【伐採(ばっさい)とは?自分でも簡単にできる?】種類や適した時期について解説!剪定との違いも分かりやすくご説明します

自宅の庭管理をする際、「剪定(せんてい)」や「伐採(ばっさい)」という言葉を聞いたことがありますが、このふたつの違いがよくわからないという方もいるのではないでしょうか?

どちらも庭木を切る方法になりますが、作業の目的がまったく異なります。なのでそれぞれの違いや目的を良く把握したうえで作業をしたり、業者に依頼をすることが大切です。

そしてご存じの方は少ないかもしれませんが、伐採にはさまざまな種類があります。今回は伐採について剪定との違いや種類、伐採を行うベストな時期についてもくわしく解説していきます。

また、伐採を自分で行う際の手順や正しい専門店選びのポイントなどもご紹介していきます。自宅の庭木の手入れをしたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。

目次

伐採(ばっさい)とは?

伐採とは、”不要な木を根元から切り落とし土地を整備する“こと。

規模はさまざまで庭木のメンテナンスを表すときにも使われ、林業において一山分の樹木を切り倒す際にも使われる言葉です。

伐採の目的には以下のようなものがあります。

  • 土地の整備
  • 建物や農地への活用
  • 自然環境の保護

また庭木の伐採の目的はいらない樹木の除去のため、林業での伐採は材木の生産として木を切るという意味になります。

伐採と剪定(せんてい)の違いについて

伐採と剪定は同じように思われがちですが、目的や行為が全く別物になります。伐採とはいらなくなった木をまるごと1本根元から切り落とします。一方剪定は、庭木の不要な枝や葉を切りそろえ、形を整えて外観をキープすることです。

ふたつの主な判断基準は「木を根元から切るか切らないか」になりますが、他の主な違いは以下になります。

【伐採】

  • 樹木の成長をストップさせる
  • 木を取り除いて土地のメンテナンスをする
  • 建物や農地に活用する

【剪定】

  • 木の成長を一定に促す
  • 庭木の形を整える
  • 樹木の発芽を促進させる
  • 伸びすぎた枝や幹を切り風通しを良くする

伐採をするメリット

伐採は木を根元から除去するので、中には環境破壊などを連想してしまう方もいるかもしれません。

しかし、伐採をすることによって樹木によって生じる問題を解決することができます。

伐採を行うメリットは、主に以下になります。

  • 樹木による事故の防止
  • 日当たりを良くする
  • 近隣トラブルを避ける
  • 虫や鳥などの被害が少なくなる
  • 落ち葉の掃除の手間が省ける

自然災害による事故の防止

庭木の中には根の張りが浅くなったり、腐食が進んでいたりする木があるかもしれません。そのような木は地震・台風・ゲリラ豪雨などの自然災害により倒れてしまう恐れがあります。

さらに腐食が進めば、ある日突然倒木してしまう可能性もあります。また、倒れた木は家や車に当たり破壊を招いてしまうだけでなく、最悪の場合命に関わる事故にもなりかねません。よって倒れるリスクのある樹木は伐採を行ったほうがいいと言えます。

② 日当たりを良くする

家の中に影ができてしまうのは、庭の樹木のせいかもしれません。庭木の種類によっては、成長のスピードが早いものもあります。メンテナンスが難しくなるほど成長し、家に影を作ってしまうようであれば、伐採をすることで日当たりがよくなります。

近隣トラブルを避ける

隣家との間に木があると、近隣トラブルが起こる可能性が高くなります。木の葉や枝が伸びて邪魔になるほか、落ち葉が隣家の庭に落ちてしまうなど迷惑をかけることになります。

枝葉が伸びてきたら頻繁に剪定をするなどの対策が必要になりますが、風で飛んでしまう落ち葉などは完全に防ぎきれません。そこで隣の家に近すぎる樹木は伐採をしてしまえば問題を解決でき、近隣トラブルも避けることができます。

虫や鳥などの被害が少なくなる

樹木にはどうしても虫や鳥が集まりやすくなります。虫は樹木が餌になったり樹液が発酵した匂いに誘われるため、鳥は天敵から逃げたり住処や繁殖場所として利用するという理由があるからです。

虫や鳥が木に集まると、虫が葉を食う・幼虫が発生する・鳥のフンが落ちるなどの被害が起こる可能性があります。このような被害が大きい場合、伐採をしてしまうのもひとつの手段です。

