【強化障子紙の張替え方法】張替えの手順や剝がれにくくするポイントなども解説!

障子は伝統がある日本で古くから引戸などに使用されている建具です。ご自宅に障子がある方は、障子紙が破れやすいことや掃除がしにくいなどの理由から、もっと機能性が高い障子紙を探していらっしゃるのではないでしょうか?

そこでおすすめなのが「強化障子紙(きょうかしょうじがみ)」。しかし、強化障子紙といってもさまざまな種類があるので、それぞれの特徴やメリットなどを知ってからぴったりのものを選んでいただくのが確実です。

この記事では、強化障子紙を自分で張り替えをする際の手順や、剝がれにくくするポイントもお伝えしていきます。また、張り替え専門業者を依頼する際の注意点も解説していますのでぜひ参考にしていただけると幸いです。

目次

強化障子紙とは?

強化障子紙とは通常の障子紙より強度を高めるため、和紙とプラスチックを貼り合わせた障子紙のことを指します。

そのため「プラスチック障子紙」と呼ばれることも。

プラスチック障子紙は、通常の障子紙と比べると破れにくくお手入れがしやすいなどのメリットがたくさんあります。

しかし、同じ強化障子紙でも素材が少し違っていたり機能が違っていたりと、いくつか種類がありますのでご紹介していきます。

プラスチック障子紙

一般的に強化障子紙と呼ばれるのが、この「プラスチック障子紙」。プラスチック障子紙は、和紙を合成樹脂の一種である「塩化ビニール樹脂」で挟み込んで破れにくい加工がされ、製造されています。

ホームセンターやネット通販でも手軽に購入でき、両面テープやアイロンで貼れるものが多くDIYでの張り替えにも向いています。

また、部屋が明るくなるタイプやUVカット効果など機能はさまざまなので、用途やライフスタイルに合わせて選ぶことができます。

ワーロンシート

ワーロンシートは、和紙のような風合いに仕上げられたプラスチック障子紙の一種になります。

素材には「ポリ塩化ビニール」のほか、ペットボトルなどに使用されている「PET(ペット)樹脂」が使われています。

通常の障子紙より約5倍の耐久性があるとされ、お子様のいたずらやペットの引っかきなどでも簡単には破れません。

さらに汚れにくく燃えにくいという性質を持っています。

ワーロンペットシート

ワーロンシートは、和紙のような風合いに仕上げられたプラスチック障子紙の一種になります。

素材には「ポリ塩化ビニール」のほか、ペットボトルなどに使用されている「PET(ペット)樹脂」が使われています。

通常の障子紙より約5倍の耐久性があるとされ、お子様のいたずらやペットの引っかきなどでも簡単には破れません。さらに汚れにくく燃えにくいという性質を持っています。

タフトップ

タフトップは、通常の障子紙と比較すると約5倍の強度があるとされている強化障子紙です。破れにくい・汚れにくい・水に強いなどの特徴があり、原料にはパルプとレーヨン繊維が約20〜40%配合されています。

また、通気性が良い・UVカット効果が高い・たるみが出ないなどの特性も持ち合わせています。

デンプン糊で貼ることができるのでDIYにも向いており、剥がした後は障子枠に和紙の繊維がほとんど残らないところもメリットのひとつです。

強化障子紙の魅力について

強化障子紙は、一般的な障子紙と比べると破れにくく耐久性に優れています。こちらでは、強化障子紙の魅力をご紹介します。

特徴①:耐久性が高く寿命が長い

強化障子紙の素材にはビニールやプラスチックが配合されています。

強度は商品によっても異なりますが、配合率が高いと約3〜5倍の強度になると言われています。そのため、通常の障子紙の張り替えは3〜5年とされていますが、強化障子紙の張り替えは5~7年(場合によっては10年くらい)になるものもあります。

特徴②:断熱効果が高い

障子はカーテンよりも高い断熱性があると言われていますが、強化障子紙はプラスチックが配合されているので、通常の障子紙よりさらに断熱性が高くなります。

夏は外気を侵入させにくく、冬は部屋の暖かい空気を放出させにくいことから通年を通して快適に過ごすことができます。よって、冷暖房の効率がアップするので電気代の節約にもつながります。

