本記事では、非常に耐久性に優れた豪華なデザインで人気の高い織物襖紙について織物襖紙の魅力や種類のご紹介をご紹介をします。
数年ごとの襖紙の張り替えは、経年劣化が少なく長持ちな織物襖紙がおすすめです。なかでも上級織物襖紙は耐久性が抜群で、高級感あふれるデザインが長年愛されて続けています。
織物襖紙(おりものふすまがみ)とは
織物襖紙は糸入り襖紙とも呼ばれ、天然繊維や合成繊維を織り込んだ襖紙(ふすまがみ)のことです。
通常の和紙の襖紙よりも破れにくく丈夫な構造なため経年劣化年数が非常に長く、長寿命な襖紙と言われています。
また、織物襖紙は織糸の種類や加飾(かしょく)方法によって、普及品と呼ばれる安価なものから高級品まで様々な種類があり、品質が高くなるにつれて耐久性も高まります。
織物襖紙の歴史
織物襖紙の歴史は古く、奈良時代にまでさかのぼります。
奈良時代初期、主に広間の仕切りとして「ついたて」や「簾(すだれ)」などが使われていました。
平安時代に入ると、寝所が「ふすまどころ」と呼ばれるようになります。
その原型は、ついたての両面に絹織物を貼ったものだと言われています。
時が経つにつれ、その絹織物を貼ったものが「襖」と呼ばれるようになりました。
糸入り襖紙と呼ばれるのはなぜ?
織物襖紙は、素材に織物の糸が織り込まれているため、『糸入り襖紙』とも呼ばれています。
素材に用いられる織物に糸が組み込まれているからです。
糸入り襖紙は、和紙の上にガーゼのような素を重ねている構造のため、一般的な和紙襖紙(わしふすまがみ)よりも破れにくく丈夫で長持ちです。
長年愛用され続ける理由
織物襖紙はその丈夫さと破れにくさから、ふすまの張り替えの際に多くの方から選ばれ続けています。
さらに、襖全体に描かれた大きな絵や、金糸やラメが施された美しいデザインは高級感にあふれ、そのデザイン性から長年にわたり多くの人に愛され続けています。
襖紙の種類と特徴
『 襖紙(ふすまがみ)』と言っても、いくつかの種類が存在します。
襖紙の種類や特徴について比較しながらわかりやすくご説明いたします。
伝統的な襖紙
日本で平安時代から伝統的に使用されてきた襖紙の代表格は和紙襖紙(わしふすまがみ)です。
2枚1組や4枚1組でふすま全体にダイナミックに描かれた絵が、日本らしい古典的な和の空間を演出してくれます。
和紙襖紙の張り替えでは、
和紙の裏面に刷毛でノリを塗り、それを襖に貼り付けるものになります。
この作業では、「しわ」や「たるみ」を出さないように襖紙を上手く張り替える技術と糊(のり)を乾燥させるための時間を確保する必要があり、
張り替え初心者や素人の方には難易度が非常に高い作業と言えます。
現代の襖紙
近年、現代のライフスタイルに合わせて襖紙も著しい変化を子供たちが喜ぶような「キャラクター」の襖紙や「和モダンなデザイン」の襖紙など種類も非常に豊富で、部屋のテイストやライフスタイルに合わせて選べるようになっています。
さらに、シールタイプの襖紙やアイロンで貼り付ける襖紙など張り替えが簡単にできるものも多く登場しており、張り替えに面倒さを感じている方でも気軽にお部屋に襖を取り入れるきっかけとなるようなバリエーションの襖が増えてきています。
【シール襖紙】
襖紙の裏面がシールになっているため、特別な道具が不要で初心者でも簡単に襖紙の張り替えができます。
ただし、「しわ」や「たるみ」ができやすいため、1人で綺麗に貼ることが難しく、複数人で張り替え作業を行う必要があります。
【再湿襖紙】
襖紙の裏面にあらかじめ糊(のり)が塗布されている襖紙です。
