【襖(ふすま)の外観をわかりやすく解説!】襖の張り替えに役立つパーツや各名称を図や表を用いて詳しく解説します!

伝統ある日本の家では、古くからお部屋に襖が使われています。

襖の張り替え時期は約10年と言われており、現在襖のあるお部屋に住んでいる方は、そろそろ張り替えを考えているのではないでしょうか。

しかし、襖についての知識がないと手順がわからないので、作業が進みませんよね?
そこで今回は、襖の外からの見た目について特徴や各パーツの名称・サイズ・種類などを詳しく解説していきます。

前回の襖の内部構造の記事と合わせてご覧いただくと、よりかわりやすくなります。
襖の張り替えを考えている人はぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

襖(ふすま)とは?

まずは襖(ふすま)とは何か?という説明と、その歴史について説明していきます。

襖は、大部分が和室に使われる引き戸のこと。木で骨組みを作り、両面に襖紙を張って、引手と縁を取り付けた構造でできています。

襖の歴史は平安時代からと言われています。平安時代の貴族の住まいは、部屋に仕切りがなく、通気性を重視した寝殿造りでした。そこで部屋を仕切ったり、目隠しをするために屏風や簾(すだれ)が使用されており、当時これらの部屋の仕切りにつかう建具をまとめて「障子」と呼んでいました。その中から、木・紙・布などを材料として作られた間の仕切りとして編み出されたのが、襖障子(現在の襖)です。

鎌倉・室町時代になると、書院造への移り変わりが始まり、襖障子には大和絵・水墨画などが部屋のステータスや使い道に比例して描かれるようになりました。また、桃山時代に入ると、豪華で彩り鮮やかな障壁画や、金箔を贅沢に使った襖絵を用いるものが盛んに作られました。

明治時代になると洋風化が進む中、和洋折衷で洋室と和室が同じ家に作られるようになってきました。そこから、片面は洋風で片面は襖紙が張ってあるという戸襖が使用されるようになりました。

大正・昭和時代に入ると、美術品としての役目がなくなっていき均一化していきました。そして大量生産され同じような質になり、一般家庭へと浸透していき現在に至ります。

※この記事は2部構成になっています。前回の記事では襖の内部構造と特徴、この記事では襖の外観についての特徴や名称などを詳しく解説しています。

襖の名称

ここからは、一般的に量産されている襖のサイズと各名称を解説していきます。

襖のサイズとその名称

襖は、お部屋の大きさに応じてオーダーメイドで作られていることが多く、そのサイズや種類はさまざまです。

また、サイズや設置される場所により、呼び名が変わってきます。

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襖の名称サイズ(高さ×幅)
標準サイズ170~180cm×90cm  
このうち、高さが約171cm(五尺七寸)の襖を「五七(ごしち)」、約174㎝(五尺八寸)のものを「五八(ごはち)」と呼ぶ
半襖
(はんぶすま)
60cm~90cm×90cm   高さが60㎝~90㎝(二尺以上三尺)くらいまでの襖
中間
(ちゅうま)
90cm~150cm×90cm   半襖と五七の間の大きさで、高さが90㎝~150㎝(三尺以上五尺)くらいまでの襖  
丈長
(たけなが)
高さ174cm以上   高さが174㎝以上(五尺八寸)を超える襖   現代の和洋折衷の住宅で使用されることが多く、最近では2m以上の高さの襖もある
幅広
(はばひろ)
幅90cm以上の襖  
天袋
(てんぶくろ)
高さ40cm~60cm   天井に近いところにある襖、押入れの上にあることが多い
地袋
(じぶくろ)
高さ40cm~60cm   床に近いところにある襖、天袋と同じくらいのサイズで、床の間の下や仏壇の下などに多い
出典:竹内畳店 様

【長さの基準】

  • 1尺 → 約30㎝
  • 1寸 → 約3㎝
  • 2尺 → 60㎝
  • 3尺 → 約90㎝
  • 5尺7寸 → 約171㎝
  • 5尺8寸 → 約174㎝

襖の開閉式の名称

次は開閉の仕方による襖の名称を説明していきます。

【引き】

出典:日本の内装材料辞典 様
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襖の名称襖の説明
片引き1本の溝に1本の襖が入るもので「1本引き」とも呼ぶ
引き分け1本の溝に2枚立として入れたもので、左右に引き分けるもの
引き違い2本以上の溝に入れ、引き違えることができるもの