特徴③:紫外線カット効果が高い

強化障子紙の中には紫外線を90%以上カットするタイプもあります。紫外線は人体にも悪影響を及ぼしますが、部屋の中の畳や家具などの変色の原因にもなります。

UVカット効果の高い強化障子紙を使えば、インテリアの劣化防止をすることができます。

特徴④:お手入れが簡単

和紙でできた障子紙は、汚れがしみ込んでしまうので水拭きができません。そのため、一度濡れてしまうと張り替えをする必要があります。

そして強化障子紙は両面が樹脂で貼り合わせてあるため、水をはじくので水拭きが可能になります。なので、お手入れの障子の日々のメンテナンスが楽になります。

特徴⑤:手軽に張り替えができる

強化障子紙は、比較的カットしやすく両面テープやアイロンで貼れるものが多いのでDIYでの張り替えも簡単にできるものが多い傾向です。

また、和紙のようにたるみも出にくく剥がしたあとの繊維も残りにくいところも自分での張り替えに向いている理由ではないでしょうか。このように強化障子紙の魅力はたくさんありますが、一方でわずかながらデメリットも生じます。

強化障子紙のデメリットは、以下のようなことになります。

  • 通常の和紙に比べると値段が高い
  • 通気性が低い
  • 和紙より機械的な風合い
  • 熱でたるみが生じることがある

よって、強化障子紙を購入する際には上記のことを踏まえながら特徴を良く把握しておくことが大切です。

和紙障子紙とプラスチック障子紙の違い

こちらでは和紙障子紙とプラスチック障子紙(強化障子紙)の違いは強度以外にもいくつかありますので、こちらも解説いたします。

素材

和紙障子紙は1枚1枚を手で漉いた「手漉き(てすき)和紙」と機械で大量に生産できる「機械漉き(きかいすき)和紙」に分かれます。手漉き和紙の主な原料は楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)・麻(あさ)など。機械漉きにはパルプやレーヨンなどの化学繊維も配合されているものもあります。

和紙障子紙は手漉き和紙のほうが原料の繊維が長いため、機械漉和紙よりも丈夫で破れにくい仕上がりになっています。

また、強化障子紙の素材はプラスチックやビニールなどの樹脂と化学繊維が使用されています。和紙にこれらの素材を合わせることで和紙障子紙よりも破れにくい仕上がりを叶えています。

張り替え年数

強化障子紙と和紙障子紙では、張り替え年数も異なります。強化障子紙は、種類にもよりますが、3〜7年程度での張り替えがベストになります。しかし、使用環境などによっては10年くらい持つものもあります。

和紙障子紙は、手漉きと機械漉きでは寿命も違ってきます。機械漉き和紙障子紙は比較的寿命も長いとされていますが、日焼けで色褪せしやすいため一般的には2〜5年程度で張り替えをするのがおすすめです。

機械漉き和紙障子紙は、和紙障子紙と同様に日焼けで変色しやすく、さらにより薄いため破れやすい傾向にあります。なので場合によっては1~2年程度での張り替えがベストなケースもあります。

通気性

和紙障子紙は天然の植物を原料としているため通気性が良く、湿度が高くなると湿気を吸い取り、湿度が低くなると湿気を放出するといった生まれつきの調湿効果があります。また、ホルムアルデヒドなどの有害物質を吸収する天然のフィルターのような効果も持ち合わせています。

しかし、強化障子紙は通気性を抑えて作られているので、和紙障子紙のようなフィルター効果はほぼありません。

値段

強化障子紙と和紙障子紙では値段も違ってきます。強化障子紙は比較的値段が高い傾向にあります。
特に機械漉きの和紙は100円均一でも販売されていますが、強化障子紙は取扱いはなくネットで一番安価なものでも700円くらいになります。

手漉き和紙は、職人が1枚1枚手作業で製造するため機械漉きよりは値段が高く、ものによっては強化障子紙より高価なものもあります。

色褪せ

和紙障子紙は、外の光を通すので年月が経つにつれ黄ばみなどの変色が起こってしまいます。また、紫外線も通すので部屋の中の家具やインテリアの劣化にもつながります。

UVカット効果のある強化障子紙であれば、紫外線による色褪せもなく部屋の家具などの劣化防止にもなります。

メンテナンス

強化障子紙と和紙障子紙では日々のメンテナンスのしやすさにも違いがあります。強化障子が見は表面が樹脂でコーティングしてあり水をはじくので、水拭きしてもシミにならず破れません。 一方で和紙障子紙は水拭きすると水を吸い込んで破れやすくなり、シミができやすいので水拭きはおすすめできません。

スクロールできます
障子紙の種類素材張替え年数通気性値段褪色メンテナンス
手漉き和紙・楮
・三椏
・雁皮
2~5年程度××
機械漉き和紙・マニラ
・麻
・パルプ
・レーヨンなど
1~2年程度××
強化障子紙
 プラスチック・ワーロン
 PETワーロン・タフトップ など
・プラスチック
・ビニール
・化学繊維など
3~7年程度
(場合によっては10年)
×