再湿襖紙にスポンジを使って水をたっぷり塗布し、簡単に切手のように襖に貼り付けることができます。
【アイロン接着襖紙】
襖紙の裏面に熱で溶けるタイプの糊(のり)がついており、アイロンで手軽に貼れる襖紙です。
アイロン接着襖紙には、スチームアイロンを使って貼るタイプと、アイロンの熱のみで貼るタイプの2種類あります。
他の2種類の襖紙とは異なり水や糊を使用しないため、床を汚すことなく張り替え作業を行うことができます。
一般的に『シール襖紙』『再湿襖紙』『アイロン接着襖紙』は、戸襖(とぶすま)や段ボール襖・発泡スチロール襖に貼る襖紙となります。
一方で、『織物襖紙』『手漉き和紙襖紙』『機械漉き和紙の襖紙』は、本襖(ほんふすま)に貼る襖紙となりますのでご注意ください。
織物襖紙と他の襖紙との違いを比較
織物襖紙とその他の襖紙では、どのような違いがあるのか比較表を作成して分かりやすくしてみました。
織物襖紙 | 和紙 | |
素材 | ※1 芭蕉(ばしょう) ※2 葛布(くずふ)※3 レーヨンなど | 絹しけ 上新鳥の子(鳥の子の普及品) 鳥の子(機械漉き) 本鳥の子(手漉き) | 新鳥の子(機械漉き)
デザイン性 | 大柄 ラメや金糸を混紡 | 豪華な柄無地 | 控えめな柄
耐久性 | 高い | 色褪せ、色やけしやすい |
張り替えサイクル | 10年〜場合によっては20年以上 | 約2年〜10年 |
張り替え費用 | 約3,000円〜40,000円 | 約2,000円〜 |
使用する部屋 | 居間、仏間、寝室など | 賃貸物件、座敷、仏間、客間など |
DIY | × | △ |
※1:「絹しけ」とは、表装生地やふすま紙に用いる絹織物で作成された生地の総称。「絹物のふすま紙といえば、絹しけ」といわれるほど歴史のある紙です。経糸(たていと)には節のない生糸を、緯糸(よこいと)には節のある玉糸を用いることで、絹の持つ光沢を生かし、独特のムラを表現するふすま紙です。
WASHILIFE様 和紙 JAPANESEPAPER”WASHI” 04403 絹しけ
※2:芭蕉の繊維は、湿気をよく吸収し、放熱するため、亜熱帯の高温多湿の気候に適した繊維であったことが知られています。
iroai.jp様 芭蕉布(ばしょうふ)とは?芭蕉布の特徴や技法、歴史について
繊維としては、手触りにしっかりとしたハリを感じ、シャリ感があるため、肌にべとつきにくく、快適な着心地であったため、古く、芭蕉布は沖縄の人々にとって、大切な衣料となっていたのです。
※3:葛布(くずふ)とは、葛くずの繊維で織った織布(しょくふ)のことを表します。葛布の特徴として、外見や手ざわりが麻と似ていますが、実際には性質に違いがあります。麻の繊維には、放熱性があるため、夏物衣類に適していますが、葛布は水切れが良いものの、保温性に富んでいます。そのため、葛布の特徴としては、軽くて雨に強く、保温性もあるため、着物の上に羽織る上着の一種である被布ひふや合羽かっぱ、裃かみしもなどにも仕立てられました。繊維の特性上、敷布(しきふ)などにも活用されました。
iroai.jp様 葛布(くずふ)とは?葛布の特徴や技法、歴史について
織物襖紙も和紙襖紙も、基本的にはグレードが上がるほど耐久性が高くなり、長寿命となります。
特に織物襖紙の耐久性は非常に高く、適切なお手入れや使い方をすれば、10年〜20年ほど張り替える必要がなくなる襖紙となります。
織物襖紙の種類と特徴
織物襖紙は、織り糸の種類や撚糸の本数、装飾などによって最高級品、高級品、上級品、中級品、普及品の5つのランクに分けられます。
