【介護用手すりの設置をお考えの方必見】介護用手すりの種類や設置方法について

高齢者が何もないところでつまづきケガをした、という話を耳にしたことはありませんか?

足腰の筋力の低下は避けることができません。骨折をして寝たきりになり、介護生活を送ることにならないように予防策を考えておきましょう。

まず検討すべきなのは介護用の手すりです。

対象者には補助金が出る制度もあるので事前に確認をおこない、利用者に合った種類や設置場所を知っておきましょう。

目次

家に『 手すり 』は必要?

元気なときは必要性を感じない手すりですが、気が付けば立ち上がりに「よいしょ」と声が出ていたり、手をついて立ち上がるような状態は筋力が低下しているサインです。

壁や椅子に手をつけば立ち上がれるし、手すりなんて必要ないと思われる方も多いでしょう。

しかし、無意識に付いた手が滑り落ちたり、負荷がかかった椅子が倒れてしまえば、手首の骨折や顔をぶつけるなど大きな事故に繋がってしまいます。

また、認知症になりやすい方の大半は1日中テレビの前で過ごしています。足が痛くて動きたくないから座りっぱなしとならないように、行動を補助してくれる手すりの存在は必要です。

階段の手すりは要チェック

現在、新しく家を建てる際には階段の手すりを付けなければならないと法律で定められています。

(階段等の手すり等) 第二十五条 階段には、手すりを設けなければならない。 2 階段及びその踊場の両側(手すりが設けられた側を除く。)には、側壁又はこれに代わるものを設けなければならない。 3 階段の幅が三メートルをこえる場合においては、中間に手すりを設けなければならない。ただし、けあげが十五センチメートル以下で、かつ、踏面が三十センチメートル以上のものにあつては、この限りでない。 4 前三項の規定は、高さ一メートル以下の階段の部分には、適用しない。 (階段に代わる傾斜路)  

出典:e-Govポータル 建築基準法施行令 (昭和二十五年政令第三百三十八号)

しかし、2000年以前に建てられた住宅には適応されておらず、今でも手すりがないまま過ごしている方も少なくありません。
普段の生活では問題なくても、緊急時には足を踏み外してしまう可能性があります。

階段の手すりは優先的に設置しましょう。

手すりがない危険性

厚生労働省が2021年に発表した「人口動態調査」によると、65歳以上の不慮の事故による死因のうち「転倒や転落」は9,000件近くにのぼり、交通事故の約4倍となっています。そのうち半数は住宅で起きているという結果です。

また、介護が必要になった要因は「骨折や転倒」が4番目に多く、将来の生活を考えると少しでも対策をしておいた方がいいでしょう。

介護用手すりの種類とおすすめの場所

動きの補助として使われる手すりは主に6種類あります。
それぞれ役割が異なるので適した形のものを設置しましょう。

階段用手すり

「階段の手すりは要チェック」でもお伝えした通り、法律で定められるほど階段部分の手すりは重要な存在です。

壁の両側に取りつけるのがベストですが、スペースの関係で厳しい場合は下りるときの利き手側に優先的に手すりを設置しましょう。

下りるときは体に負担がかかりやすく、足を踏み外す危険性も高いです。

主な取り付け場所:階段、踊り場

支柱型手すり

床や地面に固定する造りなので壁に取りつけられない、壁が遠いといった場所でも設置が可能です。

支柱を増やして繋げることで、水平型手すりのように使用することもできます。

主な取り付け場所:玄関、玄関前

縦型手すり

壁に取り付ける縦型の手すりで、立ち上がりなどの上下運動をサポートをしてくれます。

場所をとらず、比較的安価で設置できるのが特徴です。

主な取り付け場所:トイレ、浴室、玄関

水平型手すり

縦型と水平型の手すりを組み合わせた形で、立ち上がりと移動の補助をしてくれます。

腰に負担のかかるトイレや足に力の入りにくい浴室にあると安心です。

主な取り付け場所:浴室、トイレ

据え置き型手すり

設置工事が不要な置き型の手すりで、軽いものであれば高齢者でもベッド横やソファ横など、場所を変えることができます。

据え置き型手すりはレンタルも可能なので、まずは試しに使ってみたい方にもおすすめです。

主な取り付け場所:ベッド、ソファの横

介護用手すりの選び方

初めて購入、設置をする場合になんとなく選んでしまったり、業者に任せっきりにならないようにしましょう。

大切なのはきちんと手すりを使えるような環境を整えることです。適切な場所に適切な高さと太さの手すりを取り付けるようにしましょう。

ポイント①: 利用者本人に合わせて決める

大まかに手すりの設置基準はありますが、身長や性別で適したサイズは違います。体の状態によっても異なるので、ケアマネジャーなどの専門家の意見も参考に取り付けましょう。

