畳は日本家屋には欠かすことのできない伝統ある床材になります。
最近では和室よりも洋室が多い住宅が増えているので、昔ながらの畳の部屋を目にする機会は減りつつあります。
畳のある部屋は昔のイメージがあり古臭いと思われる方もいるかもしれません。
ですが、現在は洋室にも合う畳や傷みにくい畳など、さまざまバリエーションの畳が販売されているので、お部屋をおしゃれに演出することができます。
今あるお部屋の畳を張り替えたい方、マイホームに和室を作る予定でどんな畳を選んでいいか迷っている方は、最後までご覧いただくとぴったりの畳の選び方がわかります。
また、そろそろ畳の張り替えを検討している方は専門店への依頼がおすすめです。記事の後半では、相性のいい専門を選ぶためのポイントも解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
畳とは?
畳とは和室の床に敷かれる床材のことを指し、古くから日本家屋で使われている伝統ある敷物です。
畳には日本人が快適に暮らすためのメリットがたくさんあり、以下のようなことになります。
- 断熱性や保湿性が高いので夏は涼しく、冬は暖かく過ごせる
- 畳に使われるい草には空気清浄機のような効果がある
- 吸水効果があるため高温多湿である日本の気候のに適している
- 防音効果や振動を吸収する効果がある
- 寝ころんでも痛くなく、素足で歩いても気持ちいい
最近ではモダンなデザインの畳も増えているため、マイホームの自宅に畳のある部屋を作ろうか検討している方も多いのではないでしょうか。
畳の素材で選ぶ
畳の素材と言うと昔ながらのい草(いぐさ)が思い浮かぶかもしれませんが、近年ではい草以外の素材の畳も登場するようになってきました。
こちらでは畳の素材で選ぶ方に向けてポイントを解説しています。
い草
い草は昔ながらの畳に使われています。い草は湿地や浅めの水中に生息している単子葉植物のことを指します。細い茎が何本も束になって生えているのが特徴です。
畳の素材として使用されるのは茎の部分で、国産のい草の生産地はほとんどが熊本県になります。
特に熊本県八代市で生産されているい草は、中国産のい草と比較すると品質がいいので高級品とされています。
しかし、近年では国産のい草の生産は減少しつつあるようです。
い草で作られた畳にはさまざまな効果が期待でき、以下のようなものになります。
- 空気清浄効果
- 消臭効果
- 湿度調整
- 断熱効果
- アロマテラピー効果
- クッション効果
- 有害物質の除去
このような天然のい草の効果を感じたい方や昔ながらの畳の部屋を作りたい方は、い草製の畳がおすすめです。
特に国産のい草は品質が高く劣化しにくいので購入時は高価ですが、その分長持ちするため結果的にコスパがいい場合もあります。
ただし、い草製の畳は紫外線で色あせしやすく変色してしまったり、湿気を含みすぎるとカビやダニが発生することもあります。お手入れ水拭きができない・ささくれができやすいなどのデメリットもありますので選ぶ際には注意が必要です。
和紙
和紙製の畳は、い草の代わりに和紙を使用して作られた畳です。近年では、国産い草の生産が減っているということもあり、代替品として和紙製の畳が製造されるようになりました。
和紙製の畳は、和紙を細長くこより状にしたものを樹脂でコーティングして作られています。そのため汚れにくく耐久性もあり、い草製の畳のように変色することがありません。
和紙製の畳の開発は1989年に大手住宅建材メーカー「ダイケン」が始めたそうで、い草の風合いや質感に限りなく近づけてあり、優れた機能性も持ち合わせています。カラーバリエーションも豊富なので、お部屋の雰囲気に合わせてお好みのデザインを選べるところも魅力のひとつではないでしょうか。
また、い草製の畳と比べると水拭きもできるので、日々のメンテナンスを楽にしたいという方や小さなお子様がいて食べ物や飲み物で汚れやすいという方に向いています。
一方で、い草がもつ天然の調湿効果やい草の香りは感じることができないのと、価格が高価になる可能性があるところがデメリットになります。
樹脂
樹脂でできている畳は、い草製の畳や和紙製の畳よりさらに耐久性が高く、カビやダニも発生しにくいという特徴があります。
また、摩擦に強くはっ水性もあるので水汚れにも強いところがメリットになります。
樹脂の種類はメーカーによってさまざまですが、ポリプロピレン・ポリエチレン・ポリ塩化ビニルなどがあります。
中には抗菌効果があるものや有害物質を含まないタイプもあるので、小さなお子様やペットのいるご家庭でも安心して使用することができます。
樹脂製の畳は和紙製と同様に、水拭きができメンテナンスが簡単で変色にも強いですが、い草特有の効果を感じることはできません。