⑤ 落ち葉の掃除の手間が省ける

春に花びらが散る桜や、秋~冬にわたって葉が落ちる針葉樹などの庭木は、掃除に手間がかかってしまいます。

落ちたままの葉や花びらなどを放置しておくと虫の温床になりやすいため、そのままにしておくと状況が悪化する恐れがあります。伐採をすれば掃除の手間がかからず、負担を軽減することができます。

伐採の種類について

林業にあたっての伐採はさまざまな種類に分けられるので、参考までに解説していきます。

(1) 主伐(しゅばつ)

主伐とは、林業において育ててきた樹木を木材として使用するために切ることです。これは農業に例えると収穫と同じ作業になります。

主伐の季節は、そのときの需要により変動がありますが50〜100年前後の樹木が主伐の対象となることが多いようです。

(2) 間伐(かんばつ)

間伐は樹木の成長に応じて一部を間引きし、密度を調節する作業のことを指します。間伐を行うことで森林密度が緩和され、光が土壌に十分届くようになるので木々は快適に成長し、根が頑丈でまっすぐに育つようになります。

また、間伐をすることで下草の成長も促進するので、自然災害(台風や大雨など)が起こった場合、土壌の表面の層が流れ出るのを防ぐことができます。

さらに、水源涵養機能(すいげんかんようきのう)が守られるので、雨水が浄化されおいしい水を作り出すための循環機能を生み出します。 このように間伐は災害の防止にもなり、環境保全の視点からも非常に大切な作業になります。

(3) 除伐(じょばつ)

除伐は将来的に育てたい形成の良い樹木以外のいらない木や、育成の妨げとなる木・曲がって育ってしまった木を切ることです。これは農業による除草と同じ作業になります。

除伐をすることにより成長途中の幼木は、ほかの木に邪魔されず健やかに成長していきます。

(4) 皆伐(かいばつ)

皆伐とは主伐の一種でもありますが、伐採の対象となる一定の区間にある樹木を全て伐採する作業のことを指します。

皆伐をすることで同じ樹齢の木々をまとめて育成することができ、育てられた木は再度皆伐により一度に収穫することができます。

しかしながら皆伐は、山の表面が丸裸になってしまうため土壌を破壊し生態系が乱れたり、森林破壊につながりかねません。よって近年では皆伐をする際、小規模圏内で行うことが多いようです。

(5) 択伐(たくばつ)

択伐も主伐のひとつになりますが、木材として利用できるようになった木を長い期間(数年~数十年)をかけて、そのとき需要のある用材に適したものを選び伐採することです。その後は新しい樹木を植林し、森林の更新を図ることも目的となります。

択伐をすることで継続的な林業が行え、良い品質の樹木を長期的に収穫することができます。

伐採に適した時期はいつ?

伐採に適した時期

庭木の伐採は、冬に行うのが一番適しています。冬は木々の活動が休止し樹液の量が減ることで乾燥しやすくなります。そのため資源として活用される樹木は、密度が高く締まりの良い素材になるというのが理由のひとつです。

また、単にいらない木々を除去するための伐採も、冬は樹木が乾燥し水分が十分抜けているため木が軽くなり扱いやすくなります。

樹木には種類がありますが「落葉樹(らくようじゅ)」という種類の木は、冬になると葉が抜け落ち幹がむき出しになるので、作業がしやすくなります。そして、「常緑樹(じょうりょくじゅ)」という1年中葉が落ちない木の場合でも、晩秋〜春前ごろまでは活動が鈍るので12〜2月ごろが伐採のベストなシーズンになります。

伐採に向かない時期

しかし、どうしても急ぎで庭木の伐採をしたいという方もいるかもしれません。

伐採は、「絶対にしてはいけない」というシーズンはありませんが、「梅雨」「成長期」は避けたほうがいいとされていますので解説していきます。

梅雨の時期

梅雨時期は木が雨で濡れて水分を含んでしまうため、非常に重くなります。伐採したあとに運びづらいのもありますが、雨が降る中での作業がしにくいというデメリットもあります。

また、伐採後の樹木を梅雨時期にそのまま放っておくと、害虫や白アリなどが発生する恐れもあります。しかし、病気にかかっている木を早く除去したい、近隣トラブルになっているなどの緊急を要する場合は梅雨であっても伐採をしても問題ありません。

