【雨どいの構造・各部分の名称】について詳しく解説!壊れる原因やメンテナンスのポイントも!

普段何気なく目にしている雨どいはほとんどの日本家屋に設置されており、住宅にはなくてはならない存在です。もし雨どいが壊れ、修理をせずそのままにしておくとさまざまな難点が出てきます。

雨どいは単純な構造に見えますが、実はいろいろな部分から成り立っていることをご存じでしょうか?各部分の名称や役割を理解しておくことで、業者に修理を依頼した際に壊れた部分の説明がスムーズにできますので本記事で詳しく解説していきます。

また、雨どいが壊れてしまう原因やメンテナンスのポイント・良い業者選びの注意点も合わせてご紹介していきます。

目次

雨どいとは?

雨どいとは、屋根に降る雨を一点に集めスムーズに地面へ排水する筒状の建材のことを指します。

雨どいは大半の建築物に取り付けられており、丸型・角型・特殊型・鎖状などさまざまな種類があります。また素材もいろいろあり、地域や環境によって適したもので作られています。

雨どいの起源は平安時代だと言われていますが、瓦が普及しだした江戸時代以降に一般家庭に広がっていき、現代に至ったようです。

雨どいの役割

雨どいにはいくつか役割があるのでそれぞれ解説していきます。

役割その1:建物の劣化や腐食の防止

雨どいの役割は屋根に降る雨を一か所に集め、地面へ適切に排水してくれることです。もし雨どいがなかったり壊れていたりする場合、雨は直接地面に落ちていくので家の基盤や外壁が汚れてしまいます。

そして、基盤や外壁が長期間湿っているとカビや苔が発生し劣化が進行します。さらに、白アリの餌にもなるので腐食を招いてしまいます。なので、雨どいがないと最終的には家が崩壊してしまう恐れもあります。

役割その2:建物の外観を保つ

雨どいがないと屋根の雨水はダイレクトに地面に落ちていくため、水たまりができ跳ねた泥で建物の外観が汚れ、景観を失ってしまいます。

雨どいが設置されていれば、雨水が直接壁に伝わるのを最小限に抑えることができるため、建物の外観を美しく保つことができます。

役割その3:雨漏りを防止する

雨どいが破損して本来の役割を果たせていないと、屋根の雨水は軒先から外壁へ直に流れていき、外壁の劣化が早くなります。その結果、外壁には「クラック」と呼ばれるひび割れができる可能性があります。

したがって、外壁や屋根裏から雨が入り込み雨漏りをもたらします。雨漏りは放置していると浸水箇所から被害が増大してしまうので、雨どいの設置はなくてはならないものと言えます。

役割その4:近隣トラブルを防ぐ

雨どいがない場合、隣の家との距離が近いと屋根の雨水が直接隣家の敷地内に流れこんでしまうこともあります。さらに、跳ねた泥が隣の家の外壁を汚してしまう恐れもあります。

また、大量の雨水がカーポートや金属製の屋根に直接当たると、雨音を大きく感じてしまうこともあるので近隣の家の方は騒音に感じてしまうことも。

上記のようなことが起こると近隣トラブルに発展する可能性もあるので、雨どいは非常に大切な役割を担っていると言えます。

雨どいの構造と各名称について

雨どいの構造はさまざまな部分から成り立っています。
この章では、雨どいの各部分の名称と、それぞれの役割について解説していきます。

軒どい(のきどい)

軒どいとは、屋根に沿って横向きに設置されている筒状の部分のことを指します。

軒どいにはさまざまな形があり、地域や環境によってベストなものが選択されています。

軒どいは屋根に降る雨水を受け止め、地上へ排水するスタート地点になります。横から眺めると水平に見えますが、内側から見ると水の流れを良くするために少しだけ勾配が付けてあるのが特徴です。

集水器(しゅうすいき)

