寒い冬の朝になると、窓ガラスに水滴がついているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。この水滴のことを『結露(けつろ)』と言います。
結露は放置しておくとお家や人体などさまざまな悪影響を及ぼす可能性もあるのでしっかりと結露のメカニズムを知り、対策を行う必要があります。
この記事では、以下内容をわかりやすく詳しくご紹介していきます。
- 結露が起こる原因や仕組み(メカニズム)
- 結露が発生しやすい場所
- 結露が発生することで起こるデメリット
- 結露抑えるための方法や対策
- 結露防止グッズ
結露を防ぎ、冬を快適に過ごしたいと考えている方に少しでもお役に立てれば幸いです。
窓に結露ができる原因と仕組み(メカニズム)は?
結露は日常的にさまざまな場所で目にすることができます。寒い朝の窓ガラス以外にも一例として、グラスに冷たい飲み物を注いだときに外側に水滴ができますが、これも結露です。
こちらでは、結露ができる原因とその仕組み(メカニズム)について解説していきます。
結露ができる原因とは?
結露の原因となるものは室内にある「水蒸気(すいじょうき)」です。
室内の暖かい空気の中に含まれている水蒸気が、外気と温度差のある窓などで冷やされたり冷たいものに触れたりしたときに水滴に変化することで結露が発生します。
しかし、温度が低ければ低いほど結露が発生するということでもありません。結露は室内の水蒸気の量が少ない場合は発生しません。また、室内の温度が高いと結露が発生するリスクは少ないですが、サウナのような極度に水蒸気があるような場所では結露が発生してしまいます。
このようなことから、結露は温度と水蒸気の調和により発生します。
結露ができる仕組み(メカニズム)
空気中には水蒸気が含まれていますが、空気が含むことができる水蒸気の量を「飽和水蒸気量(ほうわすいじょうきりょう)」と呼びます。
この飽和水蒸気量は温度によって違い、空気が暖かければ暖かいほどたくさんの水蒸気を取り込むことができます。
わかりやすい例ですと、氷が入った冷たい飲み物のグラスを置くと水滴がつくのを目にしたことがあると思います。これはグラスの周りの空気が冷やされることにより、空気中の水分が水蒸気から水へと変化し「結露」となってグラスに水滴のようなものがつきます。それが結露のできる仕組み(メカニズム)です。
家の中で窓以外に結露が発生しやすい場所は?
家の中で最も結露が発生しやすい場所は、温度差が大きい場所・湿気が多い場所・空気が滞りやすい場所になります。こちらでは、家の中でも特に結露ができやすい場所をお伝えしていきます。
【結露の発生しやすい場所①】 押入れや家具の裏側などの通気性が悪い場所
押入れや家具の裏側などは通気性が悪く、部屋よりも温度が低い場所です。室内の暖かい空気が押入れなど通気性が悪い場所に流れ込むこと、温度差が生じるので結露が発生しやすくなります。
【結露の発生しやすい場所②】 玄関ドア
玄関のドアも結露が発生しやすい場所です。玄関は外気の影響を受けやすい場所で、特に冬はリビングと比べると温度が低くなり、リビングやそのほかの部屋から暖かい空気が流れ込んでくるのが原因となります。
【結露の発生しやすい場所③】 浴室
浴室でも同じように、外の冷気によってお風呂場の空気が冷やされることにより天井や壁などに結露ができやすくなります。また、お風呂から出る大量の湯気は、浴室内が冷やされることで結露へと変化します。
この他にもキッチンやトイレなどの水回りでは湿度が高く、室温が低くなりやすいため結露が発生することがあります。このように、結露は家のあらゆる場所で生じる恐れがあります。
結露が発生することで起こる悪い影響(デメリット)
発生した結露を放置しておくとさまざまなデメリットが起こる可能性があります。
こちらでは、結露対策をしないと起こりうるデメリットを解説していきます。
結露の及ぼす悪影響 その①:カビやダニが発生する
カビは結露によって生じる水分と室内に浮遊しているほこりや汚れ、加えて建材に含まれている接着剤がカビの栄養素となるため、結露をそのままにしておくと、カビが繁殖しやすくなります。
カビが発生すると同時にそれを食べるダニの繁殖もしやすくなります。カビは湿度60%以上、ダニは湿度50%以上で発生しやすくなると言われています。
