【襖(ふすま)の内部構造を解説!】襖の張り替え/新調をするためにはまずは襖の内部構造と特徴を知ろう!

古くから日本家屋で使われている襖。

現代では、日本の欧米化もあり洋室のある部屋が増えてきています。
『襖』という間仕切りは日本の伝統であり、日本の家にはなくてはならない存在です。

襖のある住まいで生活している人は、そろそろ張り替えを…と考えているのではないでしょうか。
しかし、新調したくともどう作業をしていいかわからないですよね?

そこで今回は、襖を張り替えるために必要な襖の内部構造と特徴を詳しく解説していきます。張り替えを業者に頼む方も、DIYする人もぜひ参考にしてみてください。

目次

襖(ふすま)とは?

出典:楽天市場 – ふすま・掛け軸屋 和紙苑様 –

襖とは建具の一種で、木で骨組みを作り両面に紙や布を張り、それに縁や引手をつけたもののこと。
和室の仕切りによく使われています。

襖は日本の伝統で、その歴史は平安時代まで遡ります。
襖は平安時代、寝殿造りで使われていた几帳・屏風・障子などの調度品が進化したものと言われています。全体がクリーム色の「鳥の子」と呼ばれている襖を、一度は目にしたことがある人は多いのではないでしょうか。

この鳥の子色に自然の風景や松竹梅・扇・鯉などが描かれた襖は古くからのデザインです。しかし、近年は、昔の絵柄からは想像ができないような大胆かつ華やかなデザインのものが販売されています。

今回の記事は2部構成となっており、
この記事では襖の内部の詳しい解説を、次回の記事では襖の外観について詳しく解説をしていきます!

襖の内部構造とそれぞれの名称について

出典:日本の内装材料辞典様

まず、一般的な襖の内部構造と各部分の呼び名を簡単に解説していきます。
上の画像と下の表を合わせてご覧ください。

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名称各部分の特徴

(かまち)
襖の骨の周囲を框(かまち)と呼び、
そのうち、縦についているものを竪框(たてがまち)、横についているものを横框(よこがまち)と呼ぶ
組子
(くみこ)
襖の骨の縦横の格子のことを指し、縦のものを竪組子(たてくみこ)、横のものを横組子(よこくみこ)と呼ぶ
力子
(ちからこ)
骨の強度を増やすために使われる通常よりも太い組子のことを指し、力骨(ちからぼね)とも呼ぶ
引手板
(ひきていた)
襖の引手をつけるために、骨の間にはめ込む板のこと
下貼り
(したばり)
襖の下ごしらえとして貼る紙や貼ることを指す
上貼り
(うわばり)
襖の最後の仕上げに表面に貼るものや貼ることを指す

下地材による襖の種類を簡単に解説!

襖は下地材により、大きく分けて4種類に分けられます。

  •  本襖(ふすま)
  •  戸(とぶすま)
  •  段ボール襖
  •  発泡スチロール

ここでは、
襖の種類の違いとそれぞれの特徴についてわかりやすく画像もつけてご紹介していきます。

本襖(本ふすま)

出典:ホンポのよみもの様

本襖は『組子襖』と呼ばれることもあり、最も古く伝統のある襖を指し、組子の上に紙や布を何重か重ねて作られています。
表面を触って押さえてみると、中の骨組を手触りで感じることができます。

また張り替えが何度でもでき、高級感のある本格的な仕上がりになります。
ソリやねじれに強く張り替えの即応性があり、通気性が良いので日本の温度湿度に対応できる、というメリットがあります。
しかし、量産はできないというのがデメリットです。

戸襖(板襖)

出典:ホンポのよみもの様

戸ふすまは『板襖』とも言われており、重くしっかりとした作りで、表面を叩くと木の音がします。
組子にはベニヤ板が使われており、洋室と和室の仕切りに使用されていることが多い襖です。

かなりの重量があり丈夫ですが、枠が外せないというのも特徴のひとつ。
最近では、片面に襖紙、もう片面には壁紙が貼られたタイプの戸襖もあります。

段ボールふすま

出典:ホンポのよみもの様

ダンボール襖は、下地材として段ボールが用いられており、最近の住宅などに多く使われています。
とても軽いため叩くと鈍い音がするのが特徴。芯材には3層ぐらいに重ねた段ボールが使用されており、湿気を防ぐためのアルミ箔が貼られています。また、引手は釘で打っていないことが多い襖になります。

