【襖(ふすま)の防寒対策をして冬を乗り切ろう!】断熱性が落ちる原因や防寒効果を高めるポイントも解説!

襖は古くから日本で使用されている建具のひとつで、断熱効果が高いと言われています。しかし、襖があるご家庭では冬になると襖のすき間から冷気が入ってきて寒い、という経験はありませんか?

それはもしかすると、襖の種類や使用している襖紙が原因だったり、あるいはその他のことに原因があるのかもしれません。

今回は襖の防寒対策について、断熱性が落ちる原因や防寒効果を高めるためのポイントを解説していきます。また、襖の構造・種類・襖紙の種類などについても解説していきます。

ご自宅に襖がある方はぜひ参考にしていただけると幸いです。

目次

襖(ふすま)とは?

襖とは主に和室に使われている建具のことで、木材で組み立てられた枠に襖紙(ふすまがみ)を張って引手が取り付けてある引戸の一種。和室の間仕切りや押入れなどによく使用されています。

襖は日本の高温多湿な気候にとても相性が良く、以下のような特徴があります。

  • 内側に空気の層があるため断熱性が高い
  • 湿度を調節する調湿効果がある
  • 有害な成分(たばこの煙など)を吸収する効果がある
  • 通気性が良い

また、近年では襖に使われている襖紙や引手はさまざまなものが販売されており、モダンなタイプも多いので和室をおしゃれに演出することもできます。

襖の構造について

襖は通常骨組みの上から襖紙が張ってあるので、中の構造をご存じの方は少ないのではないでしょうか。

こちらでは古くから使われている代表的な本襖の内部構造を解説していきます。

引用:日本の内装材料辞典様
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名称各部分の特徴
框(かまち)襖の骨の周囲を框と呼び、そのうち、縦についているものを竪框(たてかまち)、横についているものを横框(よこかまち)と呼ぶ。
入端(いれは)骨と框を接続する方法の呼び名。打子(うちこ)が竪框に食い入るように入っている。
組子(くみこ)襖の骨の縦横の格子のことを指し、縦のものを竪組子(たてくみこ)、横のものを横組子(よこくみこ)と呼ぶ
力子(ちからこ)骨の強度を増やすために使われる通常よりも太い組子のこと。力骨(ちからぼね)とも呼ぶ
引手板(ひきていた)襖の引手をつけるために、骨の間にはめ込む板
燧板(ひうちいた)襖の骨組みを補強するため四隅につける板

襖骨はその周囲の縁を框(縦のものを竪框/たてかまち、横のものを横框)といい、中の組子を中子・中組子、その組子の縦のものを竪子・竪組子、横のものを横子・横組子、力骨を力子と呼んでいます。中組子は、縦3本、横11本を普通として、上級品は横を13本とします。襖の中央の力骨の下の小間には、引手板を付けます。また、襖の歪みや隅じわを防ぐために、四隅に厚さ6㎜くらいの燧板を入れる場合もあります。燧板は隅板とも呼ばれます。

引用:日本の内装材料辞典様

また、襖の下地骨の組み方は以下の4種類が代表的なものになります。

引用:日本の内装材料辞典様
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組み方説明
平骨十文字燧板入り
(ひらぼねじゅうもんじひうちいたいり)
縦横十文字に組んだ平骨に、四隅に燧板を入れたもので、組子の中では最も高級。
平骨(ひらぼね)組子のすべてを太い見付き(襖の正面部からみた幅)で作った骨組みのこと。
竪平骨(たてひらぼね)骨の組子のうち縦のもの全てに力子を使用した骨組みのこと。
割返し(わりかえし)四分子の引手板の上の横組子に力子を使った骨組みのこと。

襖の種類について

襖には大きく分けて、本襖・戸襖・段ボール襖・発泡スチロール襖の4種類に分けられます。
こちらでは、それぞれの襖について特徴を解説していきます。

本襖(ほんぶすま)

本襖は古くから日本で使われてきた伝統ある襖。「和襖(わぶすま)」と呼ばれることもあります。組子の上に布や紙が何重にも張り重ねて作られています。

そのため、内部に空気の層ができるので通気性がよく、襖の中でも一番断熱効果が高いと言われています。襖の上から軽く手を当てて押したときに、木枠の骨組みを感じることができたら本襖の可能性が高いです。