また、カビの繁殖は悪臭の原因ともなります。
一般的にカビの匂いは、土の匂いや腐った木の匂いに似ていると言われています。
さらに、カビの成長が進んでいくと酸が生み出されるので、金属類が劣化したりサビの発生も促すため、家にある電子機器類(テレビ・エアコン・洗濯機・冷蔵庫・電子レンジ・炊飯器・電気ポットなど)にも悪影響を及ぼします。
結露の及ぼす悪影響 その②:ハウスダストが発生する
ハウスダストはそのほか細菌・花粉・繊維のクズ・ペットの毛などの目に見えない1㎜以下の物のことを指します。
ハウスダストが発生する原因は、カビやダニの死がいやフンからできています。
カビやダニによってできたハウスダストは、空気中に舞い上がり吸い込んでしまうとアレルギー性鼻炎や喘息などのアレルギー性疾患を引き起こしてしまうこともあります。
アレルギー性鼻炎はくしゃみ・鼻水・鼻詰まり・涙目などの症状、喘息は呼吸のたびにぜーぜーヒューヒューという音がしたり、咳が止まらなかったり、息苦しさを感じることがあります。
これらの症状悪化すると、生命の危機にいたる恐れもあるので普段から結露対策をしておく必要があります。
結露の及ぼす悪影響 その③:壁や床の腐食
結露を放置すると、家の壁や床の腐食の原因にもつながります。
結露により発生した水分は、窓枠やフローリングなどの木材に浸透していきます。
木材が水分を長期間吸収し続けると、木材が柔らかく脆くなり建物の劣化を招いてしまいます。
さらに、建物の内部まで水分が浸透してしまうと、木材だけでなく断熱材や柱、土台の部分にまで腐食が進み、場合によっては建物が倒壊してしまう原因となります。
そのため、結露対策は放置せずにしっかりと行うことが、長く快適にマイホームで過ごすためにとても重要なことです。
結露を抑えるための方法とは?
結露を抑制するためには建物や生活方法を改善することが大切です。
結露は、建物内の空気の「露点温度(ろてんおんど)」より低くなる場所に生じるので、露点温度より冷える場所を少なくすれば抑えることが可能になります。
露点温度とは?
空気が冷却され、水蒸気が液体(霧)へ変化し結露し始める温度のこと。
【結露対策 考え方①】建物の改善:「断熱サッシを設置する」
窓のサッシが熱の伝わりやすい「アルミサッシ」であれば、熱を伝いにくい断熱サッシの「樹脂サッシ」への変更をお勧めいたします。
断熱サッシは外の空気の冷たさを部屋の中に伝えにくくし、窓枠やサッシなどの室内側の表面温度を下げにくくするため、結露が発生しづらくなります。断熱材は外気の冷たさを室内に伝えづらくするだけではなく、建物そのものの保温性も向上させるので、部屋の温度が下がりにくくなる効果も同時に期待できます。
また、リフォームにはなってしまいますが、内側に熱を通しにくい樹脂製の断熱内窓をつけ二重窓にしたり、ガラスが二重になっているペアガラスにリフォームすることで断熱効果を高めつつ、結露が起きにくくもなるため非常におすすめです。
内窓や二重窓について、またリフォームする場合に参考となる情報を以下記事に載せていますので、詳しく知りたい方は以下記事をご参照下さい。
【結露対策 考え方②】生活の改善:「こまめな部屋の換気で結露発生を抑える」
空気中の水蒸気の量はそのときの空気の温度によって決まります。
同じ温度でも水蒸気の量が多くなるほど湿度が上がり、結露が発生しやすくなります。
普段の生活のなかで、水蒸気をゼロにすることはできませんが、室内で発生した余分な水蒸気は窓を開けたり換気扇を使用して、こまめに部屋の空気を換気することで抑えることができます。
結露の発生を防ぐための対策 – 11選 –
結露を防ぐために、自分ですぐ実践できる方法はいくつかあります。
ここでは、結露を防ぐための対策を12選紹介していきます。
結露対策方法 ①:こまめな換気
上記でも述べましたが、結露を防ぐにはまずこまめな換気が大切になります。換気方法はさまざまですが、以下が一般的な効果のある換気方法となります。
- 換気扇を回す
- 1時間に2回ほど窓を開ける
- 週に1度クローゼットや押入れを開ける
結露対策方法 ②:部屋の温度を高くしすぎない
建物内外の温度差が大きいほど結露が発生しやすくなります。
