
『手漉き和紙(てすきわし)』をご存知でしょうか。
そもそも和紙とは、独特の風合いとテクスチャーが特徴の和紙で日本の伝統的な製法で作られた紙の総称のことを指します。
現代では、本来は手漉きで製造された「手漉き和紙」と機械で漉いた「機械漉き和紙」も同じ和紙として親しまれ、障子紙や襖紙などをはじめ、書道用紙・手紙・色紙・提灯・傘などさまざまな製品に幅広く私たちの生活に浸透し使われています。
和紙の歴史は約1400〜1500年前にまで遡ると言われていますが、そもそも和紙とは他の紙とどのような違いがあり、なぜ和紙の中でも高級なものがあったり安価なものがあったりするのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回の記事では「手漉き和紙」について詳しく解説していきます。歴史・原料・産地などについても深堀し、現在日本に存在する最古の和紙についてもご紹介していきます。
手漉き和紙にご興味ある方や和紙のルーツについてご興味がある方は、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
手漉き和紙とは?

手漉き和紙とは、
楮(こうぞ)などの植物繊維を主原料とし、『流し漉き(ながしすき)』や『溜め漉き(ためずき)』という日本の伝統的な紙漉きの技法で職人が1枚ずつ漉き上げた紙のことを指します。
手漉き和紙には以下のような特徴があります。
- 手作業ならではの風合い
職人が1枚1枚手作業で漉くため大量生産できる機械漉きとは異なり、同じものはありません。自然なムラや繊維のゆらぎが、温かみのある唯一無二の風合いを作り出します。 - 強い強度と柔軟性
原料となる植物の繊維が長いため、薄くても引き裂きにくく、柔軟で丈夫な紙になります。 - 耐久性と保存性
天然繊維を使用し、薬品をできるだけ使わない製法で作られるため、傷みが少なく保存性に優れています。「洋紙は100年、和紙は1000年」とい割れるほど和紙と洋紙では紙の耐久性に大きな差があります。 - 通気性と吸湿性
通気性が良く、湿気を吸収し放出する機能があるため、古くから障子紙などにも使用されています。 - 多様な種類
乾燥方法や加工方法により、さまざまな種類の手漉き和紙があります。
平安時代中期ごろには、強靭な手漉き和紙を揉み込んで柔らかくし裁縫してできた服(紙衣:かみころも)が当時は絹や衣よりも安価で軽くて丈夫だったため武士などの間でも好んで使われていたようです。
手漉き和紙の歴史

手漉き和紙にはどのような歴史があるのでしょうか?
手漉き和紙の起源や歴史、どこで作られたのかについて解説していきます。
手漉き和紙の歴史について
【伝来と国産化のはじまり】610年~奈良時代
手漉き和紙の起源は、日本書紀によると610年(推古18年)ごろに*高句麗(こうくり)の僧・曇徴(どんちょう)が日本に紙・筆・墨の製法を伝えたのが製紙技術の始まりとされています。
(*高句麗とは紀元前後から668年まで、現在の中国東北部(満州)南部から朝鮮半島北部にかけて栄えた古代の王国のこと)
仏教の布教とともに紙の需要が増え、福井県の越前や岡山県の美作(みまさか)で本格的な紙漉きがスタート。
【日本独自の発展】平安~江戸時代
手漉き和紙の原料が楮・三椏・雁皮に定着し、それらの繊維を分散しやすくするために「*ねり」を入れ、日本独自の流し漉きが開発され、しなやかで強靭な和紙が誕生しました。当時は、和紙は貴族の間で愛用され写経や書物などを書く紙として使われていました。
*ねり
和紙を漉く際に、繊維を水中に均一に分散させ、紙を漉く作業を助ける粘液のことです。一般的に、「トロロアオイ」という植物の根から抽出されます
武士の間で普及し、贈答品や幕府の公用紙にも使われていました。『*杉原紙(すぎはらがみ)』が代表的でした。
*杉原紙
兵庫県多可町(たかちょう:旧杉原谷)で奈良時代から続く伝統的な手漉き和紙)
江戸時代には庶民の生活にも浸透し、障子紙や和傘などに広く使われ最盛期を迎えました。
また、各地の産地が発展し、藩の保護を受ける例もありました。
【明治時代~現代】
洋紙の普及により一時衰退しましたが、和紙の文化の重要性が見直されます。
伝統技術と現代のデザインが融合し、建築やインテリアなど新たな分野でも活用されています。
ユネスコ無形文化遺産に登録
2014年に以下の手漉き和紙がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
- 本美濃紙(ほんみのし)
- 石州半紙(せきしゅうばんし)
- 細川紙(ほそかわし)
手漉き和紙はどこで作られた?

