近年、日本の家屋は和室と洋室が混在する住まいが増えています。
新築のお家では西洋建築が多くみられますが、今でも日本の和室文化と和室の汎用性の高さから多くのお家では、和室を1部屋設けているお家が多くみられます。そんな和室に欠かすことができないのが襖(ふすま)です。
襖は平安時代から日本に伝わる伝統ある引戸の一種です。
襖の張り替えの目安は、襖や襖紙の種類によって数年から約10年ほど。高級織物襖紙では20年ほどと言われています。
和室は子供部屋としても使えるため、マイホーム購入当初は襖紙を子供が好きなデザインにしていた、という方も多いのではないでしょうか?
この記事ではマイホーム購入から10〜20年ほど経ち子供も大きくなったため、そろそ子供や自分たち好みのデザインでに襖紙を張り替えようと考えている40〜50代の方向けにおすすめの織物襖紙15選をご紹介します。
もちろん、1人暮らし用でマイホームを購入した40〜50代の方にも参考になるデザインのご紹介となりますので、ぜひ最後まで記事を読んでいただけると嬉しいです。
襖の種類とそれぞれの特徴
襖は大きくわけて4種類になります。
これからそれぞれの特徴などを簡単に表も交えて分かりやすくご説明します。
本襖(ほんふすま)
4種類の中で最も古く、その歴史は平安時代まで遡る伝統ある襖です。
素材 | 「組子(くみこ)」と呼ばれる木材を格子状に加工したものを使用 |
メリット | ・反りやねじれに強い ・襖紙を何度でも張り替えられる ・高級感のある仕上がり ・襖紙のデザインが豊富 ・枠を外せる | ・通気性が良い
デメリット | ・高価なものが多い ・他の襖に比べると張り替え工程が複雑のため張り替えまでに時間がかかる ・専門知識が必要なため張り替え初心者には襖紙の張り替えが難しい | ・量産ができない
デザイン | ・松竹梅 / 鯉 / 扇 / 鷹 / 孔雀 / おしどり / 虎 / 龍 / 風神雷神 ・和モダン・シック・ナチュラル・シンプル・レトロ・アニメ・北欧風 など | ・山 / 川 / 岩 / 木 / 海などの自然の風景
張り替え年数 | ※経年劣化は製品により異なる | 約10年~20年が目安
襖紙の平均価格 | 約1,500円~300,000円程度 |
お手入れ方法 | ・はたきなどを使ってホコリを落とす ・引手の周りをきれいにする ・紙で水分を吸収しやすいため、水拭きはNG | ・風通しを良くする
戸襖(とぶすま)
戸襖は、和室と洋室を違和感なく仕切ることができるのが大きな特徴で、和室洋室が混在する現代の日本家屋に欠かせない襖になります。
素材 | ベニヤ板 |
メリット | ・和室と洋室を違和感なく融合できる ・壁紙 / クロスのデザインが豊富 ・収納スペース確保ができる ・壁紙やクロスの張り替えが簡単 | ・重量がありしっかりとした作り
デメリット | ・重い襖なので取り外しが大変 ・襖紙が剥がしにくい | ・縁は基本的に取り外しが不可能
デザイン | ・シンプル・レトロ ・モダン ・シック ・和風 ・北欧風 など |
張り替え年数 | 約10年が目安 |
襖紙の平均価格 | 約1,000円~50,000円程度 |
お手入れ方法 | ・ホコリを取る ・壁紙やクロスは濡らしたスポンジやタオルを固く絞って拭く | ・風通しを良くする
ダンボール襖
段ボール襖は、現代の日本のアパートやマンションで多く使われている量産型の襖の種類になります。
素材 | 段ボール |
メリット | ・量産できる ・低価格 ・襖紙の張り替えが簡単 | ・軽く取扱いが簡単
デメリット | ・破れやすい ・ゆがみやすい ・カビが繁殖しやすい ・2~3回が張り替えの限度 | ・湿度に弱い
デザイン | ・シンプル ・ナチュラル ・シック ・モダン ・レトロ ・和柄 ・北欧風 など |
張り替え年数 | ※ただし、汚れやニオイなどの状況による | 約数年、5年〜10年が目安
襖紙の平均価格 | 約1,000円~2,500円程度 |
お手入れ方法 | ・はたきなどでホコリを取る | ・通気性を良くする
発泡スチロール襖