ここでは『上級織物』『中級織物』『普及紙織物』の3つに焦点を当て、それぞれの特徴をくわしく紹介していきます。
上級織物
美しい地の模様と柔らかい織肌が特徴のドビー織りなどが主に用いられます。縦糸に横糸を織り込んだ糸目の詰まった高級な織物襖紙で、絹しけや芭蕉、葛布などの天然繊維が使われています。手作業で手間をかけて作られているため、価格も高額となります。
豪華な柄が施されたり、4枚の襖で1つの絵になるようなダイナミックで洗練された柄が豊富で、掛け軸の代わりに部屋を華やかに彩ってくれます。
価格帯は1枚 3,000円から、高級なものになると1枚40,000円以上となるものまでさまざまで、価格帯もデザインも幅広く存在します。
中級織物
長線維(ちょうせんい)のレーヨン糸やスラブ糸、ネップ糸などの意匠撚糸(ファンシーヤーン)で織られたものが中級織物です。
絵柄は手加工または機械加工で作られていて、上品で洗練されたデザインが多いのも特徴です。
一般的な住宅でよく使われる織物襖紙であり、価格は標準的な柄や無地のものが1枚2,000〜2,500円、4枚続柄で1枚あたり1枚4,000〜4,500円程度が目安になります。
普及版織物
普及版織物は、中級織物と同じく縦糸・横糸ともにレーヨン糸が多く使われています。
機械による大量生産が行われるため、価格は一般的に1枚 1,500円〜2,000円程度と安価です。
織物襖紙それぞれの違いを比較
織物襖紙はグレードによって異なる種類に分けられています。
上級織物、中級織物、普及版織物の各種類の織物襖紙ではどのような違いがあるのか、それぞれの違いを簡単に比較表にまとめました。
上級織物襖紙 | 中級織物襖紙 | 普及版襖紙 | |
機能性 | 手加工、高品質 | 手加工が中心 | 機械 |
デザイン | ドビー織りなど糸目の詰んだ織物 ダイナミックな柄 | 変化に富んだ風合い | 種類が豊富 印刷の画一的な模様 |
張り替え年数の目安 | 10年〜20年 | 3〜5年 | 3〜5年 |
張り替え費用 | 3,000円〜40,000円 | 2,500円〜5,000円 | 1,500円〜2,000円 |
素材 | レーヨン系、絹など | レーヨン糸 | レーヨン糸 |
上級織物襖紙は手加工で高品質、張り替え年数は格段に長くなります。
織物襖紙は和紙襖紙と比べて丈夫で耐久性に優れた特徴がありますが、和紙襖紙と同様にお手入れの際は基本的に水拭きはできません。
お手入れをする際には、強く擦りすぎると破れの原因となるので、はたきを使って上から下に軽くホコリを払ったり、細かいホコリは乾いた柔らかい筆を使って払うのもおすすめの方法になります。
耐久性で選ぶなら織物襖紙がオススメ
織物襖紙は、昔ながらの知恵と技術が多く使われているため、和紙襖紙と比較しても耐久性が断然高くなります。
その中でも、職人の手作業によって作られている高品質な上級織物襖紙が最も耐久性が高いものとなります。
襖の張り替えを専門業者に依頼するべき3つの理由
襖の張り替えはご自身でDIYすることも可能です。
しかし、以下に挙げる3つの理由から、私たちはふすまの専門業者に張り替えをご依頼することをオススメしております。
(1) 張り替え作業が難しく失敗する場合が多い
襖紙を張り替える作業には、襖の縁(ふち)を外したり古い襖紙を取り除いたりする作業など、多くの作業工程があり襖張り替え初心者や素人の方には非常に難しい作業となります。また、糊付け(のりづけ)をする際にも空気が入らないように綺麗に張り替えることも至難の業です。