手漉き和紙は日本各地で作られていますが、特に有名な産地をご紹介していきます。
最も有名な産地は『日本三大和紙』と呼ばれている以下の場所になります。
- 岐阜県 美濃市: 美濃和紙
- 福井県 越前市: 越前和
- 高知県 土佐市: 土佐和紙
岐阜県 美濃市(みのし): 美濃和紙(みのわし)
岐阜県では美濃市(みのし)を中心として、「美濃和紙」が生産されています。
美濃市は、長良川(ながらがわ)や板取川(いたどりがわ)などの清流による良質な水に恵まれており、冬の寒冷な気候による『*寒晒し(かんざらし)』という工程により、川の冷水に原料の楮を浸すことで不純物を取り除き、漂白効果を高める技法を用いて手漉き和紙を製造しています。
美濃市は、美濃和紙の原料となる楮が豊富に栽培されており、岐阜県美濃市は和紙を作るのに最適な環境であったことから紙漉きが発展したと言われています。
福井県 越前市(えちぜんし): 越前和(えちぜんわし)
福井県越前市は、日本一歴史のある和紙の産地と言われており、岡太川(おかもとがわ)流域にて1500年以上にわたり「越前和紙」が生産されています。
越前市は、和紙製造に不可欠な綺麗で清らかな岡太川が流れており、楮などの和紙の原料となる植物も豊富に取れる地域になります。
山と清流に囲まれた自然環境により豊富な原料が手に入ったことや、湿度の高い気候が和紙のゆっくりと乾かし、均一で美しい紙質を生み出すのに適していたことから、越前市は手漉き和紙に欠かせない要素がそろっていたため、自然と紙漉きが発展したと言われています。
高知県 土佐市:土佐和紙(とさわし)
高知県土佐市では、1000年以上前から薄くて丈夫な和紙「土佐和紙」が生産されています。
土佐市は過去に何度も水質日本一に選ばれたことがある仁淀川(によどがわ)の冷たくて不純物の少ない清流があります。また、山間部で育つ原料となる楮は、繊維が長くしなやかで絡みやすいため、薄くても破れにくい丈夫な和紙を作るのに非常に適しています。
また、森林面積が日本一で豊かな森林が清らかな水を育み、高温多雨で湿度が高い気候も和紙づくりに適した環境であったため紙漉きが発展しました。
その他にも、以下のような産地で手漉き和紙が生産されています。
これらの産地は、良質な原料の栽培に適した風土と、紙を作るのに欠かせない清らかな水に恵まれていることが共通しています。
| 産地名 | 作られている和紙の名前 |
| 茨城県 常陸大宮市(ひたちおおみやし) | 西ノ内紙(にしのうちし) |
| 島根県 石見(いわみ)地方 | 石州和紙(せきしゅうわし) |
| 徳島県 吉野川市(よしのがわし) | 阿波和紙(あわわし) |
| 埼玉県 東秩父村(ひがしちちぶむら)・小川町(おがわまち) | 細川紙(ほそかわし) |
| 福岡県 八女市(やめし) | 八女和紙(やめわし) |
手漉き和紙の原料は?