段ボール襖と同様、現代の日本のマンションやアパートで使用されていることが多い量産型の襖の種類になります。
素材 | 発泡スチロール |
メリット | ・量産できる ・低価格 ・襖紙の張り替えが簡単 | ・軽く取扱いが簡単
デメリット | ・熱に弱い ・ゆがみやすい ・反り返りやすい ・2~3回が張り替えの限度 | ・破れやすい
デザイン | ・シンプル・シック・モダン ・レトロ ・ナチュラル ・和柄 ・北欧風 など |
張り替え年数 | ※ただし、汚れやニオイなどの状況にもよる | 約5~10年
襖紙の平均価格 | 約1,000円~2,500円程度 |
お手入れ方法 | ・はたきなどでホコリを取る ・直射日光を避ける | ・通気性を良くする
襖紙の種類とそれぞれの特徴
この章では、襖紙の種類とそれぞれの特徴について分かりやすく表にしてご説明します。
① 織物襖紙(おりものふすまがみ)
和紙に繊維を織り込んだ襖紙が織物襖紙です。
素材によりランクがあり、天然繊維の方がランクが高く、高価なものほど丈夫で長持ちな商品が多くあります。
素材 | ・合成繊維:長繊維レーヨン糸・短繊維レーヨン糸・木綿の意匠捻糸(いしょうねんし)(スラブ糸・ネップ糸) | ・天然繊維:葛布(くずふ)、絹絓(きぬしけ)、芭蕉布(ばしょうふ)
メリット | ・デザインが豊富 ・シワになりにくい ・ホルムアルデヒドなどの有害物質がほぼ出ない ・ランクによって好みの襖紙を選べる ・退色が少ない | ・丈夫で破れにくい
デメリット | ・張り替えが難しい | ・高級な織物は値段が高い
製造方法 | ・加飾技法(かしょくぎほう) | ・抄紙技法(しょうしぎほう)
張り替え年数 | 約10年が目安 |
平均価格 | 約8,000円~300,000円程度 |
② 手漉き和紙(てすきわし)の襖紙
伝統ある手漉きで、職人がこだわってひとつひとつ丁寧に製造している和紙の襖紙です。
素材 | 楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ) |
メリット | ・保存環境により1000年以上保存が可能 ・退色が少ない ・知名度が高い ・種類が豊富 | ・耐久性が高い
デメリット | ・地道な工程で作られているため高価 | ・製造できる職人が減っているため量産できない
製造方法 | ※全て手作業 | 簾桁(すけた)という台に原料を流し込み、水を抜きながらまんべんなく均等な厚さにしていく
張り替え年数 | 5年~10年が目安 |
平均価格 | 約1,500円~30,000円程度 |
③ 機械漉き和紙(きかいすきわし)の襖紙
手漉きの特性を活かし、大量生産が可能なのが機械漉き和紙の襖紙です。
素材 | 楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ) |
メリット | ・量産が可能 ・製造の際の効率が良い ・種類が豊富 | ・価格がお手頃
デメリット | ・手漉きに比べると長持ちしない | ・手漉きに比べると強度が低い
製造方法 | 手漉き和紙の特性を活かした機械で原料を漉いて大量生産する |
張り替え年数 | 2年~5年が目安 |
平均価格 | 約1,000円~20,000円程度 |
④ アイロン接着襖紙
アイロンの熱を利用して、簡単に張り替えができる襖紙になります。
この襖紙がよく使われている襖の種類は「戸襖」や「段ボール襖」です
素材 | 三椏(みつまた) 雁皮(がんぴ) | 楮(こうぞ)
メリット | ・低価格 ・張り替えが簡単 | ・デザインが豊富
デメリット | ・シワになりやすい | ・破れやすい
製造方法 | 機械漉き |
張り替え年数 | 数年〜4年が目安 |
平均価格 | 約1,000~2,500円程度 |
⑤ 再湿のり襖紙
表面に薄くのりがついている襖で、市販されていることが多いです。
段ボール襖によく使われている襖紙になります。
素材 | 三椏(みつまた) 雁皮(がんぴ) | 楮(こうぞ)
メリット | ・低価格 ・デザインが豊富 | ・簡単に張り替えができる
デメリット | ・数人での作業が必要 ・破れやすい | ・シワが目立ちやすい