畳を素材で選ぶ方は、ご紹介したポイントを踏まえご自宅に適した畳を探してみてください。
畳の素材 | メリット | デメリット | おすすめな方や場所 |
い草 | ・日本独自の伝統がある ・吸水効果がある ・空気清浄効果がある ・アロマテラピー効果がある ・断熱効果がある ・クッション効果がある | ・調湿効果がある・カビやダニが発生しやすい ・メンテナンスが難しい ・寿命が短い ・変色しやすい ・生産量が減っている ・洋室には合わせにくい | ・国産は値段が高い・上質な和室を作りたい方 ・い草の香りを楽しみたい方 ・国産い草にこだわる方 | ・昔ながらの風情ある畳部屋にしたい方
和紙 | ・い草より耐久性が高い ・い草に近い風合い ・水拭きができる ・色あせしにくい ・汚れにくい ・デザインやカラーが豊富 ・ささくれができない | ・カビやダニが発生しにくい・い草に比べると高価 ・い草よりも固い ・調湿効果がない | ・い草の香りを楽しめない・お手入れを楽にしたい方 ・日光が入りやすい部屋 ・洋室に合うデザインの畳が欲しい方 ・い草の風合いのような畳が欲しい方 | ・小さなお子様やペットがいるご家庭
樹脂 | ・カビやダニが発生しにくい ・水拭きができる ・汚れにくい ・デザインやカラーが豊富 ・ささくれができない | ・和紙製よりも耐久性が高い・い草よりも固い ・調湿効果がない | ・い草の香りを楽しめない・お手入れを楽にしたい方 ・日光が入りやすい部屋 ・洋室に合うデザインの畳が欲しい方 ・アレルギーがある方 | ・小さなお子様やペットがいるご家庭
畳の種類で選ぶ
畳にはさまざまな種類があります。種類で選ぶ方はこちらを参考にしてみてください。
縁(へり)付き畳
縁付き畳は、最もよく目にすることの多い一般的な畳です。
縁があることで畳を敷き詰めたときにすき間ができにくいので、畳同士の摩擦を抑えてくれます。
また、ほこりもたまりにくいのでお部屋を清潔に保つことができます。
畳の縁のデザインは和柄がスタンダードだと思っている方が多いかもしれませんが、近年では無地やパステル調の縁もあり、おしゃれなデザインも豊富です。
縁(へり)なし畳
縁なし畳は文字通り、縁がついていない畳のことを表します。縁がついていないのでスッキリとしており、お部屋をモダンでスタイリッシュに演出することができ、視覚的にも広がりを感じさせてくれます。
また、カラーも豊富なのでご自分の好みの畳を選ぶことができ、洋風のお部屋でも違和感なく自然な空間をつくることができます。
しかし、縁なし畳は縁がついていないので、畳を敷き詰めたときに隣り合う畳と擦れやすいというデメリットもあり、長期間使うためにはこまめなメンテナンスを要します。
置き畳
置き畳は敷き詰めるのではなく、フローリングの上に置いて使用する畳のことを指します。なので、床の上に置くだけで畳のある部屋が簡単に完成します。
また、いつでも収納や移動が可能なので季節や用途・ライフスタイルに合わせて使用することができます。
置き畳には素材にい草が使われることが多いですが、樹脂製のものもあります。最近は洋室の住宅が増えていますが、置き畳を使用すれば簡単に和のテイストを取り入れられるので需要が増えています。
一方でズレやすいのですき間ができ、ゴミやほこりが入りやすいなどのデメリットがあります。
カラー畳
カラー畳の一番の特徴は、色のバリエーションが豊富なのでお部屋のインテリアに合わせて和空間をコーディネートできるところです。
い草製を使用しているものは天然のい草を1本1本芯まで入念に染め上げているため、日焼けに強く色あせしにくいのが特徴です。
また、和紙製・樹脂製のものは表面に樹脂がコーティングされているので、カビやダニの発生を抑え水拭きもできるのでお手入れが簡単です。
カラー畳は置くタイプのものが多いので、置き畳と同様にズレやすくゴミやほこりが入りやすいといったことがデメリットになります。
畳の種類 | 特徴 | おすすめな方 |
縁付き畳 | ・和のテイストを感じられる ・畳と畳の間にゴミやほこりがたまりにくい ・いろいろなデザインの縁がある | ・一般的によく目にする畳・お部屋を清潔に保ちたい方 ・縁がある畳が好きな方 | ・日本独自の和室を作りたい方
縁なし畳 | ・部屋がスッキリとして見える ・視覚的に部屋が広く見える ・スタイリッシュで現代的 | ・縁がついていない畳・部屋をスッキリと広く見せたい方 | ・部屋を現代的に見せたい方
置き畳 | ・収納や設置が簡単 ・さまざまな素材から選べる | ・置くだけで簡単に和室の部屋ができる・年中畳が必要ない方 ・簡単に和室を作りたい方 ・お手入れが楽な畳が欲しい方 | ・洋室に和のテイストを取り入れたい方
