によって、見た目や使い心地は大きく異なります。
木材の引き手をお探しの方は、以下の表を参考にご自身に合った素材を選んでみてください。
| 素材 | 特徴 | 性能 | 見た目・質感 | 経年変化 | おすすめな人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 鉄 | 身近な金属 | 高強度・高耐久 | 黒・無骨 | やや風合い変化 | 重厚・実用重視 |
| 銅 | 柔らかい金属 | 耐久性あり | 赤褐色 | 色が深まる | 経年変化好き |
| 真鍮 | 銅+亜鉛合金 | 錆びにくい | 金色・華やか | アンティーク調 | 高級・華やか |
| 銀 | 貴金属 | 安定性あり | 白く上品 | 落ち着く | 上品・高級 |
| アンチモニー | 合金 | 鋳造性高い | 装飾性高い | 変化少 | デザイン重視 |
| ステンレス | 鉄+クロム | 高耐久・耐水 | シャープ | 変化少 | 実用・モダン |
プラスチック製(樹脂)の引手

プラスチック(樹脂)は、石油や天然ガスを原料として作られる合成素材で、軽量で扱いやすく、自由な形状に加工できるのが特徴です。
金属製とは異なり、湿気の多い場所でも錆びる心配がなく、水回りや湿度の高い環境でも安心して使用できます。
また、大量生産が可能で価格が比較的安価なため、ふすまの張替えとあわせて引手をまとめて交換したい場合にも適しています。
デザインはシンプルなものが多く、和室の雰囲気を損なわずに使える一方で、金属製や天然木製と比べると高級感はやや控えめです。
コストを抑えたい方や、手軽に引手を交換したい方におすすめの素材です。
陶器(とうき)の引手

陶器とは、主に粘土を原料として、比較的低い温度(800〜1300℃程度)で焼き上げられる「土もの」と呼ばれる焼き物のことです。
陶器製の引手は、金属やプラスチックにはない独特の温かみと、やさしくなめらかな手触りが特徴です。
焼き物であるため金属のように錆びることがなく、長く安心して使用できます。
また、伝統的な和柄からモダンなデザインまで種類が豊富で、ふすまのワンポイントとして高いインテリア性を発揮します。
デザイン性や質感にこだわりたい方や、やわらかく温かみのある雰囲気の和室にしたい方におすすめの素材です。
各素材の引手比較表
大きく分けた「木製」「金属製」「プラスチック(樹脂)製」「陶器」の素材を一目で比較ができるような表も作成いたしました。
| 素材 | 特徴 | メリット | デメリット | 価格帯(目安) | おすすめな人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 木製 | 天然木の温かみ | ・自然な風合い ・経年変化が楽しめる ・独特の木目が美しい ・和の空間になじむ | ・湿気の影響を受けやすい ・耐久性は金属より劣る ・紫外線で日焼けしやすい ・金属やプラに比べて汚れやすい | 中〜高 (黒檀・チークは高価) | ナチュラル・和室らしさ重視 |
| 金属製 | 重厚で高級感 | ・耐久性が高い ・デザイン性も豊富 ・高級感がある ・汚れがつきにくい ・お手入れが簡単 | ・時間が経つと黒ずみや錆びが発生 ・素材が硬いため取付けが難しい | 中〜高 (真鍮・銀は高価) | 高級感・重厚感重視 |
| プラスチック | 軽量な人工素材 | ・安価 ・軽いくて扱いやすい ・錆びない | ・木製や金属より高級感に劣る ・木製や金属より壊れやすい ・静電気が発生しやすい | 低 (最も安価) | コスパ・手軽さ重視 |
| 陶器 | 焼き物ならではの質感 | ・デザイン性が高い ・温かみがある ・錆びない | ・衝撃で割れることがある ・重量がある ・高価 | 中 (デザイン品はやや高価) | 個性・インテリア性重視 |
※価格は引手のサイズ・デザイン・製造工程・数などにより異なります。
ふすまの引手交換はプロにお任せ

ふすまの引手は、自分でも交換することも可能で、以下のようなメリットがあります。
- 費用を安く抑えることができる
- 好みのデザインを自由に選べる
- 好きなタイミングで気軽に交換できる
- 自分で仕上げた達成感や満足感を得られる etc.

一方で、以下のようなデメリットもあります。
- サイズ選びを間違えると取り付けができない
- 準備や作業に時間と手間がかかる
- 必要な道具や部材を揃える必要がある
- 道具の扱いに慣れていないと怪我のリスクがある
- 引手交換の際、本体に傷や凹みを付けてしまう恐れがある
- 微妙なずれや傾きが仕上がりに影響し、美観が損なわれる
- 万が一失敗すると、結果的に修理費が高くなる可能性がある etc.
特に自分で交換を行う際に注意していただきたいのは、「サイズ選び」です。
引手をデザインだけで選んでしまうと、「直径が合わず取付けができない」などのトラブルが起こる可能性があります。
そのため、DIYで引手交換を行う際には、デザインを探す前にサイズや取り外した際の穴の直径や形状の確認をしておくことが大切です。
これらのメリットやデメリットを考慮し総合的に考えると、ふすまの引手の交換はプロ職人が在籍する専門店に依頼をすることをおすすめします。
また、専門店に依頼するメリットは以下の通りです。
- プロによる美しく仕上がった高品質な施工が期待できる
- 引手の正確なサイズ選定と、部屋に合わせた最適なデザインの提案
- ふすま本体を傷つけずに安全に交換
- 道具や引手を揃える手間や時間がかからず、専門家に手間や時間をかけずに丸投げできる
- 引手だけでなく、ふすま本体の状態も確認してもらえて、お店によっては無料で建て付け調整も
※当店ではふすまの張替えをご依頼いただいたお客様には無料で建て付け調整も行っております - 納品後のアフター保証制度を設けているお店であれば安心 etc.
※当店では、張替えは1年保証を設けております。お店により異なりますので、事前にご確認ください。

まとめ

ふすまには『断熱性』『調湿性』『可動性』『デザイン性』といった特徴があります。
伝統的な機能性を残しつつ、現代の生活様式に合わせて進化しているため、改めてその価値が見直されています。
そして、ふすまの中心にある引手は、ふすまを開閉する際に手掛ける部分になりますが、機能だけでなく部屋の雰囲気を左右する意匠性があるところも魅力のひとつです。
今回はふすまの引手の素材について詳しくご紹介しました。
引手の素材には次のような種類に分けられます。
- 木製
- 金属製
- プラスチック(樹脂)
- 陶器
様々な種類の素材があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットが存在します。
どの素材もそれぞれの魅力があり、引手を交換するだけで部屋の雰囲気を一新することができるため、非常に重要と言えます。
ふすまの引手はご自身での交換も可能ですが、正確な寸法や完璧な仕上がり、自分好みの部屋の雰囲気に合う引手が見つからないなどあれば、ぜひ一度専門店へご相談することをおすすめします。
ふすまの引手交換をご検討中の方や引手探しでお困りの方、引手交換とふすまの張替えをご希望の方など、まずはぜひ当店【家美装 – IEBISOU】までお気軽にご相談・お問い合わせください。
※当店の襖張替えの対象地域には制限がございます。
お住まいの場所によっては、お問合せいただいても対応できない場合もございます。ご了承ください。
私たち、『家美装 – IEBISOU – 』は、ふすま・障子・網戸・畳の張替え専門店です。



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