手漉き和紙に使われている原料は主に楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)などの植物になります。これらの原料は古くから和紙の原料として使われてきたことから「和紙の三大原料」と言われています。
こちらでは、それぞれの原料について詳しく解説していきます。
楮(こうぞ)

楮はクワ科の落葉低木で、その樹皮の繊維が和紙の最も主要な原料として使われる植物のことです。
成長が早く新しい芽を出す力が強いので、栽培が容易で毎年収穫することが可能です。
高さは2~6mほどに成長し、葉は卵型で縁にギザギザがあり、春に花を咲かせ夏には赤く熟す集合果をつける特性があります。また、日当たりのいい場所を好み、乾燥にも比較的強いとされています。
和紙に使用されるのは樹皮の内側の繊維で、長く強靭なため紙にしたときに破れにくく、耐久性に優れています。繊維の表情が豊かで温かみと力強さを感じさせ、薄く漉けばしなやかさが出るのが特徴です。
日本各地で栽培されていますが、主に有名な楮の産地は茨城県・高知県・新潟県で、茨城県が楮生産量で日本1位となっています。
科学薬品を使わない手間のかかる工程を経て作られる楮の和紙は、その耐久性と保存性が高く評価され、日本の文化財や伝統芸能に欠かせない存在となっています。
楮で作られた紙は以下のような用途で使われています。
- 障子紙
- 襖紙
- 表具紙(ひょうぐがみ)
- 日本画の画用紙
- 書道用紙
- 版画用紙
手間のかかる工程を経て作られる楮の和紙は、耐久性と保存性が高く評価され、日本の文化財や伝統芸能に欠かせない存在となっています。
三椏(みつまた)

三椏は、枝が3つに分かれる特徴を持つ、ジンチョウゲ科の落葉低木で、和紙や日本のお札(日本銀行券)の原料として非常に有名な植物です。
紙の原料として使用されるようになったのは楮や雁皮より後で、江戸時代からと言われています。
高さは1~2mほどで、枝が必ず3つに分かれることから「ミツマタ」と名づけられました。2~3月ごろに花が咲き、花弁はありませんが、黄色い筒状のがくが反り返って花弁のように見え、それが集まって咲きます。
また、樹皮に含まれる成分には防虫効果があり、害虫に強いという特徴もあります。
特に有名な産地は、岡山県・高知県・徳島県・島根県などになり、特に岡山県の北地域である真庭市(まにわし)などでは、日本一の産地だった歴史があり、現在も栽培が続けられています。
和紙の原料となる部分は枝や幹の樹皮で繊維が非常細かく、しなやかで光沢があるため、なめらかな仕上がりになります。
そのため、上品な見た目と実用的な強度・耐久性を兼ね備えた高級和紙の代表的な素材と言えます。
三椏で作られた紙は以下のような用途で使われています。
- 襖紙
- 障子紙
- 書道用紙
- 版画用紙
- 箔合紙
はくあいし:金箔を保存する紙のこと
雁皮(がんぴ)

雁皮はジンチョウゲ科の落葉低木で、栽培が難しく野生のものを採取するため希少価値が高い植物です。
1~3m程度の高さで、樹皮は黒褐色でなめらか、葉は卵型で互い違いについており、初夏に枝先に黄色の小花を咲かせます。
三椏と同様に樹皮に防虫効果があるため、害虫に強く変色しにくいという特徴があります。
「紙の王」と称され、繊維は短めで細かく、半透明で美しい絹のような光沢と強い耐久性を持ち、「鳥の子紙」という最高級和紙の原料になります。また、古くから高級書画用紙や保存用紙としても重宝されています。
これらの特徴から、雁皮で作られた和紙は古くから現在まで特別な用途で愛用されています。
雁皮で作られた紙は以下のような用途で使われています。
- 障子紙
- 襖紙
- 鳥の子紙
- 書道用紙
- 日本画用紙
- 写経用紙
- 箔打紙
はくうちがみ:金箔を限界の薄さまで打ち延ばすために、金箔の間に挟む特殊な加工をした和紙
麻(あさ)

麻とは、植物の茎や葉脈から摂れる繊維の総称のことで、20以上の種類がありますが、以下の植物が特に有名です。
- 亜麻ーあま
- 苧麻ーからむし
- 大麻ーたいま
- 黄麻ーこうま
- マニラ麻
麻は「紙の起源」と言われるほど古くから和紙の原料として使われてきました。
麻のなかでも特に大麻や苧麻が使われ、強靭で長い繊維が特徴ですが繊維処理が難しいため、現代では楮などと混ぜて補助原料として使われたり、独特の風合いを活かして日本画用紙や工芸品に用いられています。
日本で古来からある手漉き和紙でつくられた展示品