本襖は何度でも張り替えをすることが可能で、高級感や重厚感のある本格的な仕上がりになります。そして反りやねじれにも強く、丈夫で長持ちするのが特徴です。

一方で、本襖は職人が1枚1枚本格的な技術を用いて製造するので、大量生産はできず価格は高価になります。

戸襖(とぶすま)

戸襖は、主に和室と洋室の間仕切りに使用される襖のことです。和室側は襖紙が張ってあり、洋室側はクロスや壁紙が貼ってあるのが特徴。リビングの出入口に使用されることもあります。表面を軽く叩いてコンコンと木の音がしたら戸襖の可能性が高いです。

組子にはベニヤ板が使ってあり、重くしっかりとした存在感があります。また、ベニヤ板の上から襖紙が張ってあるので構造上破れにくいというのも特徴のひとつ。

しかし、枠の部分が外せないので張り替えが難しく、本襖に比べると断熱性が低いというデメリットがあります。

段ボール襖

段ボール襖は名前の通り下地に段ボールが使われており、最近の住宅などで使われることが多い襖です。大量生産ができることから「量産襖(りょうさんふすま)」と呼ばれることもあります。女性でも持ち上げることができるほどとても軽く、叩くと鈍い音がします。

芯材の段ボールは3層くらいに重ねてあり、湿気を防止するためアルミ箔が貼られています。また、引手は釘で打っていないことが多いようです。

機械生産ができるためコストはかかりませんが、枠が外せないので張り替えが難しく強度は弱いというデメリットがあります。

発泡スチロール襖

発泡スチロール襖も名前の通り、芯材に発泡スチロールが使用されています。段ボール襖と同じで最近の住宅で使われることが多く、叩くと鈍い音がするのが特徴。

プラスチックの種類は「スチロール」と「スチレン」がありますが、ほとんどの発泡スチロール襖はスチロールを芯材としています。

こちらも大量生産ができコストは安いですが、枠が外せず張り替えが難しい・耐久性が悪いという弱点があります。

各ふすまの種類の比較表

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襖の種類メリットデメリット
本襖
(ほんぶすま)
・日本の伝統がある
・通気性が良い
・断熱性が高い
・吸湿効果がある
・有害物質を吸着する
・耐久性が高い
・高級感がある
・反りやねじれに強い
・値段が高い
・量産できない
・メンテナンスが難しい
戸襖
(とぶすま)
・和室洋室どちらでも使える
・襖紙が剝がれくい
・丈夫で長持ちする
・壁紙のデザイン次第でおしゃれな部屋にできる
・重量がある
・枠を外せない
・断熱性が低い
段ボール襖・値段が安い
・軽く扱いやすい
・大量生産できる
・張り替えが難しい
・耐久性が低い
・断熱性が低い
・枠が外せない
発泡スチロール襖・値段が安い
・軽く扱いやすい
・大量生産できる
・張り替えが難しい
・耐久性が低い
・断熱性が低い
・枠が外せない

襖紙(ふすまがみ)の種類

襖の骨組みの上から張る紙のことを、襖紙と言います。
襖紙の種類により断熱効果も違ってくるので、こちらでそれぞれ解説していきます。

織物襖紙(おりものふすまがみ)

織物襖紙は、和紙に天然の繊維や合成繊維を織り込んだ襖紙のことで強度と耐久性があります。

繊維の質によりランクが分かれ、天然繊維でできた襖紙のほうがより持ちが良く劣化をしにくい傾向にあります。

高級なものはレーヨンや絹糸を素材としており、1枚ずつ職人が手間をかけて製造しています。

そのため、本格的な糸入りの織物襖紙はシワになりにくく、天然の素材ならではのぬくもりや高級感・存在感があります。

また、織物襖紙は1度きれいに張り替えをすれば次の張り替えまでのスパンが非常に長いのでコスパの良い襖紙と言えます。

手漉き和紙襖紙(てすきわしふすまがみ)

