この記事を読むことで、マイホーム購入から30年以上経った60〜80代の方におすすめの襖紙デザインを選んでいただくことができます。
また、襖の種類・襖紙の種類もそれぞれ違いと特徴を理解していただくことができます。そして、襖の張り替えは自分でではなく、専門店に依頼したほうが良いということをわかっていただけます。
襖のある家屋は古くから日本に伝わる伝統です。近年、日本では洋室をメインとする家が増えていますが、和室は汎用性が高く日本の高温多湿である気候に最も適しており、快適に過ごせる空間です。
襖は10年が張り替えの目安と言われていますが、張り替えの際襖紙のデザインをどのようなものにしようか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか?ひとえに襖紙と言っても、その種類はさまざま。
そこでこの記事では、マイホーム購入から30年以上が経った60〜80代の方におすすめの襖紙デザイン15選をご紹介していきます。また、襖の張り替えはなぜ専門店に依頼するのがおすすめの理由と、失敗しない張り替え専門店の選び方のポイントもご紹介します。
襖の種類とそれぞれの特徴
襖の種類は大きくわけて4種類。それぞれの特徴をわかりやすく表にしています。
襖の種類 | 特徴 |
本襖(ほんぶすま) | ・組子と呼ばれる木材を格子状にしたものが材料 ・何度でも張り替えができる ・高級感のある本格的な仕上がりになる ・通気性が良い ・反りやねじれに強い ・高価で量産ができない ・襖紙のデザインが豊富 ・職人の技術や専門知識がいるためDIYは難しい | ・襖の中では一番歴史が古い
戸襖(とぶすま) | ・作りがしっかりしており重量がある ・和室と洋室の融合に使われる ・枠が外せない ・本襖に比べると強度が弱い ・片面に襖紙 ・もう片面に壁紙というタイプもある | ・ベニヤ板でできている
段ボール襖 | ・軽量で扱いやすい ・アパート ・マンションでよく使用されている ・安価で量産が可能 ・湿度に弱く破れやすい ・ゆがみやすい ・2~3回が張り替えの限度 ・枠が外せない | ・段ボールが素材
発泡スチロール襖 | ・軽量で扱いやすい ・アパートやマンションでよく使用されている ・安価で量産が可能 ・熱に弱く強度が弱い ・枠が外せない ・2~3回が張り替えの限度 | ・発泡スチロールが素材
襖紙の種類とそれぞれの特徴
こちらでは織物襖紙についての種類と特徴を解説していきます。
織物襖紙
和紙に繊維を織り込んだ襖紙。天然繊維と合成繊維でできているものがあり、繊維によりランクがわかれます。
天然繊維のほうが高価でもちが良く丈夫な傾向にあります。高級なものは、レーヨンと絹糸などが素材として使われ、1枚ずつ手の込んだ織り方をします。
手漉き和紙襖紙
職人がこだわってひとつひとつ丁寧に製造している、伝統ある手漉き和紙の襖紙です。和紙の原料には「楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)」などを使用。機械で漉いた襖紙と違い、時間の経過とともに味わいが出てきます。
また、手漉きならではの美しさや、経年により褪色しても風合いが感じられます。
機械漉き和紙襖紙
手漉きの風合いを機械漉きで再現した襖紙。手漉きと比較すると、大量生産ができお手頃で購入しやすい価格。
手漉きの襖紙にも引けを取らない風合いで、高級感と存在感を演出します。和紙の襖紙はデザインが多く、一般宅や集合住宅にもよく使用されています。
アイロン接着襖紙