寒いので部屋の温度を上げたくなりますが、必要以上に室温を上げすぎないようにすることが大切です。
光熱費を抑えるためにも、エアコンなどの設定温度は20℃くらいにしておくことを推奨します。
結露対策方法 ③:洗濯物の部屋干しは浴室がおすすめ
建物内外の温度差が大きいほど結露が発生しやすくなります。
寒いので部屋の温度を上げたくなるのはわかりますが、必要以上に室温を上げすぎないようにすることが大切です。
光熱費を抑えるためにも、エアコンなどの設定温度は20℃くらいにしておくことを推奨します。
結露対策方法 ④:サーキュレーターを使用し空気を循環させる
サーキュレーターを使うことで、部屋の空気を効率よく巡らせることができます。使用の際は窓に向けて設置し、窓回りに滞っている空気を循環してあげることが大切です。
空気が循環することで、天井にとどまりがちな暖かい空気が室内全体に巡るので、足元が冷たくなりやすい冬でも心地よく過ごすことができます。
※サーキュレーターとは室内の空気を循環させる電化製品のことを指します。
結露対策方法 ⑤:適度な湿度をキープする
湿度が高いとカビが繁殖しやすくなります。
湿度を適度に保つことも結露対策に重要です。一般的に快適に生活するための室内の湿度は、「40〜60%」程度だと言われています。
温度25℃の場合湿度が70%を超えるとカビが数ヵ月で繁殖し、75%以上になるとそのスピードは急速になると言われています。
よって温度や湿度の管理を行うためには、温度計や湿度計があると便利かもしれません。
また、冬は乾燥しやすいので加湿器を使うご家庭も多いのではないでしょうか。しかし湿度が高くなりすぎると結露を起こしやすくなるので、注意してください。
結露対策方法 ⑥:電気式の暖房器具を使う
あまり知らない方も多いですが、実は石油ストーブやガスストーブは燃料を燃やす際に水蒸気が発生させています。
そのため、使用していると温度だけでなく湿度も上昇させてしまいます。
結露を防止するという観点で考えると、石油ストーブやガスストーブではなく、エアコンやハロゲンヒーター・ホットカーペットなど電気式の暖房器具を使うことをおすすめします。
結露対策方法 ⑦:窓用ヒーターを取り付ける
窓用ヒーターは窓の下に設置するヒーターで、窓からの冷気を遮り室内を暖める効果が期待できます。
窓ガラスの表面温度が低いと、室内外の温度差によって結露ができやすくなります。窓用ヒーターを使用することで窓ガラスの表面温度を上げることができるので、結露防止になります。
さらに、窓を暖かくすると部屋自体が冷えにくくなるので冬でも快適に過ごすことができます。
結露対策方法 ⑧:除湿機や除湿剤を使用する
除湿機や除湿剤は、空気中の湿気を取り除く役割があるので結露の発生を抑えることができます。換気をすることが面倒に感じてしまう方でも、除湿機を室内の中央に設置するだけで簡単に結露対策ができます。
また、押入れやクローゼットなどの部屋の中でも湿気がとどまりやすい一部の場所は、除湿剤を置いておくだけで湿気を吸いとってくれます。
結露対策方法 ⑨:水槽や観葉植物は換気扇のそばへ
室内に観葉植物を置いている方もいると思いますが、植物は光合成によって水蒸気を発生させています。そのため、観葉植物は加湿器と同じように部屋の湿度を上昇させてしまいます。
とりわけ、窓際や壁際に置いておくと結露の原因となりかねないので、設置する場所にも注意が必要です。
観葉植物や水槽は、換気扇のそばや空気が循環しやすいドアの近くに置くのが適しています。
結露対策方法 ⑩:あらかじめ食器用洗剤で窓を拭いておく
食器用洗剤で窓を拭くことで窓に薄い膜ができるため、水滴がつきにくくなるので結露対策になります。
食器用洗剤を水で20倍程度に希釈したものを、布やスポンジに含ませ窓全体を拭いたら、最後に何もついていない布で乾拭きします。ただし、この方法は手軽ですが効果が1週間ほどしか持続しません。
こまめに行うと時間や手間がかかってしまうので、他の対策と組み合わて実施することをおすすめします。
結露対策方法 ⑪:加湿器を使う
加湿器は、水蒸気を発生させますが「室内の中央に置いておくと湿気が部屋全体にまんべんなく行き渡る」ので、窓周辺に湿気が集まりにくくなります。