この章では、日本最古の和紙として奈良県の正倉院に展示されているものをご紹介します。
【美濃国(みののくに)の戸籍用紙】

日本で最も古いとされている和紙は奈良時代、大宝2年(西暦702年)に美濃国(現在の岐阜県南部地域)で漉かれた現存する日本最古の戸籍用紙のことで1300年もの歴史があり、現在は奈良県の正倉院(しょうそういん)に保管されています。
この戸籍用紙用紙は、良質な楮と清流に恵まれた美濃和紙で作られており、薄くて丈夫、また光に透かすと繊維が整然として美しいのが特徴です。
当時は戸籍用紙として使われ、現代では障子紙や文化財の修復用紙としても利用される、最高級和紙の起源でもあります。
【正倉院文書(しょうそういんもんじょ)】

正倉院文書とは、奈良時代に東大寺の正倉院に保管された日本最古の紙史料群のことで、写経事業の帳簿や戸籍・計帳など、奈良時代の国家行政から人々の生活までを伝える非常に貴重な資料です。
正倉院文書は手漉き和紙でできており、特に楮や雁皮などの植物繊維を原料としています。
これは、奈良時代にはすでに「流し漉き」という日本独自の技法が用いられていた証拠となり、和紙の原点を示しています。
日本で現存する有名な高級和紙

こちらでは、現在も使われている有名な高級和紙を5選紹介します。
【本美濃紙(ほんみのし)】

岐阜県美濃市で作られる日本三大和紙のひとつ、美濃和紙(みのわし)の中で、原料・製法・用具などの厳格な条件を満たし、認められた職人が作った最高品質の手漉き和紙のことを指します。
その歴史は1300年ほど遡るとされ、原料には100%楮のみを使用しており、薬品漂白を一切しないため白く美しく、柔らかさと強靭さを兼ね備えています。
「流し漉き(ながしずき)」と呼ばれる日本独自の技法により、楮の繊維が整然と絡み合い、薄くてムラのない上品な風合いに仕上がります。そして、その技術は「和紙:日本の手漉和紙技術」としてユネスコ無形文化遺産に登録されています。
現在は高級障子紙・文化財の保存/修復用紙・記録用紙・インテリア・表具などさまざまな用途として活用されています。
【石州半紙(せきしゅうばんし)=石州和紙】

石州半紙とは島根県西部の石見地方(いわみちほう)で作られる、強靭で光沢のある手漉き和紙の総称のことを指します。
奈良時代から続く歴史があり、重要無形文化財とユネスコ無形文化遺産「和紙:日本の手漉和紙技術」として登録されています。
地元産の繊維が長く幅が太い、生命力豊かな楮を原料としており、流し漉きにて縦に大きく水を動かすことで繊維をしっかりと絡ませ製造されます。
よって、耐久性に優れツヤがあり、墨がにじみにくい仕上がりになります。
かつては帳簿用紙として多く使用されていたようですが、現在では障子紙・書画用紙・文化財修理用紙・ハンドメイド・雑貨などの多様な用途で活用されています。
【細川紙(ほそかわし)】

細川紙とは埼玉県小川町と東秩父村で伝承される、楮を原料とした強靭で美しい手漉き和紙のことで、その技術は国の無形文化財に指定され、さらにはユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
国産の楮のみを使用し、伝統技法の流し漉きをすることで地合いがしまり、丈夫で艶やかな毛羽立ちにくい紙に仕上がります。耐久性が非常に高いため、100年の使用にも耐えられると言われており、海外でも高い評価を得ています。
昔は帳簿用紙として使われていましたが、現在は障子紙・襖紙・書道用紙・和本・高級壁紙・美術工芸品など、伝統的なものから現代的なものまで幅広い用途で使われています。
【越前和紙(えちぜんわし)】
越前和紙とは、福井県越前市で約1500年の歴史を持つ、日本三大和紙のひとつで、最大の特徴は「丈夫さ」「美しさ」「日本一の種類の多さ」になります。
原料は楮・三椏・雁皮などになり、これらは繊維が長く複雑に絡み合っているため、非常に破れにくい仕上がりとなります。そのため、日本の紙幣の原料や、ルーヴル美術館の収蔵品の修復にも使われています。
また、越前和紙が美しいのは上質な原料を使用しているのと、岡太川(おかもとがわ)の清流での寒晒し(かんざらし)工程により原料の不純物を取り除き、職人の手漉き技術で、繊維を傷めず漉き上げているからです。
越前和紙は品質・種類・量ともに日本一とされており、「越前和紙で揃わない紙はない」と言われるほど、用途に応じた多様な紙が作られています。
さらに、抗菌・消臭効果が認められ、宇宙服の素材としても採用されています。
【土佐和紙(とさわし)】