木の成長期

伐採に適していないシーズンは木の種類によって多少変わりますが、どの木にも言えることですが「成長期」はなるべく伐採を避けたほうがいいと言われています。

成長期は木々は樹液を豊富に蓄えているので重量があり、葉も生い茂り密集しているので作業がしづらくなります。

【伐採に適した時期・向かない時期】

スクロールできます
 1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
落葉樹       
常緑樹       
〇 ⇒ 伐採に適した時期  ✖ ⇒ 伐採に向いていない時期

言い伝え

上記で解説した理由とは別に、伐採には古くから伝わる木を切ってはいけないという言い伝えがあります。

これは昔からの暦や言い伝えから作られたそうで、林業界で知られている「伐採カレンダー」には毎月伐採には向かないという「つちの日」と「土用の日(どようのひ)」があるのでご紹介します。

つちの日

「つちの日」とは、7日間は土に触ってはいけないとされており、伐採には不向きな期間と決められています。これは、この期間に伐採をすると虫が入りやすくなったり、木が腐食したりするからだと言われています。

つちの日には大つち(おおつち)、小つち(こつち)があります。

大つち(おおつち)小つち(こつち)とは?

大つち(おおつち)
月ごとに始まりの日が変わります。干支(えと)の7番目にあたる「庚午(かのえうま)」から13番目の「丙子(ひのえね)」までの間の期間のこと。
小つち(こつち)
大つちが終わってから1日空いた7日間のことです。「戊寅(つちのえとら)」という15番目の干支から「甲申(きのえさる)」という21番目の干支までの期間のこと。

引用:静岡県 森林組合連合会 – 立木伐採カレンダー – 様

「土用の日」も、つちの日と同じように木が不調とされる時期なので、木を切ってはいけないと言われています。

土用の日は立春・立夏・立秋・立冬の前のおよそ18日間を指し、この期間は季節の変わり目のため木を切ると神様の怒りを買ってしまうことから土に触れてはいけない、とされたようです。

このように、縁起を気にされる方は言い伝えを参考に伐採を行うのも良いかもしれません。

庭木の伐採を自分で行う際の手順と必要なもの

庭木の伐採は専門店に依頼をするのがベストですが、コストを抑えるために自分で行いたい方もいらっしゃるかと思います。

こちらでは手順や必要なものについて解説していきます。

自分で伐採ができる範囲

自分で伐採ができる庭木には高さの範囲があります。
素人でも伐採できる木の高さは「2m未満」で、幹の太さは「直径が10㎝まで」の木なら可能とされています。

これ以上の庭木になると素人では難しく危険を伴いますので、必ず専門店に依頼するようにしてください。

また、斜面に生えている木や足場が悪いところにある木・電線が近くにある木なども危険ですので自分での伐採は避け、専門店に依頼するのがおすすめです。

自分で伐採をする際に必要なもの

自分で伐採をするときに準備するものは以下の通りです。

  • ノコギリもしくはチェーンソー
    ※チェーンソーを使用する場合は大変危険なので取扱い説明書をしっかりと読み、使い方を十分把握した上でご使用ください
  • 剪定バサミ
  • ロープ
  • シャベル
  • 軍手
  • ほうき&ちりとり
  • ゴミ袋
  • ガムテープ etc.

自分で伐採をする際の手順

自分で伐採をする際の一般的な手順をご紹介していきます。

STEP
庭木を切り倒す方向を決める

あらかじめ木が倒れる方向を決めておかないと、家の方向に倒れてしまい窓や壁が壊れるだけでなく、通行人に当たってしまう可能性もあり非常に危険です。

あらかじめ用意したロープを倒したい方向に引っ張るように張っておくことで、想定外の方向に木が倒れるのを防ぐことができます。

STEP
邪魔な枝を切る

木に切り口を入れる際横に伸びている枝葉が邪魔になるので、ノコギリや剪定バサミを使用し枝を切り落とします。

そして、切り落とした枝は作業の邪魔にならないよう一か所にまとめておきます。

STEP
切り口をつける

ノコギリを使い、木に「受け口(うけぐち)」と「追い口(おいくち)」という切り込みを入れていきます。

●受け口:受け口は木が倒れる方向に入れる切り口のことで、幹の1/3くらいまで30°〜45°程度の角度の九の字の切れ込みを入れることです。

●追い口:角度はつけず水平な一本線の切り口を、受け口の反対側から2/3程度入れることです。

「受け口(うけぐち)」「追い口(おいくち)」とは?