万が一、張り替え作業を失敗してしまった場合は、やり直しのために襖紙の追加コストが発生したり綺麗に剥がし張り替えし直す作業も時間もかかってしまいます。
特に高級な襖紙は模様もきめ細かく、仕上がりの美しさが重要となるため綺麗に丁寧に張り替えすることが重要です。
ふすま張り替えの専門業者に依頼して綺麗に仕上げることがオススメいたします。
(2) 耐久性アップ
襖張り替え初心者や素人の方が襖紙を張り替える際、糊付きが甘くて張り替えてから数日で襖紙が剥がれてしまったり、日と共に徐々に襖紙が剥がれてきて、糊を付け直す方も多くいらっしゃいます。糊付け作業も糊が多すぎても少な過ぎても良くないため、その微調整は熟練の職人技が必要な部分となってきます。
せっかく新しい襖紙に張り替えても、短期間で襖紙が剥がれてしまえば手間も費用も余分にかかってしまいます。
襖の張り替えの専門店に依頼をすれば、丁寧で正確な施工するお店であれば襖が良い状態で長持するさせることができ、失敗もなく、張り替えにかかる手間や材料費などが削減されるため結果的にコストパフォーマンスが非常によくなります。
(3) プロに相談できる
ふすま張り替え専門業者に依頼をすれば、襖紙の選び方などに関するサポートを手厚く受けることができます。
襖紙の張り替えだけでなく、襖の他の傷んでいる箇所などの修繕もお願いできるため、総合的なメンテナンスもしてもらえて安心です。
また、保証制度を設けているお店もあるため、万が一張り替え後に剥がれたり建て付けが悪くなるなどの問題があってもすぐに対応してもらえます。
※※※注意事項※※※
ふすまの張り替え業者にも、良いお店と悪いお店があります。(どこの業界にもあることですが、、、)
襖の張り替えを業者に頼んだのに失敗した。。。ということだけは皆様に避けて頂きたいです。
業者にご依頼する際は、以下項目を最低限チェックしてから張り替えのご依頼をするようお願いします。
→当社、家美装(いえびそう)のGoogle Mapはこちら。
ふすまの張り替え後のアフターフォローは充実しているのか確認する
→家美装では、1ヶ月、3ヶ月、半年、1年の定期メンテナンスを実施しています。
→家美装では、襖の張り替えのご依頼をしてくださった襖に関して、張り替え作業時に無料で建て付け調整をしております。
にある襖の張り替え専門店か。
→家美装では、お客様の”困った”にすぐに駆けつけるため基本的にお店から5分〜30分圏内のお客様のみ張り替えのご依頼をお受けしています。
『家美装 柳川本店』の対応地域:柳川市・大牟田市・みやま市・筑後市・大木町・大川市
『家美装 鳥栖・神埼店』の対応地域:神埼市・鳥栖市・吉野ヶ里町・上峰町・みやき町・基山町
まとめ
襖紙の張り替えは数年に一度。
織物襖紙を使って綺麗に張り替えしてしまえば、経年劣化が少なく耐久性が非常に高いため5年〜20年も張り替え不要になります。
そのため、たとえ襖紙が高価でも張り替えのサイクルの長い高級織物襖紙が費用対効果が高くおすすめです。
高級襖紙の張り替え作業は、手作業で行う必要があるため失敗のない熟練の職人の張り替え作業を行なっている張り替え専門店に依頼するよう強くオススメします。
襖の張り替え専門店にご依頼すれば、張り替え作業失敗がなく、自分の好みや悩み等をお伝えすればプロから的確なアドバイスを受けたり襖紙の選定までもしてくれます。
襖紙の選定やアドバイスだけでなく、建て付け調整や定期メンテナンスまでトータルでサポートをしてくれる張り替え専門店もございますので是非お近くの襖張り替え専門店を探してみてください。