芯材が機械生産できるため、コストが安いという長所がありますが、枠が外せず張り替えに難点があり、強度が弱いという短所があります。

発泡スチロールふすま

出典:ホンポのよみもの様

発泡スチロールふすま(≒発泡プラスチックふすま)は、下地材にプラスチックの発泡体が使用されている襖になります。
段ボール襖と同様で、軽く叩くと鈍い音がします。そして、最近の住宅に多く使用されています。プラスチックの種類には、スチロールとスチレンの2種類があり、襖の大半はスチロールが使われています。

こちらも、枠が外せない・張り替えに難点あり・強度が弱いというところがデメリットになります。
ただし、大量生産ができるので、コストが安く寸法詰めも自由になるというメリットもあるため、まとまった需要にも対応することが可能な襖になります。

襖の下地骨の構造とそれぞれの名称について

ここでは一般的な襖の下地骨の構造や組み方についても解説していきます。

まずは襖の材芯について説明します。

通常、襖の下地骨には杉の白太(しらた)材が多く使用されています。


白太とは、杉などの丸太の切り口の周囲の白くなっている部分の呼び名。反対に、切り口中心の赤い部分を赤太(あかた)と言います。

白太は赤太と比べると、節がほとんどなく色がきれいなため建築の機材として部分的に人気があります。一方、吸水性が高く腐りやすく虫が付きやすいなどのデメリットがあります。

次に構造と組み方を説明します。

画像と説明を合わせてご覧ください。

襖骨は、周囲の縁を框(かまち)と呼び、中の組子には「横組子」「竪組子」があり、一番太いものを「力子」と言います。

一般的に、中の組子は縦3本、横11本になりますが、上級品においては横13本になります。

襖の中央の力子の下の小間には、「引手板」がつけられます。さらに、襖の歪みや隅のシワを防ぐため、四隅に厚さ6㎜程度の燧板(ひうちいた)を入れることもあります。

続いて、下地骨の組み方を見ていきましょう。こちらが現在使われていることが多い、代表的なものになります。画像と照らし合わせて説明をご覧ください。

出典:日本の内装材料辞典
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組み方説明
平骨十文字燧板入り
(ひらぼねじゅうもんじひうちいたいり)
縦十文字に組んだ平骨に、四隅に隅板を入れた骨組
平骨
(ひらぼね)
組子の全部を太い三見付き(縁などの部材正面から見た幅のこと)で作った骨組
竪平骨
(たてひらぼね)
骨の組子のうちの縦のものに全て力子を使った骨組
割返し四分子の引手板の上の横組子に力子を使用した骨組

襖の張り方を工程ごとにを簡単に解説!

最後に、こちらでは本襖の一般的な下貼りと上貼りの工程を簡単に説明していきます。

下貼りの工程

下貼りとは、建物の中の襖や壁などを施工する際に、仕上げの上貼りの仕上げを良くするための作業のことを言います。

特に、襖の下貼りはたくさんの工程で作業が行われます。

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工程名説明
骨縛り
(ほねしばり)
組子側に糊をつけ、強度の強い和紙を障子貼りのように貼る
打ち付け貼り
(うちつけばり)
骨が透けないように、透けるのを防止するための作業
蓑貼り
(みのばり)
紙を框に糊づけし、ずらして重ね、蓑のように貼る
べた貼り紙の全部の面に糊を塗布して貼る
袋貼り
(ふくろばり)
半紙や薄手の和紙など、紙の周囲にだけ細かく糊をつけ、袋状に貼る
清貼り
(きよばり)
紙全体に薄い糊をつけ、襖全体に貼る (※上張りの紙の材質により異なります)

上貼りの工程

下貼りの仕上げとして美しくシワがよらないように、まず四辺を濃い糊で貼ります。
そして乾燥し、ピンとさせるには素材に応じた特殊な技術で作業を進めていきます。

貼る材料は紙・織物・ビニールなどに分けられます。
また、紙の種類や素材により作業をする際、糊の濃度を調節したりなど、繊細な配慮と高い技術が必要となります。

襖の場合、絹・麻・綿などの布や、鳥の子をはじめとする紙を貼ることがほとんどです。

まとめ

今回は、襖の内部構造とその特徴についてご紹介しました。
襖にはその下地となる素材によってさまざまな種類があり、一番古く伝統のあるものは本襖だということがわかりました。
それぞれの襖の種類にはメリット、デメリットがあります。

襖は見た目ではわかりませんが、内部構造は意外と複雑になっていることもお伝えできたかと思います。
下地骨の組み方も襖の種類によって分けられています。
また、襖を張り替えるにはたくさんの工程があり、美しく仕上げるための高度で特殊な技術が用いられます。

ご自宅の襖の新調を考えている人は、まず襖の内部構造と特徴を覚えることから始めてみてはいかがでしょうか。


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