【開き】

出典:茨木県表具内装組合連合会 様
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襖の名称襖の説明
片開き1本の襖の片側に丁番を取り付け、反対側に取手をつけたもので、開閉して使用する襖
両開き2本の襖を手前に引いて使用する襖
観音開き2枚、3枚あるいは4枚ずつの襖が左右に吊られていて、折りたたんで開くもので、仏壇に多く使われている

【その他】

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襖の名称襖の説明
倹鈍
(けんどん)
上下に上げ下げして、取り外すことのできる小襖のこと
嵌めごろし
(はめごろし)
壁に取り付けたままで、開閉できない襖のこと

縁(ふち)の太さの名称

次は襖の縁(ふち)の太さの名称について説明していきます。

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襖の名称襖の説明
並見付き
(なみつき)
縁の見付きが6分5厘のもので、一般的に使われている襖
細縁襖
(ほそぶちふすま)
縁の見付きが、並見付きよりも太い襖。5分、4分などがある
太縁襖
(ふとぶちふすま)
縁の見付きが、並見付きよりも太い襖のことをいい、
見付きが8分または1寸のものが多く、主に東北・北陸地方などで使われている
出典:大日化成株式会社 様

【長さの基準】

  • 1分 → 約3㎜
  • 5厘 → 約1.5㎜
  • 5分5厘 → 16.5㎜
  • 7分5厘 → 22.5㎜
  • 6分 → 18㎜
  • 8分 → 24㎜
  • 6分5厘 → 19.5㎜
  • 8分5厘 → 25.5㎜
  • 7分 → 21㎜

襖の規格品・特注品の名称

次は襖の規格品・特注品の名称について説明していきます。

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襖の名称襖の説明
注文襖
(ちゅうもんぶすま)
建物の柱・鴨居・敷居に1本1本丁寧に合わせて作られる伝統工芸の襖で、上貼りの模様から縁・引手・サイズ・構造を指定することができる。 4枚つなぎや6枚つなぎの模様の特別注文も可能。
寸法襖
(すんぽうぶすま)
注文襖と規格襖の間に位置する簡単にオーダーできる襖。
注文襖ほど細かくはないが、寸法・模様などある程度顧客の注文に応じることができる。注文襖よりも早く仕上がる
規格襖
(きかくぶすま)
襖の高さや幅などが標準化(規格化)されている襖で、上貼りの模様やサイズが決まっているため、量産ができ低コスト。

本襖と戸襖の違いと特徴

襖と戸襖の違いと特徴を解説していきます。

本襖(ほんふすま)

出典:楽天市場

本襖は「和襖(わぶすま)とも呼ばれ、最も古くから使われてきた伝統ある日本の襖です。

「組子」と呼ばれる格子状に組まれた細い木枠の下地骨に、和紙を何重にも貼り重ねて仕上げられています。表面を触って押さえてみると、内部の骨組みを手触りで確かめることができます。

通気性が良く日本の気候に適しており、反りやねじれに強い一方、製造過程が複雑なので量産は難しく、他の襖と比較すると高価です。

戸襖(とぶすま)

出典:楽天市場

戸襖は、洋室と和室を仕切るときに使われることが多い扉の一種。

和室と洋室どちらの雰囲気にも合わせられるように、使用される素材が違うのが特徴。

組子の上にベニヤ板などを張り、和室側には襖紙、洋室側には壁紙やクロスを使用。また、リビングと和室の仕切りにも使われます。戸襖を閉めることで、リビングと洋室の雰囲気が崩れないのも魅力のひとつです。

戸襖はかなりの重量があり丈夫に作られています。叩くとコンコンと木の音がし、枠が外せないという特徴もあります。

最後に本襖と戸襖の違いを表にわかりやすくまとめましたので、参考にしてみてください。

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 本襖(ほんふすま)戸襖(とぶすま)
使われている場所和室と和室の間和室と襖の間
材料裏表ともに襖紙表が襖紙、裏がクロスや木材
分厚い枠で取り外しが簡単平らな枠で外すことは想定されていない
重さ中が格子状で空洞なので軽い中が分厚く板状なので重い
引手丸型や正方形出っ張っている物が多い

まとめ

今回は、襖を外から見たときの、外観の特徴や各パーツの名称・本襖と戸襖の違い、そして襖の歴史についてもご紹介しました。

襖の歴史は平安時代から始まりましたが、当時は簡単な間の仕切りの役目をしており、その後は美術品のような扱いだったことがわかりました。

襖はサイズ・開閉式・縁の太さ・規格品や特注品などにより、各名称が違います。

現在、お住まいのお部屋の襖を張り替えようと考えている人は、まず襖がどんなサイズなのかを理解し作業を始めてみてはいかがでしょうか。


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