万が一部屋の中央に置くのが難しいのであればテーブルや家具の上、窓から距離がある場所に置くようにしてください。
また加湿器を使う場合は、湿度が調節できる機能が付いているものを選べば、適した湿度をキープすることができるので、結露対策になります。
結露防止グッズの紹介
結露を抑えるためには、効果的なグッズの使用もおすすめです。
結露防止グッズ ①:結露防止シート
結露防止シートはビニール(ポリエチレンやポリプロピレンなど)でできているものが多く、シートの中に空気が含まれています。
窓ガラスに貼りつけ、ガラスの冷たさがダイレクトに暖かい空気に触れないようにすることで、結露をできにくくする役割があります。
また、安価なのでコストがかからず簡単に貼り付けることができるので、自分でできる結露対策としては適しています。
一方で、サッシ部分まで結露を防げなかったりすき間なく貼りつけるのが難しいというのがデメリットでもあります。
結露防止グッズ ②:吸水クッション
吸水クッションは、窓ガラスや窓枠にできる結露を吸収することができるアイテムです。窓の下あたりに置けば、湿気をぐんぐん吸い取ってくれるので結露防止に役立ちます。
また、窓下からのすきま風を防ぐ効果も期待でき、風通しがいい場所で乾燥させれば繰り返し使うこともできるのでコスパも抜群です。さらに、置く場所に合わせてサイズがカットでき、水分を吸収してもゼリー状にならないところがメリットです。
結露防止グッズ ③:結露防止スプレー
結露防止スプレーは、窓ガラスに吹き付けると薄い膜を張り、水分をはじいたり吸収したりするので結露予防になります。
吹き付けるだけで簡単に結露対策ができるので、忙しい方や手間をかけたくない方におすすめです。また、防カビや断熱など+αの機能がついているものを選べば、結露対策や断熱対策に必要なさまざまな作業工程を省くことができます。
ただし、スプレーの効果が持続するのは約1ヵ月程度で、もし結露が原因でカビが繁殖している場合は別でカビ対策を行う必要があります。
結露防止グッズ ④:新聞紙
新聞紙はできてしまった窓の結露の拭き取りとしてもおすすめです。
使い方は、結露がついている窓ガラスに新聞紙をそのまま貼り付け、水分を取ったらそのまま丸めて窓を拭き取るだけなのでとても簡単です。
結露の拭き取りと同時に、新聞紙のインク成分が窓ガラスの汚れも落としてくれるので一石二鳥であるところもポイントです。
また、翌朝結露を吸い取ってくれるので就寝前に新聞紙を窓のレールに挟んでおくという使い方もおすすめです。
結露対策は窓周りの専門店へ相談を
ここまで、結露を抑えるための方法や自分でできる結露対策・結露防止グッズのご紹介をしてきました!
しかし、自分で対策をしても結露ができてしまう場合は窓周りの専門店にお任せすることをおすすめします。
窓周りの専門店では、結露ができにくい窓にするためのリフォームや窓ガラスの交換も行っている店舗もございます。自分でできる結露対策に限界を感じたら、プロに依頼をすることを強くオススメいたします。
ご自宅に合った専門店を見つけるためには、SNSで口コミや実績をチェックするなどして信頼できるお店かどうかを見極めることが非常に大切になります。
まとめ
今回は冬になると発生しがちな結露について、できてしまう原因や放置することのデメリット・自分でできる対策などのご紹介をしました。
結露ができる原因は、室内にある「水蒸気」が原因ということがわかりました。しかし水蒸気をゼロにすることは不可能です。そのため、普段の暮らしのなかでいかに水蒸気を発生させないかということが重要になります。
また、結露はできる前の対策がとても重要ですが、万が一できてしまったらすぐに拭き取り乾燥させることが大切です。そのまま放置するとカビが繁殖したり、カーテンや床がシミになってしまう恐れがあり、健康に影響を及ぼしてしまうこともあります。
万が一カビが発生してしまったら、アルコールスプレーやカビ取り剤を使い、きれいに除去することを心がけてください。
結露ができる前にできる対策はたくさんあります。寒い冬も健やかに過ごすため、まずは自分でできる結露対策を行ってみてはいかがでしょうか。
また、本記事の後編も是非ご覧ください。悩ましい結露の時期に簡単にできる対策や結露対策グッズをこちらの記事でもご紹介しております。