土佐和紙とは、高知県の土佐市周辺で1000年以上前から作られる、日本三大和紙のひとつで、薄くて丈夫なのが特徴の伝統工芸品です。
土佐和紙の中でも「土佐典具帖紙(とさてんぐじょうし)」という手漉き和紙は、薄さが約0.03㎜で「世界一薄い手漉き和紙」として知られています。
主な原料は楮・三椏・雁皮で、特に楮の長い繊維を高い技術で漉くことで、極限まで薄くても破れにくい丈夫さを実現しています。
土佐和紙の種類は300以上とも言われ、薄いものはもちろん、厚みのあるもの・色鮮やかなものまで、用途に応じた多彩な個性を持っています。
手漉き和紙の魅力について

手漉き和紙には以下のような魅力があります。
- 質感と美しさ
原料の繊維が絡み合い、職人の手作業によるムラや凹凸があり、表面が滑らかな用紙にはない温かみと独特の風合いがあります。
また、薄く光を透過させるため、手漉き和紙でできた障子は空間に柔らかく豊かな光と奥行きを生み出します。
漉く職人や産地により工程が異なるため、1枚1枚に違いが出るため、唯一無二の仕上がりになります。 - 機能性と耐久性
楮などの長い繊維が複雑に絡み合っているため、薄いのに破れにくく、水にも強い仕上がりを叶えています。
手漉き和紙は、薬品をほとんど使わない製法のため劣化しにくく、適切に保存できていれば1000年以上持つと言われ、温度変化にも強いため文化財の修復にも使われています。また、繊維が絡み合った構造により気密性が低く、通気性がいいという特性があります。
さらに、室内の湿度を自然に調整する効果が期待でき、障子紙や襖紙としても使われています。 - 伝統と現代性
手漉き和紙は、日本の歴史や文化とともに発展し書画・建築・工芸品など幅広い分野で使われてきました。
現在は、伝統的な用途だけでなく現代の生活雑貨やアート作品・インテリアなどにも使われ、新たな価値が見出されています。
まとめ

今回は手漉き和紙とはどのようなものかを歴史から解説しました。
手漉き和紙とはただの紙ではなく、日本独自に発展した「流し漉き」という製法で、職人が1枚1枚漉き上げる温かみと強度のある伝統的な紙です。
大量生産ができる機械漉きとは異なり、原料の繊維が長くしっかり絡み合っているため、耐久性に優れ、使いこむほど柔らかく手になじみ、保存性が高いのが特徴です。
日本には手漉き和紙の産地がいくつもありますが、特に「日本三大和紙」と言われている美濃和紙・越前和紙・土佐和紙の3つは、いずれも1000年以上の歴史があり、清らかな水と良質な原料に恵まれて作られているため高品質で、世界でも高く評価されています。
古くは帳簿や書物などに使われていた手漉き和紙ですが、現在では以下のような多様な用途で使われています。
- 障子紙
- 襖紙
- 美術品(書道用紙・版画用紙・日本画用紙など)
- 日用品
- 文化財の修復
- インテリア用品・雑貨 etc
このようなことから和紙は単なる紙ではなく、日本の風土や文化と深く結びつき、約1400年もの間、技術や精神が世代を超えて受け継がれてきた存在と言えます。 以前に比べると手漉き和紙は決して身近な存在とは言いにくいかもしれませんが、この記事をお読みいただき、手漉き和紙にご興味を持っていただけましたら大変嬉しく思います。
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