強化障子紙が剝がれてしまう原因と張り替えのポイント

自分で自宅の障子を強化障子紙に張り替えられる方もいらっしゃると思います。
しかし、せっかく張ったのにすぐに剝がれてしまうというという方も多いのではないでしょうか。

こちらでは、強化障子紙が剝がれてしまう原因と、張り替えのさいのポイントをお伝えしていきます。

両面テープの接着力が弱い

強化障子紙は両面テープで貼るタイプのものがありますが、両面テープなら何でもいいというわけではありません。その強化障子紙専用の両面テープを使う必要があります。

自宅にたまたまあった両面テープで張り替えをしても、その両面テープの接着力が弱く剝がれの原因になっているかもしれません。

なので、強化障子紙と同じメーカーの専用両面テープを使用することをおすすめします。強化障子紙と同じメーカーであれば、その強化障子紙の特性を捉えているので剝がれにくい仕上がりになると言えます。

張り終えたあとしっかりと押さえていない

強化障子紙を枠に貼る際、前の障子紙が残って下地が荒れてはいないでしょうか。前の障子紙を剥がしたものが残っていたり凹凸があったりすると、しっかりと貼りつかないだけでなく剝がれやすくなります。

下地の処理を適当に済ませてしまうとより手間がかかってしまいます。前に貼ってあった障子紙の残りや糊は完全に取ってしまい、キレイな状態にしてから張り替えを始めてください。

障子枠の下処理ができていない

強化障子紙を枠に貼る際、前の障子紙が残って下地が荒れてはいないでしょうか。前の障子紙を剥がしたものが残っていたり凹凸があったりすると、しっかりと貼りつかないだけでなく剝がれやすくなります。

下地の処理を適当に済ませてしまうとより手間がかかってしまいます。前に貼ってあった障子紙の残りや糊は完全に取ってしまい、キレイな状態にしてから張り替えを始めてください。

強化障子紙の張り方(両面テープの場合)

強化障子紙は両面テープで貼るタイプとアイロンで貼るタイプに分かれます。
まずは両面テープで貼る強化障子紙の張り方について解説していきます。

準備するもの

  • 新しい強化障子紙
  • 専用の両面テープ
  • ヘラ
  • カッター
  • ハサミ
  • カット定規
  • マスキングテープ
  • スポンジ
  • 雑巾
  • サンドペーパー など

張替え手順

【古い障子紙を剥がす】

  1. 水で濡らしたスポンジで障子紙を濡らし5分ほど置いて糊をふやかします。
  2. 端からゆっくりと障子紙を剥がします。
  3. 障子枠に糊が残っていたらヘラなどを使って凹凸がないように削り落とします。
  4. 糊や汚れを雑巾で拭いてキレイにします。(ざらつきや凹凸が取れない場合はサンドペーパーを使うのも◎)

※古い障子紙がアイロンで貼るタイプの場合は、障子紙の端からアイロンをあて、熱が残っているうちに剥がします。
※古い障子紙が両面テープで貼るタイプの場合は、80℃~90℃くらいの熱(アイロンやドライヤー)を当てて剥がします。

【張替え方法】

  • 障子枠を平らなところに置き、上桟の手前1カ所にマスキングテープで強化障子紙を固定し位置を決めます。強化障子紙を障子枠の1/3~2/3まで広げ、枠と紙が並行になったのを確認したら上桟の真ん中と端にもマスキングテープで仮止めをし、強化障子紙を巻き戻しておきます。
  • 上桟から下桟に向かって、縦方向の全ての桟に両面テープを貼ります。貼り終わったらしっかりと押さえ、両面テープの裏紙を剥がします。続いて、横方向の桟にも全て両面テープを貼り、しっかりと押さえたらテープの裏紙を剥がします。
  • 仮止めしたマスキングテープがずれないよう注意し、巻き戻しておいた強化障子紙を障子枠の上をゆっくりと転がすように広げて貼りつけていきます。貼り終えたら枠や桟にそってしっかりと押さえ接着させます。
  • 最後にカット定規を使って余分な紙を切り取ります。このとき、両面テープを貼ったところよりも5㎜くらい外側をカットするのがキレイに仕上がるポイントになります。

強化障子紙の張り方(アイロンの場合)