製造方法 | 機械漉き |
張り替え年数 | 数年~4年が目安 |
平均価格 | 約1,000円~2,500円程度 |
⑥ シール襖紙
名前の通り、裏面にシールがついている襖紙。
発泡スチロール襖の襖紙として用いられることが多いです。
素材 | 三椏(みつまた) 雁皮(がんぴ) | 楮(こうぞ)
メリット | ・デザインが豊富 ・低価格 | ・枠が外せないタイプの襖でも張り替えが簡単
デメリット | ・複数人で作業が必要 ・破れやすい | ・ズレやシワができやすい
製造方法 | 機械漉き |
張り替え年数 | 数年~4年が目安 |
平均価格 | 約1,000円~2,500円程度 |
襖紙の種類を比較してみると、重厚さや厳格さなどをかもし出す雰囲気があるのがやはり織物襖紙。
そして、天然の素材ならではの高級感やぬくもりも感じられることでしょう。
また、焼却時にホルムアルデヒドなどの有害物質が発生せず、安心・安全なのも織物襖紙の良いところです。
織物襖紙の種類と特徴
織物襖紙にはさらに3つの種類に分かれます。
ここではそれぞれの特徴について解説していきます。
上級織物襖紙(じょうきゅうおりものふすまがみ)
素材 | ・横糸:木綿の意匠捻糸(スラブ系・ネップ系など) | ・縦糸:レーヨン糸
メリット | ・デザインが豊富 ・色褪せしにくい ・見た目がキレイ ・経年劣化が少ない ・ホルムアルデヒドなどの有害物質がほぼ出ない | ・シワになりにくく丈夫
張り替え年数 | 10~20年程度 |
糸の打ち込み本数 | ・横糸:40本/インチ程度 | ・縦糸:50本/インチ程度
平均価格 | 約8,000円~70,000円程度 |
中級織物襖紙(ちゅうきゅうおりものふすまがみ)
素材 | ・横糸ともにレーヨン糸 ・長繊維のレーヨン糸 | ・縦糸
メリット | ・変化のある風合い ・種類が多い ・高級感がある | ・上級に比べると低価格
張り替え年数 | 5年~10年程度 |
糸の打ち込み本数 | ・横糸:24本/インチ程度 | ・縦糸:30本/インチ程度
平均価格 | 約2,000円~8,000円程度 |
普及版織物襖紙(ふきゅうばんおりものふすまがみ)
素材 | ・横糸ともに短繊維のレーヨン糸 | ・縦糸
メリット | ・低価格 |
張り替え年数 | 3年~8年程度 |
糸の打ち込み本数 | ・横糸:22本/インチ程度 | ・縦糸:24本/インチ程度
平均価格 | 約1,500円~3,500円程度 |
3種類の織物襖紙のうち、やはり一番質が良く丈夫で長持ちするのは上級織物襖紙になります。
上級織物襖紙に使用される繊維は長いため、耐久性が高く高価なものになるにつれ、変色も遅く20年以上使用できる襖紙も多くあります。
そういった面から、良い襖紙を長く使いたいと考えている方には、上級織物襖紙がおすすめです。
40代~50代におすすめの襖紙デザイン15選
高級織物襖紙 ①
こちらは「あづち(第3集)」の花毬の襖紙。
あづち第3集は伝統的な技術で製造されている高級織物襖紙。
縦糸・横糸ともに糸の本数が多いため、厚みがありしっかりとした作りです。絵柄も1枚ずつ金箔や砂子などで丁寧に加工が施されているため仕上がりが美しく、とても人気があります。
高級織物襖紙 ②
こちらは梅鉢の文様が可愛らしい上級襖紙。
伝統ある技法で丁寧に作られていますが、お値段もお手頃で購入しやすいのが嬉しいですね。
高級織物襖紙 ③
こちらの襖紙にはレーヨン糸が使われています。ブランドは「朱雀(朱雀第11集」。
こちらも人の手のぬくもりと伝統の技で作られた上級襖紙。落ち着いた絵柄は古臭く見えず、40〜50代におすすめです。
高級織物襖紙 ④
こちらは可愛いおしどりが描かれた高級襖紙です。鳥が好きな方におすすめです。
シックハウス対策がされており、ホルムアルデヒドがほとんど出ず安全なのも嬉しいです。
高級織物襖紙 ⑤
こちらは伝統とモダンが融合したタイプの高級襖紙。金色の雲がお部屋に豪華な雰囲気を出しつつも、風合いは柔らかなデザインです。
高級織物襖紙 ⑥
こちらは扇に花が描かれた可愛らしいデザインの高級襖紙。もちろん伝統的な技法で製造されています。