<目安となる基準>

スクロールできます
高さ床から75~85cm
太さ縦型の手すり 32mm 水平型の手すり 35mm

他にも楕円形の手すりは、うまく手すりを掴めない人でも肘を乗せて移動することができます。

また、視力が落ちたときのことも考え、壁と同化しない色を選んでおくと掴み損ねる危険が少なくなり安心です。

ポイント②: 手すりの素材を決める

さまざまな種類の手すりが販売されていますが、ここでは主な5種類の特徴をご紹介します。

スクロールできます
素材特徴
温かみがある素材で手になじみやすく、屋内の多くで使われている 比較的安価で費用を抑えられるが腐食や虫食いには注意が必要
プラスチック水に強いので浴室やトイレにおすすめ 滑り止め加工を施すとより安心して使用できる
アルミニウム軽量でサビにくく、住宅への負担が少ない 強度は低いので傷付きやすい
ステンレス強度と耐久性が高い 熱を伝えやすいので、耐候性コーティングを施すと屋外でも使用可能
樹脂金属にコーティングすることで触り心地がよくなり、耐久性も高くなる

高齢者にとってなじみやすいのはやはり木製です。壁と同化しない色味を選びましょう。

水回りに取り付ける際は防水加工と滑り止め加工も欠かせません。

ステンレスのような素材は手のしびれや痛みがある方には不快さを感じさせてしまうことがあるので、一度利用者に触ってもらい、問題がないか確認をしておくことをお勧めします。

ポイント③: 補助金の対象となるケースも

40歳から加入を義務付けられる介護保険は、対象となった人に「住宅改修費用」が支給されます。

<対象者>

・65歳以上で要支援1、2や要介護1~2に認定された方。

・40歳以上65歳未満で指定された16種類の病気によって要介護状態や要支援状態になった方。

どちらも手すりの設置前に事前申請が必要となります。

上限20万円のうち、かかった費用の9割が支給されるので、対象となるか先に確認をしておきましょう。

また、自治体によっては介護保険以外の補助金を支給している地域もあります。手すりの取り付けを検討したら、まずは市町村の担当課や地域包括支援センターへの相談がおすすめです。

介護用手すりは自分で取り付けられる?  

手すりの高さや角度の設定は、正しくおこなわないと思うような効果が発揮できなくなります。ケアマネージャーや福祉住環境コーディネーターの資格をもった方と検討しましょう。

設置する場所が決まっても、壁の状態は知識がないと判断が難しいです。体重をかける部分なので、万が一耐えきれなかった場合は壁の破損にも繋がります。

場所の確認や取り付けは専門業者に依頼しましょう。

手すり取り付け業者の選び方は?

手すりの設置は工務店やリフォーム業者への依頼となります。すべての業者が介護用の手すりに対応しているとは限らないので、以下のポイントを参考に選んでください。

  • 介護リフォームの実績がある
  • 丁寧なヒアリングをおこなってくれる
  • 設置場所や形状の提案をしてくれる
  • 介護保険など補助金の提案、確認をしてくれる
  • 福祉住環境コーディネーターが在籍している

現状を確認してもらえるように、無料で訪問見積もりをおこなってくれる業者だとより安心です。
質問や要望もまとめてしっかりと伝えられるようにしましょう。

迷ったらまずは相談を!

自宅内で起こりやすい高齢者の転倒事故を防ぐためにも、利用者に合わせて介護用の手すりを取り付けることが重要です。何度も触れて体重を支えてもらうものなので、素材や耐久性はしっかりと選びましょう。

介護用の手すりの設置を決めたら、以下の流れがおすすめです。

  • 行政に補助金の対象か確認する
  • 専門知識のある資格者や業者に相談、見積もり
  • 事前申請をおこなう ※補助金の対象者となった場合のみ
  • 手すりを設置する場所、素材を決める
  • 施工開始

業者を探す際は、実績や資格者の在籍などをもとに何社か見積もりを取るようにしましょう。

親身になって提案をしてくれる業者と出会えれば、手すり以外でも介護用のリフォームが必要になったときに安心して任せることができます。難しい部分も多いので、まずは専門家に相談して不安を軽くしていきましょう。

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