手漉き和紙襖紙とは、雁皮(がんぴ)・三椏(みつまた)・楮(こうぞ)などを原料とし、職人が1枚1枚こだわって製造している伝統のある和紙からできた襖紙です。

手漉きならではの存在感があり、色褪せも少なく丈夫なので月日が経つにつれ、味わいが出てきます。

また、機械漉き和紙のように大量生産はできません。

機械漉き和紙襖紙(きかいすきわしふすまがみ)

機械漉き襖紙は、手漉きの質感を機械漉きで似たような風合いに近づけた襖紙です。

原料は手漉き和紙襖紙と同じ、雁皮・三椏・楮になりますが、機械で製造するので大量生産ができ、手漉き和紙襖紙と比べると安価で入手しやすいのが特徴です。

機械漉きの和紙は、デザインも豊富なので一般住宅や集合住宅などでよく使われています。

アイロン接着襖紙(アイロンせっちゃくふすまがみ)

名前の通り、アイロンで接着して張るタイプの襖紙です。

襖紙の裏面に塗ってある糊をアイロン熱を利用して張り付けていくので、手早く簡単に作業できDIYにもおすすめ。

また、剥がす際もアイロンひとつでできるので作業に手間や時間がかかりません。

張り替えの際の微調整もしやすく、初心者にも向いています。特に段ボール襖の張り替えに向いていますが、シワになりやすいので作業するときは注意が必要です。

再湿糊襖紙(さいしつのりふすまがみ)

再湿糊襖紙は裏面に切っ手タイプの糊が塗布されています。

たっぷりの水で糊を戻して貼るタイプの襖紙なので張り替えも簡単。安価なので一般家庭の襖紙として良く使用されています。

デザインも豊富でおしゃれなお部屋を演出できるものが多いですが、シワになりやすく破れやすいというデメリットもあります。

また、水分を吸収しやすい段ボール襖には向いていません。

シール襖紙

シール襖紙は、裏面についている剥離シールを剥がして張るタイプの襖紙です。

簡単に作業できるのでアイロンタイプ・再湿糊タイプと同様、初心者向けになります。

しかし、空気を抜きながら張らないとシワやたるみができやすいため、2人以上で襖紙を引っ張りながら作業するほうが無難です。

襖の断熱性が落ちる原因と防寒効果を高めるポイント

襖を閉めていても寒いのにはどんな原因があるのでしょうか?

こちらでは、襖の断熱性が落ちる原因と防寒効果を高めるポイントについて解説していきます。

原因①:すき間

襖にすき間があると、そこから冷気が入ってくるので部屋の断熱性が落ちてしまいます。襖のすき間ができる原因は、自分で建具を交換したり修理をしたりして建付けが悪くなっていることが考えられます。

また和襖以外の襖は、枠がすり減ったり経年劣化でだんだん反ったりするので、閉めていてもすき間ができやすくなる傾向にあります。

このようなすき間を解決する方法のひとつとして、「すき間テープ」を貼る方法があります。すき間テープはホームセンターなどで手軽に入手でき、作業も簡単なのでぜひ実践してみてください。

しかし、すき間があまりにもひどく自分で直せないような場合は、修理ではなく新調したほうがいいかもしれません。新調の際はご自宅に適した襖を選んでもらえる専門店に依頼をすることが確実です。

原因②:襖の種類を確認する

現在、ご自宅で使用している襖はどんな襖でしょうか?結論から申しますと、襖の種類の中で一番断熱効果が高いのは「本襖」です。

本襖は古くから日本で使われてきた伝統ある襖なので、日本の四季や気候に適した作りになっています。そして骨組みがしっかりとしているため、長い年月が経っても劣化して反りが出てくることがありません。

また、本襖に使われる襖紙は「織物襖紙」や「和紙襖紙」が多く使用されています。本襖は、内部に空気層ができることから高い断熱効果が期待できるので、防寒効果も高くなると言えます。

原因③:襖紙の種類を確認する

襖を閉めていても寒く感じる場合、貼ってある襖紙の種類を確認してみてください。本記事でご紹介した襖紙にはどれも断熱性がありますが、中でも一番断熱性に優れている襖紙は織物襖紙です。