アイロン接着襖紙は、襖紙の裏面に塗ってあるのりをアイロンの熱で溶かして接着する襖紙です。
張り替えの際に微調節ができるので、初心者の方でも作業がしやすいのが特徴のひとつ。段ボール襖の張り替えに向いていますが、破れやすくシワになりやすいというデメリットもあります。
再湿のり襖紙
裏面に再湿のり(切手タイプののり)がついており、しっかりと水で濡らして貼るタイプの襖紙です。
簡単に張り替えができ、低価格なので家庭用の襖紙としてはスタンダードなものになりますが、シワができやすく破れやすいというデメリットも。
シール襖紙
裏面についている粘着シールを剥がして貼るタイプの襖紙。アイロンタイプと再湿のりタイプと同様、初心者向けでDIYにも適しています。しかし、シワやズレができやすく、複数人での作業が必要になります。
上記をわかりやすく、それぞれの特徴をまとめました。
襖紙の種類 | 特徴 |
織物襖紙 | ・天然繊維→葛布(くずふ) ・絹絓(きぬしけ) ・芭蕉布(ばしょうふ) ・合成繊維→長繊維レーヨン糸 ・短繊維レーヨン糸 ・木綿の意匠捻糸(いしょうねんし)(スラブ糸・ネップ糸) 【メリット】 ・丈夫 ・破れにくい ・シワになりにくい ・ホルムアルデヒドのような有害物質がほぼ出ない ・ランクにより好みの襖紙を選べる ・褪色が少ない 【デメリット】 ・高級なものは値段が高い ・職人技が必要なため張り替えが難しい 【製造方法】 ・抄紙技法(しょうしぎほう) ・加飾技法(かしょくぎほう) 【張り替え年数】 ・ 目安は約10年 【平均価格】 ・ 約8,000~300,000程度 | 【素材】
手漉き和紙襖紙 | ・楮(こうぞ) ・三椏(みつまた) ・雁皮(がんぴ) 【メリット】 ・耐久性に優れている ・1000年以上保存が可能(保存環境による) ・褪色が少ない ・高い知名度 ・豊富な種類 【デメリット】 ・製造できる職人が減っているため数に限りがある ・地道な作業のため高価 【製造方法】 ・手漉き→原料を簾桁(すけた)という台に流し込み水を抜いてまんべんなく厚みを均等にしていく 【張り替え年数】 ・目安は約5~10年 【平均価格】 ・ 約1,500円~30,000程度 | 【素材】
機械漉き和紙襖紙 | ・ 楮(こうぞ) ・三椏(みつまた) ・雁皮(がんぴ) 【メリット】 ・デザインが豊富 ・お手頃価格 ・量産ができる ・製造の際の効率がいい 【デメリット】 ・手漉きに比べると強度が劣る ・手漉きに比べると耐久性に劣る 【製造方法】 ・機械漉き→手漉き和紙の製造方法を活かした機械で原料を漉いて大量生産する 【張り替え年数】 ・目安は約2~5年 【平均価格】 ・約1,000円~20,000円程度 | 【素材】
アイロン接着襖紙 | ・楮(こうぞ) ・三椏(みつまた) ・雁皮(がんぴ) 【メリット】 ・豊富なデザイン ・低価格 ・張り替えが簡単 ・初心者でも作業しやすい 【デメリット】 ・破れやすい ・シワになりやすい 【製造方法】 ・機械漉き 【張り替え年数】 目安は4年に1度(ただし汚れや破れの具合による) 【平均価格】 約1,000円~2,500円程度 | 【素材】
再湿のり襖紙 | ・楮(こうぞ) ・三椏(みつまた) ・雁皮(がんぴ) 【メリット】 ・張り替えが簡単 ・低価格 ・デザインが豊富 【デメリット】 ・シワになりやすい ・破れやすい ・張り替え作業に複数人必要 【製造方法】 ・機械漉き 【張り替え年数】 ・目安は4年に1度(ただし汚れや破れの具合による) 【平均価格】 ・約1,000円~2,500円程度 | 【素材】