次はアイロン貼りの強化障子紙の張り方について解説していきます。

準備するもの

  • 新しい強化障子紙
  • アイロン
  • カット定規
  • カッター
  • ヘラ
  • スポンジ
  • 雑巾
  • サンドペーパー など

張替えの手順

【古い障子紙を剥がす】

古い障子紙の剥がし方は両面テープで貼る強化障子紙と同様になります。

【張替え方法】

  • アイロンを設定温度にセットし、障子枠を平らなところに置いたら上桟の2~3ヵ所にアイロンを当て仮止めをします。
  • 強化障子紙が枠と平行になるように注意しながら広げ、必要な長さ分を切り取ります。
    たるみができないよう注意し広げたら四隅にアイロンを当て仮止めしておきます。
  • 枠の中心から外側に向かって桟全体にアイロンを当て貼り付けていきます。
    アイロンを強く動かしたり速く動かしたりするとシワになりやすいのでゆっくりと動かしてください。
  • 障子枠の周囲をアイロンで丁寧に接着させていきます。
    障子枠に段差があるときは、四隅に切り込みを入れて、アイロンの角を使ってきめこむように接着するのがポイントです。
  • カット定規を当て障子枠の貼り付け部分を1㎝程度残したら、カッターで余分な障子紙をカットします。
    余分な紙が枠についている場合は、紙の上からアイロンを当て熱いうちに取り除いてください。
  • 最後の仕上げに障子枠のまわりをアイロンで接着します。

自分での張り替えが難しい場合は専門店がおすすめ

上記でご紹介したように、強化障子紙の張り替えはDIYでもできることがわかりました。

しかし、工程が多くあるので難しいと感じてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そういった場合は、張り替え専門店に依頼をすることをおすすめします。

その理由は、以下のようなことになります。

  • 時間や手間をかけなくても良い
  • 張り替えの経験が豊富なため安心
  • 自宅にあった障子紙を選んでもらえる
  • 失敗のリスクがない
  • 専門店ならではのキレイな仕上がりにしてもらえる
  • 専門の道具を準備しなくてもいい
  • アフターサービスがある
  • 障子以外にも襖や網戸についての相談もできる

安心して依頼できる業者選びのポイント

トータル的なことを踏まえると、強化障子紙の張り替えは専門店への依頼がおすすめになります。

しかしながら、専門業者を名乗る悪徳業者もある程度存在するようです。

こちらでは、相性の良い張り替え専門店の選び方についてご紹介していきます。

ポイント①:見積り価格はどのように決まるか

障子の張り替えの見積もりは一般的に1枚1,500円〜8,000円程度とされています。しかし、構造が複雑な障子(猫間障子や雪見障子など)は張替えに通常の張替えよりも手間がかかるため、追加料金を取っている店舗もあるので注意してください。

ポイント②:お店の評判は良いか

GoogleやYahooなどの検索エンジンやSNSなどでお店を検索し、口コミや評判などを確認するとその店舗の良し悪しの参考となります。

ポイント③:自宅近くの店舗か

自宅近くにある店舗であれば、緊急の依頼でもすぐに駆けつけてくれます。目安としては、自宅からお店まで車で30分程度の距離。

ポイント④:保証制度はあるか

張り替え後30日以内であれば不具合があったときに無償で対応してくれたり、定期点検はあるのかなど保証制度はあるか確認しておくと安心です。

ポイント⑤:張り替え実績の開示はあるか

店舗のホームページに、張り替え前後の写真が載っているとイメージがしやすいので初めての依頼でも安心できます。

ポイント⑥:訪問見積りでの請求はないか

障子は劣化具合やサイズなどで金額が違ってくるので事前見積りは必須です。訪問見積りのキャンセルをした場合、出張代などとして費用を請求する業者もいるようなので注意してください。

ポイント⑦:スタッフやお店の雰囲気

訪問や電話の際のスタッフの対応やお店の雰囲気はいいかや、臨機応変に対応してくれるのかを確認しておくことも大切です。

ポイント⑧:自社施工を実施しているか

自社施工をしている店舗は費用が抑えられているだけでなく、職人がしっかりとした技術を持っていることが多いようです。そのため、依頼が初めてでも丁寧に対応をしてくれるので安心できます。

まとめ

今回は強化障子紙の張り替えについて、剝がれにくくするポイントと張り替えの手順について解説しました。

強化障子紙は和紙障子紙と比べると、

  • 少しのことでは破れない
  • 劣化しにくく長く張り替え期間が長い
  • 断熱効果が高い
  • お手入れが簡単
  • UVカット効果が高い

などの優れた特徴があります。

また強化障子紙は自分での張り替えもでき、両面テープで貼るタイプとアイロンで貼るタイプがあることがわかりました。

どちらも通常の障子紙よりは簡単に張り替えられますが、意外と工程が多いので難しく感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは張り替え専門店に相談していただくのが確実です。

ご自宅の障子を張り替えたいと考えている方は、ぴったりの強化障子紙に張り替え快適な日常をお過ごしください。

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