皆さんは琉球畳(りゅうきゅうたたみ)をご存じでしょうか。
一般的な畳と違って正方形で縁(ふち)のない畳と聞けば思い当たる人もいるでしょう。
最近よく見る琉球畳ですが、どんな歴史や種類があるのかは知らない人も多いのではないかと思い、今回琉球畳の歴史や種類・一般的な畳との違いや人気のデザインなどについて詳しくご紹介しようと思います。
琉球畳とは
琉球畳とは、『七島い(しちとうい)』を原料としてつくられた畳のこと。
この七島いが沖縄で栽培されていたことから、琉球畳と呼ばれるようになりました。
縁がなく半畳サイズの正方形の形をしているものが一般的です。
琉球畳の歴史
畳の起源は古代にさかのぼりますが、一方で琉球畳はいつ頃生まれどのような歴史があるのでしょうか。
琉球畳の起源や移り変わりについて見ていきましょう。
琉球畳の起源は
琉球畳の歴史は、現在の沖縄が琉球王国だった江戸時代にさかのぼります。
薩摩藩が琉球王国を支配下に入れた1609年以降に琉球王国に畳文化が取り入れられました。
そのため、琉球畳の歴史は約400年余りということなります。
一般的な畳の歴史に比べるとまだまだ歴史が浅いことが分かりますね。
琉球畳の用途の移り変わり
琉球畳は一般的な畳にある縁がないのが特徴のひとつですが、その昔は縁に使う素材が麻や絹など高価なものだったために、庶民が使いやすいように縁なしになったのが始まりです。
かつての琉球畳は庶民のものだったことが分かりますね。
ところが現在の琉球畳は、縁がないためにすべて熟練の職人による手編みが必要な事から一般的な畳より高価なものになっており、昔とは逆転しているようです。
琉球畳の特徴
琉球畳の特徴はいくつかあります。
一番大きな特徴はなんといっても縁がないこと。
そのために見た目がすっきりして見えることが人気の理由になっています。
また、サイズが一般的な畳の半分にあたる半畳サイズのものが多いのも特徴。
オーダーメイドで作られることが多いため、大きさや厚みを自由に変えられるのも琉球畳ならではと言えます。
一方で熟練の職人が手編みで作る琉球畳は、一般的な畳に比べて値段が高くなる傾向にあります。
琉球畳の素材やサイズ
琉球畳の原料となった七島いは一般的な畳の原料のい草に比べて粘りがあり丈夫な素材として重宝されました。
しかし近年では七島いの栽培量が減り、琉球表と言われる七島いを使った琉球畳は希少で高価なものとなっています。
代わりに普及してきたのが、一般的な畳の原料である「い草」や、「和紙」・「樹脂」などの素材を使った琉球畳です。
また、琉球畳のサイズは江戸間の半畳サイズである880mm×880mmが主流となっています。
ただし、地方よって一畳のサイズが違うことや、オーダーメイドが多いことなどから、そのサイズはまちまちだと言えます。
琉球畳と一般的な畳の違い
琉球畳と一般的な畳にはたくさんの違いがあります。
まず、一般的な畳はい草が原料なのに対し、琉球畳はまったく別の植物である七島いを使用していること。
特徴<メリット>
- い草の断面は丸い形状をしているのに対し、七島いは断面が三角形
- 織り込み手法は七島い縦に半分に割き手作業で織り込む
- 丈夫で手触りがざらざらする
- 琉球畳は半畳サイズで縁(ふち)がない
- おしゃれですっきりした和モダンな空間を演出できる
- アレルギーの原因となる畳の色や香りを残すために行う「泥染め」を行わないため、琉球畳はアレルギーが起こりにくいとされている
特徴<デメリット>
- 通常の畳のように裏返しができない
- 縁がないためへり部分が弱く一般的な畳に比べて傷みやすい
- 特に希少な七島いで作られたものは高価
- メンテナンスに多少手間がかかる
※半畳サイズで畳同士の間の溝が多い琉球畳はホコリがたまりやすい傾向にあるので、まめに掃除機がけが必要になりますね。