「集水器」は軒どいから流れてきた雨水を集結させ、縦どいへ受け渡す役割をする箱型の部位のことです。

別名で「上合(じょうごう)」とも呼ばれ、上部が開いているタイプが一般的です。

集水器は雨水と一緒に流れてきたゴミや落ち葉が溜まりやすい部分でもあるので、定期的な掃除やメンテナンスをすることが大切です。

止まり

軒どいの一番端の部分を「止まり」と呼びます。止まりの役割は、軒どいに流れる雨水を溢れさせないように止めることです。

もし止まりがないと軒どいの雨水が集水器にうまく集まらず端から流れ落ちてしまいますが、止まりがあることで雨水がダイレクトに地面に落ちないようせき止めてくれます。

エルボ

集水器のすぐ下にあり、縦どいの角度を変えるためにL字状になっている部分を「エルボ」と言います。

エルボの名前の由来は、L字型で肘(エルボー)の形に似ているためエルボという名前がつけられました。

エルボは雨水の流れの角度を替えてくれるので、そのおかげで屋根や外壁の障害物を避けながらつなげることが可能になります。

呼びどい

「呼びどい」は、エルボの先にある縦どいとの中間にある部材のことを指します。呼びどいの多くは、水が流れやすいように角度が大きめにつけられています。

集水器から縦どいまでの距離がある場合、名前のごとく雨水を呼び込む役割があります。

縦どい(たてどい)

屋根から地面へ向かい、外壁に沿って垂直に設置されているのが「縦どい」です。

縦どいは1本の長さは最長3mで、集められた雨水を地面へスムーズに排水してくれます。

縦どいは地面から一番近いところに付けられているので、目にしたことがある方も多い部分なのではないでしょうか。

つかみ金具

縦どいを固定するために使われている留め具を「つかみ金具」といいます。

雨どい自体は非常に軽量なので、このつかみ金具がないと外壁に固定することはできません。

つかみ金具は「トンボ」と「打ち込み」という2種類に分かれています。

トンボは外壁に設置する部分が平らになっており、釘やビスなどで固定させるタイプの金具で、打ち込みは先の尖った部分を直接外壁に打ち込んで固定します。

また、打ち込みは業界で「でんでん」とも呼ばれており、これは”でんでん太鼓“に似ていることから付けられた呼び名だそうです。

トンボ

打ち込み(でんでん)

雨どいが壊れやすい原因

雨どいが壊れてしまう原因はいくつかありますので、こちらで詳しく解説していきます。

原因 ①:経年劣化

雨どいの経年劣化は素材や置かれている環境にもありますが、通常は20〜30年程度だと言われています。したがって、もしこれ以上の年数が経過している場合は寿命がきている可能性があります。

雨どいに穴やヒビ・割れ・変色・変形などが見られる場合は、寿命がきていると考えられます。しかし雨どいは常に外の環境に置かれており、自然災害や紫外線などの影響を受けやすいので、20年より以前に修理や交換をしたほうがいいケースもあります。

原因 ②:台風・ゲリラ豪雨

台風やゲリラ豪雨が発生しやすい夏は、雨どいが最も壊れやすい季節です。台風の強風により雨どいが設置されている留め具が外れ破損してしまうことも。また、ゲリラ豪雨により水量が増加すると雨どいにゴミや落ち葉が詰まってしまい雨水が溢れてしまいます。

よって雨どいはスムーズな排水ができなくなり、本来の役目を果たせなくなります。

このような自然災害は、雨どいが古くても新しくても関係なく壊れてしまうことがあります。なので、夏は自然災害対策として雨どいをテープなどで固定し、事前に対応しておいてもいいかもしれません。

原因 ③:紫外線

夏は台風やゲリラ豪雨だけでなく、強い紫外線が常に降り注いでいます。

常に外に置かれている雨どいも紫外線を浴び続けると変色をし、劣化が進行していきます。

特に塩化ビニールで作られている雨どいは、強い紫外線の影響を受けると固くなり、少しの力が加わっただけで破損してしまう恐れがあります。この現象は、日差しが強いところに輪ゴムをしばらく放置し、その後伸ばすと簡単にちぎれてしまうのと同じことです。

原因 ④:積雪

夏の次に雨どいが壊れやすいシーズンは冬です。特に積雪の多い地域では、雨どいが降り積もった雪の重みに耐えられず歪んでしまったり配管が凍結してしまうこともあります。

そのほか、冬は落ち葉や枯れ葉が雨どいに詰まり水の流れが悪くなるケースもあるので、あらかじめ高い木から落ちてくる葉を処理しておくなどの対処が必要です。

雨どいのメンテナンスのポイント

雨どいのメンテナンスは次のようなポイントがありますので解説していきます。

Point ① :ゴミが溜まっていないかを確認する

雨どいにゴミや落ち葉が溜まっているとつまりの原因になるため、こまめな掃除が必要です。
特に集水器は奥のほうにゴミが入りやすいので、良く確認することが大切です。

Point ② :接続部のゆるみや破損をチェックする

雨どいは、長さや形を調節するために複数のパーツをつなげて作られています。
そのため、接続部がどこかひとつでもゆるんだり破損したりすると、水漏れの原因になりかねません。