優雅な扇がお部屋に彩りを与えてくれそうです。
高級織物襖紙 ⑦
こちらは四角柄の高級襖紙。四角はあらゆる形の中で、最も安全な形と言われています。なので、お部屋に安心感や落ち着きを与えてくれるでしょう。
お値段は少し高価ですが、その分コスパには優れています。
中級織物襖紙 ①
ピンクと白の桜が描かれたデザインの中級織物襖紙。色彩が柔らかいので、女性に好まれそうなデザインです。
桜が好きな方はぜひ。この襖紙もシックハウス対策がされています。
中級織物襖紙 ②
雲と山脈のデザインの中級織物襖紙。古くから使われている風景画なので、お部屋を落ち着いた雰囲気にしたい40〜50代におすすめです。
中級織物襖紙 ③
オレンジ・白・グレーなどの桜の絵のデザインの中級織物襖紙です。オレンジ色はお部屋に温かみを与えてくれます。
可愛らしい雰囲気なので、こちらも女性におすすめです。
中級織物襖紙 ④
霞のような柄の中級織物襖紙です。柔らかいグリーンは安らぎや平和・ポジティブな気持ちを連想させてくれます。
男女ともに好かれそうなデザインです。
中級織物襖紙 ⑤
シンプル、という言葉がぴったりの中級襖紙。近くで見るといろいろなカラーの糸が入っているのがわかります。
お部屋をシックでモダンな雰囲気にしたい方におすすめです。
中級織物襖紙 ⑥
最後にご紹介する中級織物襖紙は、とても細かい白とピンクの桜が襖全体に散りばめられたデザイン。
春だけでなく、いつでも桜を鑑賞しているような気分になれそうです。
普及織物襖紙 ①
こちらは波がモチーフの普及版織物襖紙です。柔らかい色合いのグラデーションなので、お部屋を明るく見せてくれます。
また、シンプルなのでどんな和室にも合いそうです。
普及織物襖紙 ②
桜のデザインは多いですが、こちらは縦に桜をあしらった普及版織物襖紙。
桜でも現代風なので、人と少し違った雰囲気のお部屋にしたい方におすすめです。
織物襖紙の張り替えはDIYよりも専門店がおすすめ
ここでは、なぜ織物襖紙の張り替えは専門店がおすすめなのか説明していきます。
織物襖紙の張り替えは、和紙襖紙より経年劣化も少なく、機能性に置いても長けているので、より美しい仕上がりにするにはDIYで済ませず、襖専門店に依頼するのがおすすめです。
また、正確に新しい織物襖紙を張り替えるのは至難の業。DIYにしてしまうとのりづけが甘かったり、途中で剝がれてきてしまうこともあります。せっかく良い襖紙を長く使うのであれば張り替え費用は節約せず、専門業者に依頼するほうがコスパが良いと言えます。
張り替えのプロに依頼するメリットは、
- 仕上がりがキレイ
- 張り替えのプランが本格的
- 時間や手間がかからず済む
- 襖や襖紙についての悩みを解決してくれる
などがあげられます。
もちろん張り替え費用はかかりますが、作業負担がかからず襖に最適な方法で張り替えをしてくれるので安心して任せられます。
また、襖紙は張り替えの専門店では、実際のサンプルを目で見て確かめることができ、質感なども確認することができます。
そして、お店によってはアフターフォローも充実していたり、建付け調節などを無料で行っているところもあります。
ただ、そういったサービスは専門店によって違うので、依頼をする前によく調べておくことが大切です。
まとめ
今回は、マイホーム購入から15〜20年ぐらい経った、和室の襖の張り替えを考えている40〜50代向けの襖紙デザイン15選をご紹介しました。
襖紙にはさまざまな種類があることがわかりました。その中でも特に高級織物襖紙は種類が多く、丈夫でしっかりとした作りをしているため、ほかの襖紙に比べると長持ちします。また、製造の際使われている糸の本数が多いため高価ではありますが、コスパには優れています。
そして、織物襖紙の張り替えは正確さと慎重さが求められるため、DIYでの張り替えは難しいと言えます。良い襖紙を長く持たせたいというのであれば、やはり張り替え専門店に依頼するのが一番良い方法でしょう。
そろそろマイホームの襖紙を張り替えたい40〜50代の方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。