  • 受け口
    受け口は木が倒れる方向に入れる切り口のことで、幹の1/3くらいまで30°〜45°程度の角度の九の字の切れ込みを入れることです。
  • 追い口
    角度はつけず水平な一本線の切り口を、受け口の反対側から2/3程度入れることです。
STEP
受け口に向かって木を倒す

切り口を入れ終えたら、受け口に向かってロープを引っ張ります。受け口と追い口が適切に入っていれば、木が簡単に倒れてくれます。

以上で自分でできる伐採の手順は以上になりますが、切り株が残ってしまいます。

切り株は残しておくと、つまづいたり邪魔になったりするのでシャベルで土を掘り起こして引っ張って抜いておくのがベストです。

シャベルで抜けない場合は、時間はかかりますが除草剤を使って枯らすという手段もあります。

伐採は専門店へ依頼するのがおすすめな理由

庭木の伐採は、自分でも行うことは可能です。

しかしながら、木が太かったり・高かったり・堅かったりした場合は素人の伐採は難しく危険も伴います。自分での伐採が少しでも難しいと感じた場合は専門店に依頼することを強くおすすめします。

  • 建物を傷つけることなく伐採ができる
  • 切り落とした枝の処分も頼める
  • 手間や時間がかからない
  • 専門用具を準備しなくていい
  • 庭木についてのアドバイスをもらえる
  • 自分では危険な場所の庭木の伐採がしてもらえる
  • 事故やケガの心配をしなくて良い
  • アフターサービスが充実している

伐採を業者に依頼する際の業者選びのポイント!

庭木の伐採はできれば自分で行わず業者に依頼をするのが確実ですが、専門店選びのポイントを抑え相性の良い店舗を探すことが大切です。こちらでは、専門店を選ぶ際のポイントをいくつかお伝えしていきます。

  • SNSで店舗についての口コミを調べる
    ネット業者名を調べ、お店の口コミを確認し良い意見が多いかをチェックする
  • 資格や経験はあるか
    伐採や剪定には専門知識や資格・技術を必要とするのでちゃんとしたトレーニングを受けているのか確認する
  • 園芸や植物学についての資格はあるか
    伐採や剪定には技術に関する資格や証明書が必須な地域もあるので、それらを所持している専門店なのかを確認しておく
  • 安全な作業をするための資格はあるか
    背の高い庭木を伐採するのは危険なため、高所でも安全に作業を行うための資格を持っているかやトレーニングはしているかなどを確認する
  • 無料で現地見積をしてくれるか
    伐採にかかる料金は見積もりが必須なので、より相性のいい業者を選ぶために複数の業者から見積を取る。その際、出張費などとして料金が発生しないか確認する
  • 電話などの対応がいいか
    電話での問い合わせの際こちらの要望をしっかりと聞き、明確な説明をしてくれるかを見極める。また、対応は柔軟かや第一印象はいいかなどを確認する
  • アフターサービスの充実
    庭木をお手入れしたあと、急に病気になったり害虫が発生したりした際に、柔軟に対応してくれる店舗なのかを確認する
  • 過去の仕事の実績の開示はあるか
    過去に行った伐採や剪定の仕上がり後の写真があると、庭木のお手入れのイメージがしやすいので安心して依頼ができる

まとめ

今回は、庭木の伐採について剪定との違いやメリット、林業での伐採の種類・自分で行う際の手順などを詳しく解説しました。

伐採をするメリットは主に以下になります。

  • 木による事故を防ぐ
  • 日当たりが良くなる
  • 近隣トラブルの防止
  • 虫や鳥の被害が減る
  • 掃除の手間が省ける etc.

そして、伐採は絶対に木を切ってはいけないというシーズンはありませんが、向いている時期と不向きな時期があります。また、言い伝えもあることがわかりましたので、縁起を気にする方はぜひ参考にしてみてください。

また伐採は自分でもできますが、できる木とできない木があります。自分での伐採が難しい木はケガなどのリスクがありますので、必ず専門店に依頼するのが確実です。

専門店を選ぶ際はご紹介したポイントを参考に相性のいい店舗を探してみてください。

この記事が素敵なお庭作りにお役立ていただけると幸いです。

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