特に質がいい織物襖紙に使用されている素材は、絹・レーヨンなど。絹は繊維のすき間に空気の層がとてもたくさんあります。

そのため、暖かい空気と冷たい空気が合わさることがなく、外に熱が逃げにくく外からの冷気は通しにくいという断熱効果が期待できます。

このことから、絹は夏は涼しく冬は暖かいという特性があります。

また、レーヨンはヒートテックなどに使用される素材ですが、通気性が良くレーヨン自体が発熱するという特性を持っています。また、湿度を吸収することで微細な熱が生じるため寒い冬にも適した素材になります。

上記のことを踏まえると、本襖と織物襖紙の組み合わせは一番断熱効果が期待できるということになります。

そして、和紙襖紙も張り替えの際2~3枚の和紙を貼り重ねるため、ある程度の断熱効果が期待できます。しかし、和紙の重ね貼りの限度は2~3枚になり、それ以上重ねると通気性が悪くなるので注意が必要です。

原因④:襖以外の建具に原因はないか

襖に何も問題がない場合は、襖以外の畳や障子などの建具に原因があるかもしれません。

畳や建具に原因がある場合、断熱性をアップさせる方法はいくつかありますので、そちらについては別記事でご紹介していきます。

ほか

他の襖(ふすま)から和襖に変えることはできる?

冬の防寒対策には本襖が一番いいということがわかりましたが、ほかの襖から本襖に変更することはできるのでしょうか?

基本的に、ほかの襖から本襖に変更することは難しいと言えます。変更できるかどうかは襖縁(ふすまふち)と言われる襖の枠の種類によります。

戸襖は組子に芯材となるベニヤ板が張り付けてあるため、枠のみを外して交換することはできません。もし戸襖を本襖に変えたい場合は、襖を全て新調することが基本となります。

また、段ボール襖や発泡スチロール襖などの量産襖も本来本襖への変更はできません。量産襖と本襖では、構造や使われている素材が異なるからです。さらに、量産襖は劣化したら通常は使い捨てのため、本襖に変更する場合は基本的に新調となります。

したがって、ほかの襖から本襖に変えたい場合は専門店へ相談するのが一番確実です。

襖(ふすま)の張り替えの相談は専門店へ

襖の張り替えや交換は専門店に依頼をすることをおすすめします。
こちらでは、専門店がおすすめな理由と選び方のポイントをお伝えしていきます。

① 専門店を推奨する理由

襖の張替えや交換を依頼するメリットはたくさんあります。参考までにいくつかご紹介いたします。

  • 張り替えの手間や時間がかからない
  • プロならではのきれいな仕上がりにしてもらえる
  • 自宅に合った襖を選んでもらえる
  • 専門的な道具を準備する必要がない
  • プロならではの技術と知識がある
  • リフォームプランが本格的である
  • アフターサービスが充実している  など

② 専門店選びのポイント

襖の張替えや交換を依頼する際に失敗しない専門店選びのポイントをいくつか参考までにご紹介いたします。

  • 1件だけでなく複数の専門店に見積り依頼をしてみる
  • 見積りの際詳細を丁寧に説明してくれるか
  • 電話や見積りの際業者の対応は良いか
  • 張り替え実績は豊富にある店舗か
  • 必要ないプランなどを強引に押し付けてこないか
  • SNSでの口コミや評価は高いか

まとめ

今回は襖の防寒対策について襖種類や襖紙の種類について詳しくご紹介しました。

襖は間仕切りとしての役割だけでなく、

  • 高い断熱効果が期待できる
  • 通気性がある
  • 調湿効果がある
  • 有害物質を吸収する

などのメリットがあります。

その中でも、日本で古くから使用されている本襖は内部に空気の層ができるため4種類の襖の中でも一番断熱効果が見込めることがわかりました。また、織物襖紙との組み合わせでより高い防寒効果が期待できます。

現在ご自宅に襖があり冬になると襖を閉めていても寒いという方は、まず襖の種類と貼ってある襖紙の種類を確認してみてください。

この冬、暖かく快適に過ごすために襖の張り替えや交換はぜひ専門店に相談してみることをおすすめします。

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