カラー畳 | ・置いて使用するタイプが多い ・お部屋を自由にコーディネートできる ・変色しにくい ・カビやダニが発生しにくい | ・さまざまな色に染められた畳・簡単に和室を作りたい方 ・お手入れが楽な畳が欲しい方 | ・部屋を自由にコーディネートしたい方
おしゃれな畳の紹介
こちらでは、現在流行っている畳や人気がある畳のご紹介をしていきます。
よりおしゃれな部屋作りを目指している方はぜひ参考にしてみてください。
銀白色(ぎんはくしょく)の畳
銀白色の畳は銀色を帯びた白っぽい色の畳で、派手にならず上品な仕上がりになります。
これは張り替えをしたばかりの畳の色を表現しているので、来客があったときに新品のような雰囲気にしてくれます。
銀白色が部屋を爽やかに演出してくれるので、和室でも洋室でも合わせやすく幅広いコーディネートにおすすめです。
灰桜色(はいさくらいろ)の畳
灰桜色の畳は、少し灰色がかった明るい桜色の畳です。
淡いグレーと薄いピンクを混ぜたような色味で、ベージュのような雰囲気も持ち合わせています。
上品でどんな部屋にも合わせやすいことから人気があります。
また、灰桜色は日本の伝統色でもあることから、現代でも幅広く使用されています。
白茶色(しらちゃいろ)の畳
白茶色の畳は、白に少々茶色を混ぜたようなカラーで温かみがあります。柔らかい色合いなので部屋を明るく見せてくれる効果があり、従来の和室にはなかったようなテイストをプラスしてくれます。
特に白を基調とした部屋に使用すると、ベージュのニュアンスを加えてくれるので、まるでラテカラーのようなおしゃれな雰囲気にしてくれます。
紺色(ネイビー)の畳
紺色の畳は落ち着いた雰囲気を演出してくれます。
高級感があり高貴な色調なのでモダンなインテリアとの相性も抜群。
ブラウンやグレーなどを基調とした部屋と合わせると落ち着きのある上品で洗練されたイメージになります。
また、明るめの部屋に合わせると清潔感のある大人っぽい雰囲気に仕上がります。
畳の張り替えは専門店がおすすめ
畳の張り替えはDIYで行うことは難しいのでおすすめしません。
トータル的な面を考えると張り替え専門店へ依頼することが確実です。
そのメリットは、
- ぴったりのサイズの畳を選んでもらえる
- 手間や時間がかからない
- すき間がなく美しい仕上がりにしてもらえる
- 重い畳を自分で持ち上げなくてもいい
- 重い家具を自分で移動させなくていい
- 余計な費用がかからない
- アフターサポートが充実している etc.
上記のようなことから畳の張り替えは専門店に依頼したほうが確実です。
専門店選びのポイント
専門店の中にも一定数悪徳業者が存在します。。。
次は悪徳業者にだまされず相性のいい店舗を選ぶためのポイントを解説していきます。
● 店舗の口コミは良いか
GoogleやSNSなどでお店の名前を検索し、口コミや評価を確認してみることでその店舗の評価の良し悪しがわかります
● 自宅の近くに店舗があるか
自宅に近いお店のほうが急ぎのときも素早く駆けつけてくれます
● 張り替えしたあとの保証制度はあるか
張り替えから30日以内に不具合があったとき、無料で対応してくれるかや定期点検はあるかなどを確認してみてください
● 張り替え実績は開示されているか
お店の公式サイトに張り替えのビフォーアフターの写真が載せてあると、依頼する側はイメージがしやすいので安心して任せられます
● 無料で訪問見積もりを実施しているか、キャンセル代の請求はないか
無料で訪問見積を行っているかや、キャンセルした場合出張費などとして金銭を請求する店舗もあるので確認しておくと安心です
● お店やスタッフの対応は良いか
訪問や電話をしたときのスタッフの対応は良いかや、お店の雰囲気はいいか・柔軟性はあるかなどの確認も大切です
● 自社施工を実施しているか
自社施工を行っている店舗は値段が抑えられているだけでなく、職人がしっかりとした技術を持っています。
そのため、初めての依頼でも丁寧に対応してくれ安心して依頼ができます。
まとめ
畳は日本で古くから使われている、伝統ある床材。
畳があることで日本の文化や風情を感じることができます。
しかし、現在の畳は伝統あるい草製のものだけでなく、和紙や樹脂など現代のライフスタイルに適した素材の物からも選ぶことができます。
また、素材だけでなく種類やカラーからも選ぶことができるので、お部屋を現代風におしゃれに演出することもできます。そして、畳の張り替えを検討している方はトータル的なことを考えて専門店へ依頼することを推奨します。
専門店へ相談すれば自宅の畳の状態を確認してもらえ、適した畳を選んでもらうことができるからです。
ご自宅にぴったり合う畳を選んで、おしゃれな和室作りを楽しんでみてください。