琉球畳と一般的な畳の比較表
琉球畳と一般的な畳の違いをまとめた比較表はこちらです。 張り替えや新調の際の参考にしてみてください。
琉球畳 | 一般的な畳 | |
素材 | 七島い | い草 |
サイズ | 半畳(880mm×880mm) | 一畳(江戸間1760mm×880mm) |
縁 | なし | あり |
丈夫さ | ○ | △ |
アレルギー | ○ | △ |
寿命 | △ | ○ |
裏返し | × | ○ |
価格(一畳) | 4万円~ ※七島い | 2万円~ ※い草 |
琉球畳の種類
元々琉球畳とは七島いを原料とした畳表を使った半畳縁なしの畳のみを指しましたが、現在では半畳縁なし畳の総称のように使われています。
琉球畳の敷き方は、置き畳と敷き詰める従来の敷き方の2種類。
置き畳はフローリングなどの上に、敷きたい広さの分だけの畳を購入して敷く畳で、量産品で比較的安価な薄型の畳が一般的。
軽量で手軽な反面、置くだけなので滑って動くことがあり、また手直しができず使い捨てになるものがほとんどです。
敷き詰める畳は昔からある厚みのもので、部屋の広さを採寸してピッタリ合うように隙間なく敷き詰めたもの。
受注生産になるため値が張りますが、収まりが良くすっきりした美しさがあります。
ひとくくりに琉球畳と言っても、敷き方によって種類があることが分かりますね。
琉球畳の人気デザイン3選
洋室にもしっくりなじみ、モダンでスタイリッシュな印象を与える琉球畳。
特に人気の商品を見ていきましょう。
上質なラグジュアリー琉球畳
まずは昔ながらの製法で作られた上質な国産琉球畳です。
今や昔ながらの七島いを原料とした琉球畳を作れる畳店は非常に少なく、一般的に流通している琉球畳は国産い草を原料としたものが一般的。 価格帯は比較的高めですが、い草の良い香りがリラックス効果をもたらしてくれます。
ポップな色合いが特徴のカラー琉球畳
一般的な畳では出せないポップな色合いが人気のカラー琉球畳。
原料は和紙などの新素材であることが多く、天然素材に比べて鮮やかな色合いが出せるのが特徴です。
色によってスタイリッシュにも可愛らしくもできる、自由度の高い琉球畳と言えます。
洋室や子供部屋用にもなじむので、幅広い世代に人気があります。
丈夫な樹脂コーティング琉球畳
和紙をこより状にしたもので作られた琉球畳に樹脂コーティングをすることで耐久性や防汚性を高めた琉球畳です。
小さな子供やペットのいる家で特に気になる畳の傷みを最小限に防げ、なんとい草製の畳の約3倍の耐久性があるものも。
子供がジュースなどをこぼしてもさっと拭き取れる利便性も良いですね。
畳の新調・張り替えのポイント
琉球畳はデザインが様々で種類も複数あるため、自分の家や好みにあった商品を見つけるのは難しいもの。
デザインだけ見て購入しても、実はイメージやサイズが違った!などということも多々あります。
その点、張り替え専門店に依頼をすれば、事前にサンプルに見て触れることで新調・張り替えのイメージができたり、専門家に依頼するので自分たちの知らない知識の角度から提案やアドバイスをしてくれたりといったことも。
どれがいいか迷った時は専門家に丸投げすることもできるので、経験のあるプロと相談しながら決めていったほうが間違いないでしょう。
まとめ
今回は畳の中でも独自の進化をとげ、近年人気を集めている琉球畳について、その歴史や一般的な畳との違い、メリットやデメリット、おしゃれで人気の商品まで詳しくご紹介しました。
琉球畳は一般的な畳とは原料もサイズも違っていて、その独特の風合いや見た目が現代の住宅になじみやすいことから、多く取り入れられ散ることが分かりました。
畳の新調や張り替えを検討する際には、ぜひ参考にしてください。