シール襖紙 | ・ 楮(こうぞ) ・三椏(みつまた) ・雁皮(がんぴ) 【メリット】 ・低価格 ・デザインが豊富 ・枠が外せないタイプの襖でも張り替えが簡単 【デメリット】 ・ズレやすくシワになりやすい ・破れやすい ・複数人での張り替え作業が必要 【製造方法】 ・機械漉き 【張り替え年数】 ・目安は4年に1度(ただし汚れや破れの具合による) 【平均価格】 ・約1,000円~2,500円程度 | 【素材】
織物襖紙の種類とそれぞれの特徴
上級織物襖紙
上級織物襖紙とは、縦糸にレーヨン糸50本、横糸に意匠捻糸や絹糸を40本/インチ程度で織り込んである、糸目がしっかりと詰まった高級な襖紙のこと。絵の加飾もひとつひとつ職人の手作業で行われ、芸術とも言える製品に仕上がります。
また、本格的な織物襖紙は、シワになりにくく作りがとても丈夫です。そして、天然の素材ならではのぬくもり・高級感・存在感が感じられます。
中級織物襖紙
中級織物襖紙は手頃な価格と変化に富んだ風合いで、和室などに使用されており、主にレーヨン糸が使われています。縦糸は30本/インチ程度、横糸は24本/インチ程度で織り込んであります。
普及版織物襖紙
普及版織物襖紙は、縦糸横糸ともに短繊維のレーヨン糸が使われています。購入しやすい価格で丈夫でシワになりにくく貼りやすい、というメリットがあります。
こちらも上記をわかりやすくまとめました。
襖紙の種類 | 特徴 |
上級織物襖紙 | ・縦糸:レーヨン糸 ・横糸:木綿の意匠捻糸(スラブ系、ネップ系など) 【糸の打ち込み本数】 ・縦糸:50本/インチ程度 ・横糸:40本/インチ程度 【メリット】 ・丈夫でシワになりにくい ・豊富なデザイン ・褪色しにくい ・見た目が美しい ・経年劣化が遅い ・ホルムアルデヒドなどの有害物質がほぼ出ない 【張り替え年数】 10~20年が目安 【平均価格】 約8,000円~70,000円程度 | 【素材】
中級織物襖紙 | ・縦糸、横糸ともにレーヨン糸 ・長繊維のレーヨン糸 【糸の打ち込み本数】 ・縦糸:30本/インチ程度 ・横糸:24本/インチ程度 【メリット】 ・上級と比較すると価格が安い ・変化に富んだ風合い ・デザインが豊富 ・高級感がある 【張り替え年数】 5~10年が目安 【平均価格】 約2,000円~8,000円程度 | 【素材】
普及版織物襖紙 | ・縦糸、横糸ともに短繊維のレーヨン糸 【糸の打ち込み本数】 ・縦糸:24本/インチ程度 ・横糸:22本/インチ程度 【メリット】 ・丈夫でシワになりにくい ・デザインが豊富 ・貼りやすい 【張り替え年数】 3~8年が目安 【平均価格】 約1,500~3,500円程度 | 【素材】
ご紹介した3種類の襖紙のうち、一番質がいいのは上級織物襖紙です。上級織物襖紙に使用される繊維は長さがあるので耐久性に優れ、値段が高くなるにつれて劣化も遅く20年以上使用できる場合もあります。
60-80代におすすめの襖紙のデザイン15選
高級織物襖紙①
自然の風景と鶴が描かれた高級織物襖紙。鶴は一生相手を変えないことから夫婦の象徴とも言われており、とても縁起が良い鳥です。
ぜひご夫婦で選んでみてはいかがでしょうか。
高級織物襖紙②
水辺にさまざまな花が咲き、そこへ小鳥がやってきて…などというひとつの物語を連想させるようなデザインの高級織物襖紙です。
高級織物襖紙③
杉が遠近で描かれた高級織物襖紙。杉は日本にしかない木で、まっすぐ垂直に生える特性があります。
花言葉は「雄大」ですがそれが見事に表現されています。
高級織物襖紙④
鷹と自然の風景が描かれた高級織物襖紙です。鷹は優れたパワーを持ち優秀で有能な鳥。高級感と存在感があるデザインです。