水漏れを確かめるためには、可能であれば水を流して確認するのもひとつの方法です。

Point ③ :割れや亀裂がないか確かめる

雨どいの周辺をチェックし、割れや亀裂がないかを確かめておくことも大切です。

特に台風やゲリラ豪雨・地震などの自然災害のあとはしっかり確かめることがポイントです。割れや亀裂を放置しておくと雨どい自体の破損につながる恐れがあります。


雨どいのメンテナンスを自分で行うときは、下から見上げることができる場合、もしくはベランダや窓から見下ろせる場合のみにするようにしてください。屋根の上からの確認は落下の危険性が伴うため大変危険です。

集水器の落ち葉やゴミを掃除する際も、自分で行うにははしごや脚立が必要なので危険な作業となります。高いところの雨どいの点検をする際は、自分で行わず専門店に依頼をしたほうが安心です。

雨どいの修理や交換は専門店へ

破損した雨どいの修理や交換を自分でするのは大変危険です。

業者に依頼をすれば高いところでも安心・安全に作業を行ってくれます。こちらでは雨どいの修理や交換ができる業者の種類をご紹介していきます。

リフォーム会社

リフォーム会社は、既存住宅や建物のリノベーションやリフォームを行う会社です。現在のリノベーションも大変注目されていますが、リフォーム会社が引っ張ってきたと言っても大げさではありません。

特に住宅の屋根や外壁などの外観を専門とするリフォーム会社であれば雨どいの修理交換も安心して任せられます。

屋根工事専門店

屋根工事専門店は、その名の通り屋根の修理に特化した会社です。屋根についての専門知識や経験が豊富なので、小さな修理でも気軽に依頼できます。

自社施工の会社が多いため価格が抑えられ、ほかの会社では見つけにくい雨漏りの原因にも気づいてくれる可能性が高いです。

ホームセンター

ホームセンターに雨どいの修理や交換をするメリットは、行きつけの店舗に気軽に相談ができるところです。

ただし、雨どい修理の専門店ではないためどのような施工業者が請け負ってくれるのかがわかりません。

また、職人を選べないので技術に差がでたり、商品の選択肢に差が出てしまったりすることもあります。

塗装業者

塗装業者は、外壁などの塗装を専門とする会社ですが雨どいの修理を受け付けているところもあるようです。屋根や外壁の塗装と同時に雨どい修理も行えれば、費用が抑えられるかもしれません。

しかし、塗装業者はあくまでも塗装に特化している会社で、雨どいの修理や交換を依頼した場合は下請け業者に依頼することになり、かえって費用が高くなる場合もあります。よって、塗装業者への雨どいの修理・交換はそれほどおすすめとは言えません。

工務店

工務店は住宅についての全ての専門知識があり、悪徳業者に当たる可能性も低いので安心して依頼をすることができます。

地域密着型のところが多く企業規模が小さいことから、細かい要望でも職人に伝えやすいところがメリットです。

腕の良い職人に当たればコスパがいいですが、自社施工でない工務店は高額になるケースもあります。

ハウスメーカー

ハウスメーカーも工務店と同様に住宅について高い知識や豊富な経験があります。

現在お住まいの住宅を建てたハウスメーカーに依頼をするのもひとつの手段です。

高い信頼度があるので安心して雨どいの修理や交換を任せられますが、自社施工を行っているところは少ないので、費用は割高になってしまうかもしれません。

まとめ

今回は雨どいの構造について各部分の名称や、それぞれの役割を解説しました。

雨どいとは、普段何気なく目にする建具なのでどんなものか知らない方も多いと思いますが、日本の住宅にはなくてはならない存在です。

雨どいは、以下の各部位をつなぎ合わせてできており、これらのうちどれかひとつが破損すると本来の役目を果たせなくなるだけでなく、雨どい全体の崩壊にもつながります。

  • 集水器
  • 止まり
  • エルボ
  • 呼びどい
  • 縦どい
  • つかみ金具

雨どいが壊れる原因はさまざまですが、破損したまま放置しておくと多様なデメリットが発生するので、定期的なメンテナンスを行うことが大切です。

その際、高い位置にある雨どいの点検は落下などの危険があるため自分は行わず、専門店に依頼をすることがおすすめです。ご紹介した業者の種類を参考に、相性のいい専門店を選んでみてください。

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