高級織物襖紙⑤
孔雀と松のデザインの高級織物襖紙。孔雀は美しい羽を持ち、邪気を払うと信仰されてきた鳥です。
また、松は強い生命力を持ち、長寿のシンボルとも言われています。
高級織物襖紙⑥
こちらの高級織物襖紙は1本の桜の木がデザインになっています。
桜は日本国民から最も愛されている花。華やかさと静寂さを持ち合わせたデザインです。
高級織物襖紙⑦
秋の七草が描かれたあかつき第21集の高級織物襖紙。豪華なデザインで客間にもぴったりのデザインです。
中級織物襖紙①
広大な山並みが表現された中級織物襖紙です。色使いが薄いピンクとパープルで、少しモダンなデザインでお部屋が明るく柔らかい雰囲気に。
中級織物襖紙②
可愛らしいゆりの花のデザインの中級織物襖紙。ゆりには純粋さや穢れのないというイメージがあります。女性におすすめのデザインです。
中級織物襖紙③
自然の風景が立体的に描かれている中級襖紙です。視覚的にお部屋を広く見せてくれるようなデザインです。
中級織物襖紙④
中級織物襖紙の無地のデザインです。お部屋をモダンな雰囲気にしたい方や、絵柄があまり好きではない方におすすめです。
中級織物襖紙⑤
鮮やかな色合いの、着物友禅がイメージの中級織物襖紙です。お部屋が可愛らしい雰囲気になります。
中級織物襖紙⑥
色鮮やかな欄の花が描かれた中級織物襖紙です。欄は美しく気品があり優雅な淑女を連想させる花。種類も豊富でとても魅力がある花です。
中級織物襖紙⑦
桜と霞が組み合わさったデザインの襖紙。季節の移ろいが感じられ、部屋が柔らかく明るくなるような中級織物襖紙です。
普及版織物襖紙
松竹梅が大胆に描かれているデザインの普及版織物襖紙です。松竹梅は慶事や吉祥のシンボル。日本の伝統が好きな方にぜひおすすめです。
襖の張り替え専門店の選び方のポイント
襖の張り替えは、DIYでもできますが、やはり仕上がりの美しさを考えると専門店に依頼するのがおすすめです。
こちらでは専門店がDIYよりもいい理由やいい専門店の選び方のポイントをお伝えしていきます。
①張り替え専門店がDIYよりもいい理由
- 仕上がりがキレイ
- 材料や道具を準備しなくていい
- 時間や手間がかからない
- 専門店ならではの技術と知識がある
- リフォームプランが本格的
- アフターサービスが充実
- ぴったりの襖紙を選んでもらえる
- いろいろな悩みを解決してくれる
などがあげられます。
②いい専門店を見つけるためのポイント
- ひとつではなく、複数の業者に見積相談をしてみる
- 見積もりの詳細を丁寧に説明してくれる
- 業者の対応がいいか(電話や訪問時)
- 実績が豊富にある業者か
- 必要ないプランなどを無理やり押し付けてこないか
など、上記のポイントが良い専門店選びのポイントになります。
まとめ
今回は、マイホーム購入から30年ほどが経った60~80代の方におすすめの襖紙デザイン15選のご紹介と、襖の張り替え専門店を選ぶ際のポイントなどを詳しくお伝えしました。
襖紙にはさまざまな種類がありますが、その中でも高級織物襖紙は丈夫でしっかりとした作りをしているため、劣化が遅く長持ちすることがわかりました。
また、襖紙の張り替えはDIYでもできなくはないですが、仕上がり・手間・失敗のリスクなどトータル的なことを考えるとやはり専門店に依頼するのが良いでしょう。せっかく良い襖紙を選んでも、すぐにダメになってしまっては意味がありません。
少しでも長持ちさせるために、今回お伝えしたポイントを参考に、ぴったりの張り替え専門店を探してみてください。